フリーターから正社員を目指す方法として、正社員登用制度や転職エージェントの活用が挙げられます。どの方法で正社員を目指すにしても、「早めに転職活動をはじめる」「幅広いお仕事をチェックする」などのコツを押さえることが大切です。このページでは、フリーターから正社員を目指せるルートや採用されるコツ、おすすめのお仕事などについて解説します。
フリーターから正社員を目指せるルート
フリーターから正社員を目指せるルートとしては、以下の4つが挙げられます。
- 求人サイトから自分で応募する
- 転職エージェントを活用する
- 紹介予定派遣を活用する
- 正社員登用制度を活用する
求人サイトから自分で応募する
応募する際は、複数の求人サイトを並行してチェックしましょう。掲載されている求人数や得意な業界・職種、給与などは求人サイトごとに異なります。各サイトで条件を絞り込み比較することで、自分の希望にマッチするお仕事を見つけやすくなるでしょう。検索条件として「未経験可」「経験不問」といった条件設定をすると、より挑戦しやすい求人がみつかる場合もあります。
転職エージェントを活用する
自分ひとりでフリーターから正社員を目指す場合、書類作成や面接対策なども自力で行う必要があります。初めての転職の場合は不安や疑問を抱えたまま転職活動を進めなければなりません。
転職エージェントを活用すると、専任のコンサルタントから履歴書の書き方や面接対策など、採用に必要なサポートを提供してもらえます。また、希望条件や経歴をもとにマッチする求人を紹介してくれるため、自分でお仕事を探したり応募したりする手間もありません。
アデコでも、長きにわたる人材サービスの実績を生かし、求職者の皆さま一人ひとりにあった転職支援を行っています。
アデコの転職支援について詳しくはこちら紹介予定派遣を活用する
紹介予定派遣とは、派遣社員として最長6カ月働いた後に企業と派遣社員の両方が合意すれば、直接雇用として入社できる仕組みのことです。職場の雰囲気やお仕事との相性をチェックしてから社員になることができるため、入社後のミスマッチを減らせます。
もし自分と合わなければ、無理に直接雇用として入社する必要はありません。「いきなり正社員として働くのは不安」と感じる場合は、活用してみましょう。紹介予定派遣の詳細については下記ページをご覧ください。
紹介予定派遣について詳しくはこちら正社員登用制度を活用する
正社員登用制度とは、アルバイトや派遣社員、パート、契約社員などの非正規雇用者を、正社員として採用する制度のことです。企業ごとの条件をクリアすることで、正社員登用されます。制度の有無は企業によって異なるため、自分のアルバイト先にあるかをチェックしましょう。
とくに、長年同じ職場で働くフリーターの方であれば、すでに業務内容や雰囲気を把握している場所で社員になることができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
フリーターから正社員になるのは難しい?
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、男女別の「フリーター期間ごとの正社員への転職成功率」は以下のようになりました。
1年以内 |
1~2年 |
2~3年 |
3~4年 |
4~5年 |
5年以上 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 74.7% | 64.2% | 68.9% | 69% | 51.4% | 44.3% |
女性 | 64.6% | 58.8% | 47.5% | 55.8% | 28.8% | 24.5% |
上記のデータを参照すると、フリーター期間が長いほど正社員への転職は難しくなる傾向にあります。
とはいえ、フリーター期間が長くても一定数は正社員になっているため、不可能ということはありません。企業の中には、「募集職種と近い経験を積んでいれば評価する」「フリーター経験で得たことを明確に説明できれば評価する」と考えるところもあります。
フリーターだからという理由で諦めず、実際に正社員への転職にチャレンジしてみることが大切です。
フリーターから正社員を目指す際のポイント
フリーターから正社員を目指す場合は、以下のポイントを意識しましょう。
