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自己分析は、転職活動を成功させるうえで非常に重要です。ところが、具体的にどのように実施すればいいかわからないという方も多いのではないでしょうか?効率的な自己分析の仕方を知っておかないと、自分自身の強みや特徴を深く知ることができないため、最初に手順を理解しておくことは大切です。
そこでこの記事では、以下の内容について詳しく解説していきます。
- 転職活動で自己分析するメリット
- 自己分析の進め方
- 自己分析におすすめのフレームワーク
- 自己分析のポイント
転職活動を成功させるために自己分析を行いたい方にとって、有益な情報を提供しております。
目次
転職活動で自己分析する3つのメリット
転職活動で自己分析を行う主なメリットは以下の3つです。
- 1. 自分の強みをアピールしやすくなる
- 2. 企業とのミスマッチを防げる
- 3. 転職における自分の価値基準がわかる
ひとつずつ解説していきます。
1.自分の強みをアピールしやすくなる
転職活動では、書類選考や面接など限られた時間でのアピールが必要です。自己分析を行うことで、伝えるべき内容を整理できるので、簡潔にアピールしやすくなります。
さらに、深く自己分析を行うことで、自分の強みや適した仕事内容を確認できます。自己分析した結果は、志望動機や自己PRなど活用の場がたくさんあるため、しっかりと行うのがおすすめです。
なお、自分が希望している企業の求める人物像に、自己分析の結果を無理やり合わせる必要はありません。仮に企業の求める人物像に合わせても、無理な説明をすることとなり、転職が失敗しやすくなります。自己分析の結果を踏まえて、自分に適した企業を探すようにしましょう。
2.企業とのミスマッチを防げる
自己分析を行うことで、やりたい仕事ではなく「強みを生かせる仕事」を探せるのがメリットです。
やりたい仕事に重きを置いた転職活動をしていくと、入社後に「想像とは違う」「好きだけど得意ではなかった」「自分の強みが生きない」となる可能性があります。働きづらさを感じると再び転職を検討することになります。それを避けるためにも自己分析をしっかりと行うことが大切です。
3.転職における自分の価値基準がわかる
自己分析を行うことで、自分の本質を理解できるようになり、自分の価値観がわかりやすくなります。結果として本当に入るべき会社かどうかの判断基準ができるようになります。
たとえば、「自分は家族との時間を大切にしたいので、ワークライフバランスが取れる企業に入社したい。しかし、いま検討している企業は、年収面はいいものの、残業が多いことがわかっているため、この企業は自分には合っていない。」などの判断が可能です。
このように明確な価値基準を理解して、転職活動を進められるのも自己分析を行うメリットです。
転職活動の自己分析の進め方
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この章では自己分析の進め方を解説していきます。主な進め方は以下の4ステップです。
- 1. 5W1Hを使い自分の経験やスキルを書き出す
- 2. 強みや弱み、魅力を掘り下げて言語化する
- 3. 将来実現したいことを具体化する
- 4. 1~3の結果から強みを生かせる環境を絞る
1.5W1Hを使い自分の経験やスキルを書き出す
5W1Hを使い、自分が今まで取り組んできた仕事を洗い出し、経験したことや身につけたスキルを洗い出しましょう。成功したことだけでなく、失敗してどんなことを学んだのかも含めて書き出すのがおすすめです。
5H1Wを使った洗い出し方は以下のとおりです。
5W1H |
内容 |
例 |
---|---|---|
Where | どんな会社だったか(業界や規模、社風など) | ・IT業界の中堅企業に勤務 ・従業員数は約500人 ・若手でも意見を発信しやすい社内環境 |
What | どんな商品やサービスを提供していたか | ・クラウド型の業務管理ツールの開発と販売を担当 ・中小企業向け ・簡単な操作性と手厚いサポート体制が競合他社との違い |
Who | どんな人と関わりがあったか | ・社内ではエンジニア、営業担当者と密接な連携 ・パートナー企業のエンジニアや、顧客の経営者や現場担当者とも直接やり取り |
When | 仕事に取り組んだ期間はいつか | ・20××年の4月から20××年の9月までの約3年半 ・3つの大きなプロジェクトを担当し、すべて完了 |
Why | なぜ商品やサービスを売っていたか | ・効率的な業務運営を支援 ・顧客の生産性向上やコスト削減が目的 ・技術を通じた社会貢献をしたいという個人目標 |
How | どのように仕事を進めていたか | ・顧客の課題を深堀するためにヒアリングを重視 ・社内のコミュニケーションが不足し、スケジュール遅延が発生した ・アジャイル手法を使い、進捗状況をチーム全体で共有できるように改善した |
2.強みや弱み、魅力を掘り下げて言語化する
