少子高齢化が進む日本において、介護のお仕事は年々需要が高まっています。未経験から始めても資格を取得すればキャリアアップが十分可能なため、お仕事の幅を広げて活躍したい人にはおすすめです。今回は介護のお仕事の種類や働ける施設、おすすめの資格などを紹介します。
介護保険制度は、要支援者・要介護者と定められた方々が、安全で健康的な生活を送れるよう社会全体で支える制度です。少子高齢化が進む日本においては、特に、一人で日常生活を送ることが困難な人をサポートする介護のお仕事は、欠かせない職業です。
介護のお仕事の需要は高まっているため、基本的には無資格・未経験からでも始めやすい傾向にあります。
働く場所の種類も豊富であり、資格を取得すればキャリアアップも可能です。未経験であっても意欲や熱意があれば多くの方がチャレンジできるのは介護のお仕事の魅力といえます。
しかし働く環境によっても、チャレンジのしやすさは変わります。 アデコなら介護のお仕事に携わるすべての皆さまが、いきいきと働いていただくことを目指し、あらゆる雇用形態の就業支援を行っています。
「介護のお仕事に興味がある」という方、まずお気軽にご相談ください。
介護のお仕事の種類としては、主に以下の2つが挙げられます。
いずれも要介護者や要支援者に対して行われます。それぞれで具体的なお仕事内容や必要な資格が異なるため、自分の適性に合ったものを選ぶことが大切です。
身体介護とは、介護のお仕事の中でも、サービス利用者の身体に直接触れて行う業務を指します。利用者の身体に触れる業務以外にも、例えば「自立を促すための声かけ活動」なども身体介護の一貫です。
具体的な身体介護の種類としては以下が挙げられます。
生活援助では、身体介護とは異なり利用者の身体に触れて介助する行為は対象となりません。利用者の身体には触れず、日常的な家事をメインとした生活周りの支援が中心です。
とはいえ、利用者の生活周りすべてを介助者が代行するわけではありません。可能な範囲で利用者自身に生活してもらい、必要に応じて介助者がサポートするという形です。
生活援助の種類としては以下が挙げられます。
上記のサポート対象となるのは、あくまでも利用者自身に関連する生活周りの行動に限定されます。「ペットの世話」「家族分の調理」などは生活援助に含まれません。
介護のお仕事では、さまざまな職種が協力し合い、利用者の生活をサポートしています。具体的な介護業務に関連する職種は以下の通りです。
ヘルパーとは、利用者を最も身近な立場でサポートする職種です。一般的に「介護のお仕事」と聞くと、ヘルパーを思い浮かべる人も多いでしょう。ヘルパーが働く場所は、利用者の自宅・老人ホーム・デイサービス・訪問介護ステーションなどさまざまです。
生活援助のように、利用者の身体に触れない業務であれば無資格でも取り組めます。身体介護など利用者の身体に直接触れる業務の場合は「介護職員初任者研修」などの各種資格が必要です。ただし、有資格者監視の元であれば、無資格者でも利用者の身体に触れる業務を行うことができます。
事業所によっては、無資格で取り組める業務を担当しながら資格を取得し、お仕事の幅を広げるという働き方もできます。事業所から資格手当が付与されるケースもあるため、介護でのキャリアアップを考えている人はチェックしておきましょう。
ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、利用者が最適な介護サービスを受けるための「ケアプラン」を作成する職種です。本人の状況や家族の希望、事業所の事情などを考慮して、利用者が快適に介護サービスを受けるための調整を行います。
ケアプランの作成後も、「計画の進捗確認」「医療従事者との連携」などによる調整を行い、サポートを継続します。ヘルパーとは異なりデスクワークがメインとなるため、現場で経験を積んだベテランの方はもちろん、体力面で現場でのお仕事が難しくなった方なども就業可能です。
サービス提供責任者(サ責)とは、訪問介護施設の責任者ポジションにあたる人物です。ケアマネジャーが作成したケアプランに沿って、適切なサービスを利用者に提供できるように調節します。
利用者へのサービス提供だけでなく、施設管理や財務管理、営業、人材育成なども担当することが多くなります。現場のヘルパーにスキルを指導する立場にあるため、円滑な介護業務の遂行に向けて、サービス提供責任者の存在は欠かせません。
サービス提供責任者になるには、「実務者研修を修了している」「介護福祉士の資格を保有している」などから、ひとつの条件を満たす必要があります。