- なるべく早めに就職活動を始める
- 幅広い業種・業態・職種のお仕事をチェックする
- 「未経験可」「第二新卒歓迎」などを掲げる求人をチェックする
- 求人の希望条件に優先順位をつける
なるべく早めに就職活動を始める
上記で解説したように、フリーター期間が長いほど正社員になるのは難しくなる可能性があります。
1年以内 |
1~2年 |
2~3年 |
3~4年 |
4~5年 |
5年以上 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 74.7% | 64.2% | 68.9% | 69% | 51.4% | 44.3% |
女性 | 64.6% | 58.8% | 47.5% | 55.8% | 28.8% | 24.5% |
正社員になれる可能性を少しでも上げるためにも、可能な限り早めに転職活動を開始しましょう。
幅広い業種・業態・職種のお仕事をチェックする
正社員として働くうえでは、自分の希望を満たす求人を探すことも重要です。とはいえ、最初から条件を絞りすぎると、お仕事の選択肢が狭まってしまいます。そのため、優先度の高い条件以外は緩めて、幅広い業種・業態・職種のお仕事をチェックしましょう。選択肢を増やすことで、本当に自分に向いているお仕事が見つかるかもしれません。
資格を取得しておく
資格を取得することで、希望する業界の知識を身に付けられるうえに、転職先に対してお仕事への熱意をアピールできます。自分の挑戦する業界や職種に合わせて資格を取得しておくとよいでしょう。
重宝される資格は業界や職種でも異なりますが、例えば以下のような資格があげられます。
- TOEIC
- 簿記
- MOS
- 秘書検定
- 文書情報管理士
- ファイナンシャルプランナー
「未経験可」「第二新卒歓迎」「経験不問」などを掲げる求人をチェックする
求人サイトによっては、「未経験可」「第二新卒歓迎」「経験不問」といったフリーターの方でも応募しやすい条件に絞ってお仕事を探せます。他にも、自分に合った条件の求人が掲載されていることがあるため、上手に条件を絞って正社員として採用される可能性が高いお仕事を見つけましょう。
求人の希望条件に優先順位をつける
自分の希望すべてに該当する求人を見つけるのは至難の業です。全ての条件を優先してしまうと、お仕事が見つかるまでに時間がかかり、フリーターの期間も伸びてしまいます。
こうしたことを避けるためにも、求人の希望条件に優先順位をつけることが大切です。「これだけは譲れない」「ここは譲歩できる」というポイントを洗い出し、お仕事を探す基準を作ることで、求人を絞りやすくなります。
また、お仕事の優先順位を洗い出すことで、転職エージェントを利用した際にコンサルタントもスムーズに求人を探せるようになるでしょう。
フリーターから正社員になるメリットについて
フリーターから正社員になるメリットとしては、以下が挙げられます。
- 安定して雇用される可能性が高い
- 毎月の収入が増える可能性が高い
- 生涯賃金額が増える可能性がある
安定して雇用される可能性が高い
フリーターは有期雇用であるため、経営状況悪化や社会情勢の変化など、さまざまな要因で解雇されるリスクがあります。
正社員の場合は無期雇用となり、「遅刻・欠席が多いなど勤怠に著しく問題がある」「就業規則に著しく抵触する行為を行った」など、よほどの事情がない限りは解雇されないので安定して働けます。もちろん、経営状況の悪化などでリストラされる可能性は0ではありません。しかし、基本的には有期雇用されている人材のほうが解雇されるリスクは高いです。
毎月の収入が増える可能性が高い
厚生労働省の調査によると、「男女別・雇用形態別」における平均月収は以下の結果になりました。
正社員・正職員 |
正社員・正職員以外 |
|
---|---|---|
男性 | 35万3,600円 | 24万7,500円 |
女性 | 27万6,400円 | 19万8,900円 |
とくに年代別で見ると、年齢が上がるほど正社員とフリーターの収入差は増えることがわかります。
正社員・正職員(男女計) |
正社員・正職員以外(男女計) |
|
---|---|---|