5W1Hで書き出したものを見て、自分の強みや弱み、魅力をまとめましょう。言語化することで企業に対して説得力のある説明ができ、転職を成功に導きやすくなります。
まずは、自分の得意なことや苦手なこと、やりたいことを言語化します。例えば、5W1HのHowで「相手の表情から説明方法を臨機応変に変えて、顧客の課題を改善した。」と書いていれば、コミュニケーションが得意であることを具体的に示せます。
3.将来実現したいことを具体化する
仕事を通じて、実現したいことを明確にしておくことで、面接時に逆質問すべきポイントが明確になり、転職先とのミスマッチを防ぐことができます。
上手く具体化出来ない方は以下の例を使い、実現したいことを考えてみてください。
- どの経験を生かし、どのようなキャリアを積み重ねていきたいか
- 今回の転職で実現したいことは何か
- 5年後、10年後、どのような自分になっていたいか
具体例としては以下です。ぜひ参考にしてみてください。
- 将来は子育てと仕事を両立させたいので、ワークライフバランスを大切にしたい
- より多くの顧客と関わり、信頼関係を築きたい
- 5年後には管理職としてチームをけん引できるようになりたい
4.1~3の結果から強みを生かせる環境を絞る
1~3の自己分析結果から、実現できそうな企業や求人を洗い出します。
探し方としては、企業の採用ホームページやネット上の求人サイトを見る手段が一般的です。
加えて、転職エージェントを活用することで、より効率よく理想の企業を見つけられるようになります。
例えばアデコの転職支援サービスなら、自己分析結果から最適な企業を紹介します。また、転職希望者を深く知るノウハウや、一般に公開されていない求人も持っているため、効率よく転職活動を行えるのが特徴です。興味がある方は、ぜひアデコの転職支援サービスにご登録ください。
転職活動の自己分析におすすめフレームワーク4選
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転職時の自己分析を効果的に進めるためによく用いられるフレームワークは以下の4つです。
- 1. Will Can Mustの法則
- 2. モチベーショングラフ
- 3. マインドマップ
- 4. SWOT分析
それでは一つ一つ見ていきましょう。
1.Will Can Mustの法則
Will Can Mustの法則は自己分析によく使われるフレームワークで、自分自身の目標や優先事項を整理できるのが特徴です。
Will、Can、Mustそれぞれに対応する内容を書き出すことで、自分の目標や優先事項が明確になります。そして、これらの要素が重なった部分こそが、あなたが理想的だと考える企業や仕事に該当する部分となります。
- Will(したいこと):自分が情熱を持って取り組みたいことや、実現したい目標など
- Can(できること):自分のスキルや経験、得意なことなど
- Must(しなければならないこと):目標を達成するために必要な義務や責任、外部から求められていることなど
たとえば、以下のような例を紹介します。
- Will:自分が売る商品やサービスの集客やブランディングに直接かかわりたい
- Can:営業職で培った顧客分析や課題を解決するアプローチが得意
- Must:生活のため年収500万円が必要
これらの円が重なった部分は、「年収500万円以上のマーケティング企業またはマーケティング職への転職」です。この結果が実現できる企業や求人を探すようにしましょう。
2.モチベーショングラフ
モチベーショングラフは、今までのモチベーションの変化をグラフにする自己分析方法です。過去の出来事や感情を振り返ったり、価値観や性格を明確化したりしたいときに用いられます。
まずは、横軸を時間軸、縦軸をモチベーション(100%が最も高く、低ければ下に位置する)としてベースを作ります。
グラフは以下のポイントにそって書いてください。
- 時間軸は小学校から現在までの時間の流れを書く
- 各時間軸でのモチベーションをグラフにプロットし、点同士をつなげる
- なぜそのモチベーションになったかをコメントする
最後まで書けたら、自分がどんなときにモチベーションが上がり、下がりやすいのかを視覚的に理解しやすくなり、自己理解が進みます。
3.マインドマップ
マインドマップは、中心となるテーマを起点に関連情報を放射状に整理した視覚的な図です。アイデアや情報の整理、発想の促進に役立つため、自己分析でよく利用されます。
まずは、テーマを中心に書き、関連するキーワードを書き出しましょう。例えば、「キャリア目標」を中心にした場合、「キャリア目標」→「長期目標」→「マネージャー職」のように、言葉をつなげていきます。
キーワードを出し終えたら、重要なキーワードに色付けしましょう。自分の考えを視覚化できるため、整理しやすくなります。
4.SWOT分析
SWOTとは、「Strengths:強み」「Weaknesses:弱み」「Opportunities:機会」「Threats:脅威」の頭文字をとったもので、自分のこれからの方向性を明確化したいときに使用されるフレームワークです。