生活相談員は、施設入居前に利用者や家族から相談を受けたり、必要な説明や各種手続きを行ったりする役割を担います。ケアマネジャーや施設の介護職、医療機関などとも連絡を取り合い、利用者がスムーズに入所できるようサポートを行います。
働く施設によって呼び方は異なり、特別養護老人ホームなど要介護者向けの場合は「生活相談員」、介護老人保健施設など日常生活に戻る人向けの場合は「支援相談員」と呼びます。
生活相談員になるには、「社会福祉士」「精神保健福祉士」「社会福祉主事任用資格」のいずれかの資格が必要です。
介護施設の看護師は入居者の健康管理や療養、医師の指導のもとで行われる医療業務を行います。 介護士が日常生活のサポートを行うのに対し、看護師は医療的なサポートを行います。
介護士は原則として医療行為を行うことができないため、医療的な判断を任されることもあります。
機能訓練指導員とは、利用者の身体の状態に合わせた機能訓練を実施する指導者です。利用者の身体機能を評価し、改善に向けた訓練計画を作成して実行します。現在以上に利用者の介護度が上がらないよう、予防支援を行うこともお仕事のひとつです。
訓練計画は定期的に見直しが実施され、利用者の状況や家族の意向も踏まえて作成します。
機能訓練指導員になるには、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・鍼灸師など、専門分野に関わる資格が必要です。保有資格に応じて、提供できる訓練内容も異なります。例えば「作業療法士は日常生活の動作改善を行う」「言語聴覚士は話す・聞く機能の改善指導を行う」といった違いがあります。
施設長などの管理職に就くと、介護の現場からは離れ各事業所全体のマネジメントを担当します。例えば以下のように幅広い業務を行います。
管理職に就くにあたって、必ずしも資格が必要なわけではありません。無資格で管理職になることもあれば、規定の資格や現場経験、講習会への参加などが定められているケースもあります。
介護業務全般に関する事務作業を担当する職種です。具体的には以下の業務を行います。
事務職については特別な資格は不要です。とはいえ、自治体への介護報酬請求という重要な役割があるため、ある程度保険制度に関する理解は必要になります。
利用者との関わりは少ないですが、生活を裏で支える重要な職種です。
調理スタッフは、利用者の健康を考えた食事を考案して作ります。通常の食事が困難な利用者もいるため、個人の状況に応じて適切なメニューの組み立てが必要です。管理栄養士の資格や調理師免許を取得していると働きやすいでしょう。リネン・清掃スタッフについては、完全に無資格でも働けます。
介護のお仕事の平均月収(月給制で常勤の場合)は、令和3年9月時点で「31万6,610円」です。
時給制で働く一部非常勤を除いては、基本的に職種・勤続年数・施設の種類などに関わらず、令和2年9月時点の平均月収よりも数千円程度アップしています。
介護のお仕事を行う施設は、主に「入所・居住型」「通所型」「訪問型」に分類できます。各タイプの中にはさらに複数の種類があり、それぞれ対象利用者やお仕事内容なども異なるため、チェックしておきましょう。
入居型の主な介護施設は以下の通りです。
特別養護老人ホームは、原則として「要介護3」以上の人が利用できる施設です。介護の必要性が高い利用者が集まるため、身体介助および生活援助を幅広く行います。入浴や排泄、着替え、移動などの介助だけでなく、認知症患者の見守りなども重要な業務の一環です。
公的機関が運営しており、民間よりも安価な費用で入居できることが多く人気がありますが、入居は先着順ではなく利用者の介護状況を考慮して決めるため、待機するケースもあります。
有料老人ホームは、大きく「介護付き」「住宅型」の2種類に分かれます。
「介護付き」には、要介護者のみが利用できる介護専用型と、自立者も対象にした混合型があります。介護職員が24時間常駐しているため、月額制で充実した介護サービスを受けられる点が特徴です。
「住宅型」には、ある程度自立できる利用者から要介護者まで、幅広い人が入居します。介護付きとは異なり、必要な分だけ介護サービスを受けるという形式を取っています。料金も定額制ではありません。
入居者の介護の必要性にバラつきがあるため、業務内容をも異なってきます。例えば、医療処置を施す必要性が高い人の入所する施設では、介護スタッフが経管栄養注入などの業務を行うこともあります。
グループホームでは、認知症の利用者が5〜9人程度のユニットを作り、介護職員のサポートを受けながら共同生活を行います。家事を分担して入居者に役割を与え、認知症の進行を緩めることを目的として運営されています。介護というよりも、入居者の認知症の進行を遅らせて、安全な日常生活を送るためのサポートがメイン業務になると覚えておきましょう。