25~29歳 | 25万5,900円 | 21万2,300円 |
30~34歳 | 28万8,400円 | 21万5,500円 |
35~39歳 | 32万3,500円 | 21万3,300円 |
40~44歳 | 34万7,500円 | 21万7,600円 |
45~49歳 | 36万6,300円 | 21万2,800円 |
上記はあくまでも平均であるため、「時給換算したらフリーターのほうが給与はよい」というケースもあります。しかし、労働者全体で見ると、フリーターよりも正社員のほうが給料は高くなりやすいといえるでしょう。
生涯賃金額が増える可能性がある
労働政策研究・研修機構の調査によると、大卒の生涯賃金は正社員とフリーターで以下のように大きく異なるとわかりました。
正社員・正職員 |
正社員・正職員以外 |
|
---|---|---|
男性 | 2億6,190万円 | 1億5,990万円 |
女性 | 2億1,240万円 | 1億2,410万円 |
男女ともに正社員の生涯賃金が1億円近く高いことがわかります。もちろん、月収と同じく業界や働き方などによっても変わりますが、正社員のほうが生涯賃金は上がる可能性が高いことがみてとれます。
参照:労働政策研究・研修機構 | ユースフル労働統計p.319とp.337フリーターから正社員になるデメリットについて
フリーターから正社員になる際は、以下のようなデメリットもあります。メリットと照らし合わせて、自分にどちらの働き方がマッチしているかを判断しましょう。
- フリーター時代より自由な時間を持ちにくくなる
- 転勤や異動などで会社の都合に合わせる場面が増える
- 他のお仕事との掛け持ちができない場面も
フリーター時代より自由な時間を持ちにくくなる
フリーターはシフトをある程度自由に決められるため、自分の裁量で自由時間を持つことができました。
しかし、正社員は原則としてフルタイム勤務になるため、フリーター時代より自由時間は減ります。時短勤務や在宅勤務などで負担を減らしながら働ける場合もありますが、基本的にはお仕事に使う時間が長くなるでしょう。
転勤や異動などで会社の都合に合わせる場面が増える
フリーターの場合は、一般的に転勤や異動がありません。また、大きなプレッシャーを背負うお仕事を任される機会も少ないため、自分の状況に合わせて余裕を持って働けました。
正社員の場合、転勤や異動、あるいは新たなプロジェクトへの参画など、会社からの指示があれば従う必要があります。拒否すると社内評価に響いたり、キャリアに影響を与えたりすることもあるでしょう。
他のお仕事との掛け持ちができない場合も
フリーターは勤務日時を自由に決められるため、他のお仕事と掛け持ちできます。ひとつのアルバイト先で収入が足りなければ他の職場でも働けるため、時間や収入をコントロールできるのは魅力といえるでしょう。
正社員の場合は、「副業」に関する方針が企業によって異なるため、他のお仕事と掛け持ちできるとは限りません。また、他との掛け持ちが許可されたとしても、正社員でフルタイム勤務をするのであれば、掛け持ちで働く時間を確保するのは物理的に難しいでしょう。
フリーターから正社員を目指す際におすすめのお仕事はどのように探す?
フリーターから正社員を目指すのであれば、「特別な資格が必要ない」「有効求人倍率が高い」といったお仕事を選ぶのがおすすめです。
以下で有効求人倍率とあわせて、おすすめのお仕事を紹介しているので、求人探しの参考にしてみてください。
- 営業
- 介護
- 製造
- 建設
- 小売・販売
なお、文中で紹介している有効求人倍率はすべて「厚生労働省 | 一般職業紹介状況(令和5年10月分)について | 参考統計表8-1」を参照しています。
営業
営業では、自社サービスや商品を企業あるいは個人に販売します。以下のように企業ごとで扱うサービスや手法などが異なるため、自分にマッチしそうな会社を選びましょう。
営業対象顧客 | 法人営業、個人営業 |
---|---|
営業手法 | 新規営業、既存営業、反響営業 |
取り扱う商材 | 有形商材、無形商材 |
営業形態 | メーカー営業、商社営業、代理店営業 |
営業手法 | テレアポ、飛び込み、個人宅への訪問、非対面型 |