例えば、自己分析にSWOT分析を用いると以下のようになります。
プラス要因 |
マイナス要因 |
|
---|---|---|
内部環境 | Strengths:強み 例 ・コミュニケーションが得意 |
Weaknesses:弱み 例 ・単純作業が苦手 |
外部環境 | Opportunities:機会 例 ・リモートワークが進み、どの場所からでも働きやすくなっている |
Threats:脅威 例 ・出社が必要な場合、通勤時間がかかる |
強みや機会はプラス要因のため、志望動機や自己PRにつなげることでアピールポイントとなります。一方の弱みや脅威は、希望する企業で補えるかを検討するのがポイントです。
転職活動の自己分析でのポイント4つ
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転職活動中に実施した自己分析はむやみに実施しても効果が薄くなります。転職を成功させるための自己分析ポイントは以下の4つです。
- 1. 自分探しではなく強みや生かし方を考える
- 2. 具体性のない言葉は使わない
- 3. 先入観にとらわれず第三者からの視点も取り入れる
- 4. 一回で終わらない
それぞれを解説していきます。
1.自分探しではなく強みや生かし方を考える
自己分析と自分探しは似ているようで異なります。自分探しは理想を追求しがちで、結果として自分の特徴を正確に理解できないことがあります。この状態で転職活動をしても、効果的に進めることは難しいため、自己分析では自分の強みやその生かし方に焦点を当てることが重要です。
自分の強みや生かし方がわかっていると、自分に合った職場が見つかり、転職活動がスムーズに進みやすくなります。自分の特長や強みを理解し、それをどのように生かすか、またどんな環境で活躍できるかを考えることが成功への鍵となります。
2.具体性のない言葉は使わない
説得力を持たせるためにも、具体的なエピソードを交えて自己分析を深堀することが重要です。
例えば「コミュニケーション力があります」と言うだけでは抽象的過ぎて、企業側に納得してもらいにくいです。代わりに以下のように具体的な実績を交えて伝えましょう。
「クライアントとのミーティングで、技術的な課題を分かりやすく説明し、専門知識がない相手にも理解しやすい提案を行いました。その結果、顧客満足度調査で高評価を獲得しました。この経験を通じて、相手の立場やスキルに応じて適切なコミュニケーションを取り、成果を上げる能力があると自信を持っています。」
3.先入観にとらわれず第三者からの視点も取り入れる
自己分析を行う際には、第三者の視点を取り入れることが非常に重要です。
自分では気づかない強みや弱みがあることも多く、先入観にとらわれてしまうこともあります。もし他者からのイメージのギャップをそのままにして転職活動を進めてしまうと、企業側に「自己分析ができていない」と思われる可能性があり、失敗する恐れがあります。
このギャップを防ぐためには、第三者の視点を取り入れた「他己分析」がおすすめです。他己分析とは、自分をよく知っている家族や友人に自分の性格や特徴を聞いて客観的に分析する方法です。
他己分析の質問内容は以下がおすすめです。
- 長所や短所だと感じるところはどこ?
- これまでの思い出で印象に残っているエピソードは?
- どんな時にイキイキしているか
- 伸ばした方がよいところや改善点はどこか
これらの結果と自己分析の内容を照らし合わせてみましょう。もし合致していれば、それをアピール材料として活用できます。反対に合致していない場合は、なぜそのような結果になったかを分析するようにしましょう。
4.一回で終わらない
自己分析は定期的に行うようにしましょう。
日々環境は変わっていくため、考え方が変わることは多々あります。転職活動中は月に一回程度の頻度で自己分析を行うことで、より最新の自分の考えを反映しやすくなるでしょう。
また転職活動が終わり、新しい職場に異動した際や新しい立場になったときにも自己分析を再度見直すことが重要です。見直すことで、深い自己理解が得られ、仕事で活躍しやすくなります。
自己分析を効率よく行うためには転職エージェントを活用しよう
転職を成功させるためには、深い自己分析が重要です。「5W1H」「SWOT分析」などの方法を上手く使って、効率よく自己分析を行いましょう。
しかし自分で自己分析を試したものの上手くできない場合や、自己分析をしたが結果が不安と言う方もいるでしょう。その場合は、転職エージェントの活用を検討してみてください。
転職エージェントは専門のコンサルタントが面談を行ったうえで、正しい自己分析方法を教えてくれます。自分の知らなかった強みや弱み、特徴などを気づかせてくれる場合もあるため、少しでも不安を感じている人は、利用するのがおすすめです。
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