原則として要支援2以上の認知症患者が入居可能です。毎日顔を合わせる相手が変わらないため、認知症患者でも安心して暮らせます。ただし、症状が重篤になったり支援度が上がったりすると、退去せざるを得ないケースもあります。
介護老人保健施設とは、病院からの退院後に日常生活への復帰が難しい人が利用する施設です。身体介護や各種リハビリを通じて、自宅に戻るためのサポートを入居者に対して行います。必要に応じて、医師やリハビリの専門家などと連携することも多いです。
自宅への復帰が前提にあるため、原則として終身での利用はできません。3〜6ヶ月ほどで退所します。
ケアハウスは「軽費老人ホーム」の一種です。「自立しているが日常に不安がある」という人を対象にしており、比較的費用負担を抑えて入居できます。所得制限も設けられていないため、高額な施設利用料を支払うのが難しい人の利用も多いです。
ケアハウスは、大きく「一般型」「介護型」の2種類に分けられます。「一般型」では入居者に対して家事など生活周りのサポートを提供することがメインであり、「介護型」では生活の支援に加えて身体介護や機能訓練なども行います。
ショートステイでは、短期間のみの入居者に対して必要な介護サービスを提供しています。提供する業務内容としては、身体介護や日常生活のサポート、機能訓練などが多いです。
短期の受け入れであるため、例えば「普段は家族に介護を受けているが出張や旅行で一時的に家を空ける」といった事情がある人の利用が多いです。
サービス付き高齢者向け住宅とは、自由度の高い生活を送れるバリアフリー構造の賃貸物件です。一般的な住宅と同じように外出もできます。上記で紹介した施設とは異なり、ある程度一人で生活できる入居者も多いため、介護より「安否確認」「生活相談」がメイン業務となります。ただし、入居者の状態によっては、生活支援や医療サービスの提供などを行うこともあるため覚えておきましょう。
通所型の主な介護施設は以下の通りです。
デイサービスとは、日中は施設に通い日帰りで介護サービスを受ける施設のことです。原則として要介護状態に認定された利用者が対象です。自宅との送迎も介護スタッフの業務内容に含まれています。
食事や入浴といった身体介護だけでなく、施設に応じてレクリエーションを実施することもあります。
上記のデイサービスでは食事や入浴など日常生活のサポートがメインでした。一方デイケアでは、機能維持回復訓練や日常生活の動作訓練など、リハビリのためのサポートをメインで提供します。
病院や診療所などに併設された施設で、作業療法士や理学療法士などの指導を受けて、機能回復に向けたリハビリを実施します。
訪問型としては「訪問介護」が該当します。
訪問介護とは、ヘルパーなどが利用者の自宅を訪問して、身体介護や生活援助を行うお仕事です。自力では日常生活を送ることが難しくなった利用者の行動をサポートします。ただし、「医療行為」「必要な範疇を超える家事代行」については行うことができません。
介護関連の資格は複数あります。特に以下4つの資格を保有していると、介護のお仕事をするにあたって専門性を磨きやすい傾向にあります。
介護職員初任者研修は、介護としてのキャリアをスタートさせる際に取得することが多い資格です。資格を取得すると、介護職に必要な最低限の技術や知識を持っていると認定されます。利用者の身体に直接触れる身体介護も行えるようになるため、業務の幅は大きく広がるでしょう。
資格取得には、約130時間の研修を受講して修了試験に合格する必要があります。研修は通信講座とスクーリングを組み合わせて受講できるため、働きながらでも取得可能です。
介護職員初任者研修の取得には、特別な受験要件がありません。規定の研修と試験をクリアすれば取得できるため、無資格・未経験から介護のお仕事に携わる方もチャレンジしやすい資格といえるでしょう。
介護福祉士実務者研修とは、上記の介護職員初任者研修からのステップアップ先として位置付けられている資格です。取得することで「介護福祉士(後述)」への受験資格も得られます。
介護福祉士実務者研修をクリアすると、痰吸引や経管栄養といった専門知識を学べるうえ、サービス提供責任者としてのキャリアも開かれます。現場における介護業務以上のキャリアを考えている人にとっては必須の資格と言えるでしょう。
キャリアの幅が広がる資格ですが、介護職員初任者研修と同じく無資格・未経験者からでもチャレンジできます。「介護職員初任者研修を取得していないとチャレンジできない」という縛りはありません。