特別な資格が求められることは少ないです。ただし、相手の要望を引き出すヒアリングスキルや人間関係構築スキルなどのポータブルスキル(業界や職種に関わらず応用できる能力)は身に付けておくとよいでしょう。
営業(営業職業従事者)の有効求人倍率は「2.26倍」です。求職者ひとりあたり、2.26件の求人がある計算になります。
フリーターの方をはじめ未経験から営業に転職する際のコツは下記のページで詳しく解説しています。
介護
日本は少子高齢化が進行しているため、介護職の需要は伸びていくでしょう。実際の有効求人倍率(介護サービス職業従事者)も「3.49倍」と高い数値になっており、フリーターから正社員になれる可能性は十分あります。
介護職では、主に以下2つの業務を行います。
身体介護 | 入浴介助や排泄介助など要介護者の身体に直接触れてサポートを行う |
---|---|
生活援助 | 掃除や調理など要介護者の生活まわりをサポートする |
勤務先は特別養護老人ホームや有料老人ホーム、グループホームなどさまざまです。診療報酬計算や施設長などの管理職業務を行うこともあります。資格がなくても働けますが、介護職員初任者研修であれば特別な要件がなくても取得できるため、採用の可能性を高めるために保有するのもよいでしょう。
製造
製造業とは、材料の加工や部品の組み立てなどを行い、新たな製品を生み出すお仕事です。製造業のお仕事内容は以下のように多岐にわたります。
具体的な有効求人倍率は、上記のようなお仕事内容ごとで異なります。例えば、機械整備・修理従事者は「4.68倍」、金属製品を除く製品検査従事者であれば「2.03倍」です。製造業では定められた生産ラインやマニュアルに沿ってお仕事を進めることが多いため、フリーターの方をはじめ未経験者でも正社員を狙いやすいでしょう。
建設
建設業では、家屋・ビルの建設や解体、配管工事、足場の組み立てなど現場作業をメインに行います。いわゆる鳶職と呼ばれる建設躯体工事従事者の有効求人倍率は「9.71倍」となっており、他の業界と比較してトップクラスに高いです。とくに建設業界は、繁忙期や土日などに働ける人材を求める傾向にあるため、フリーターの方をはじめ未経験者でも正社員として迎え入れてくれる企業は多いでしょう。
- 商品企画
- 研究・開発
- 生産
- 品質管理・検査
具体的な有効求人倍率は、上記のようなお仕事内容ごとで異なります。例えば、機械整備・修理従事者は「4.68倍」、金属製品を除く製品検査従事者であれば「2.03倍」です。製造業では定められた生産ラインやマニュアルに沿ってお仕事を進めることが多いため、フリーターの方をはじめ未経験者でも正社員を狙いやすいでしょう。
小売・販売
小売・販売では、さまざまな業界において求められる職種です。商品を顧客に販売するため、以下のような幅広い業務を行います。
- 商品の店頭販売
- 実演販売
- 店舗受付
- バックヤードでの作業
小売・販売(商品販売従事者)の有効求人倍率は「1.96倍」です。直接的に売上に関わるお仕事であるため、企業の採用ニーズも高く、フリーターの方をはじめ未経験からでも正社員として挑戦しやすいでしょう。採用の可能性を高めるために、リテールマーケティング(販売士)や接客販売技能検定などの資格を取得しておくこともおすすめです。
事前準備を整え自分に合ったルートでフリーターから正社員を目指そう
フリーターから正社員を目指すルートには、転職エージェントや紹介予定派遣、正社員登用制度の活用など、さまざまな方法があります。ルートごとで正社員になれるまでの期間などは異なるため、自分にマッチした方法を選ぶことが大切です。
正社員になる可能性を高めるには、「早めに転職活動を開始する」「幅広いお仕事をチェックする」といったポイントも押さえましょう。有効求人倍率もチェックして、採用の需要が高い業界を選ぶことも大切です。
フリーターから正社員を目指すにあたっては、上記で解説した転職エージェントの活用も検討しましょう。転職エージェントを活用することで、コンサルタントから正社員になるコツや狙いやすい業界などのアドバイスを受けられるため、採用の可能性を高められます。
アデコの転職支援では、フリーターの方から第二新卒の方まで、幅広い求職者をサポートしています。非公開求人も多数抱えているため、まずはお気軽にご相談ください。