介護福祉士とは、介護職唯一の国家資格です。取得することで介護に関するスペシャリストであると認定されるため、年収アップにもつながりやすいです。介護職でのキャリアアップを考えているのであれば、必須の資格といえます。
介護福祉士の資格を取得するには、以下4パターンからルートを選びます。
無資格からでも取得はできますが、現場での実務経験や学校での単位取得などが要件に入るため、ある程度の時間はかかるでしょう。
ケアマネジャーになると、ケアプランの作成やスムーズな進行管理など、デスクワークがメインとなります。現場スタッフを管理する立場になるため、介護職におけるキャリアアップとして捉える人も多いです。
ケアマネジャーになるためには、試験および実務研修に合格する必要があります。しかも試験を受けるには、規定の業務で5年以上かつ900日以上従事したという経験が必要なため、取得のハードルは高いです。
介護のお仕事は、利用者の身体ケアなどもあるため、体力勝負である面も強いです。しかし、大変な業務の中でも以下のような多くのやりがいを実感できます。
介護が必要な状態になると、患者本人は自分で思い描いた生活を送ることが困難になります。利用者の家族も介護のために時間を割くため、体力的・精神的にも辛いことがあるかもしれません。
しかし介護サービスがあることで、利用者はなるべく普段通りの生活を送れるようになりますし、家族も介護に時間を割く必要がなくなるため、負担を軽減できます。このように利用者本人だけでなく、家族など周囲の人からも感謝されることの多い仕事です。 こういった点にやりがいを感じる方も多くいらっしゃいます。
介護のお仕事は意欲や熱意があれば、無資格・未経験からの挑戦も十分可能です。
やる気を持って実務経験を積めば、介護福祉士実務者研修や介護福祉士資格を取得してキャリアアップも可能です。資格取得によって管理職などのマネジメント側にも幅が広がるため、「お仕事でどんどん成長したい」と考えている人にはおすすめといえます。
介護のお仕事では、多くの機関や人物との連携を図り、利用者に介護サービスを提供しています。連携する相手は、医療機関・現場スタッフなど、さまざまです。
上記のような幅広い相手と上手に連携が取れて、利用者の希望に沿った介護サービスを提供できた際のやりがいは大きいでしょう。
介護のお仕事はやりがいのあるものですが、大変なこともあります。 ここでは介護のお仕事に向いている方の特徴を紹介。介護のお仕事に興味のある方は、自分に適性があるか、ぜひ一度確認してみてください。
介護のお仕事では、常に利用者の健康状態を気遣い安全に配慮する必要があります。利用者の身体機能は低下しているため、介護スタッフが責任を持たなければなりません。
予想外の事態にも冷静に対処し、小さな変化も見逃さない人は介護のお仕事に向いています。
人の気持ちを汲み取り、利用者に気持ちよくサービスを受けてもらえるよう努力できることは、介護のお仕事に取り組むうえで重要な要素です。
介護のお仕事では、利用者に安全なサービスを提供するため、医療機関や別職種のスタッフなどと連携する必要があります。上手に連携が取れれば、例えば「利用者に体調の変化がある」という場合にも、スムーズな連絡・対応によって確実に安全を確保できるでしょう。そのため、チーム間で積極的に連携を取れる人は適正があります。
介護のお仕事では、利用者とコミュニケーションを取る場面も多いです。利用者にとっても、日常会話をしたり一緒に遊べたりする相手がいることは、毎日を楽しくする要素となります。
上記のような利用者とのコミュニケーションが好きで、楽しく相手ができる人であれば介護のお仕事に向いているでしょう。
日本は現在、少子高齢化が進んでいます。今後高齢者の数は増えていくと予想されるため、介護のお仕事の需要はさらに伸びていくでしょう。
需要が高いお仕事は、基本的になくなることがありません。安定した環境で働きたい人にとって、需要が高い介護のお仕事はおすすめです。
今回は、介護のお仕事の種類や取得すべき資格、働ける施設、向いている人などを解説しました。解説した内容は以下の通りです。
介護のお仕事は大変ですが、やりがいのあるお仕事です。 アデコでは、介護のお仕事に携わるすべての皆さまがいきいきと働いていただくことを目指し、あらゆる雇用形態の就業支援を行っています。 気になる方はアデコの介護の就業支援についてぜひチェックしてみてください。
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