パートから正社員になる方法は、主に「登用制度を活用する」「転職する」の2つです。正社員を目指す際には「登用実績が多い業界で働く」「転職エージェントを活用する」など、意識すべきポイントが異なるので押さえておきましょう。このページでは、パートから正社員になる方法やそれぞれで意識すべきポイントなどについて解説します。
パートから正社員になる方法は主に2つ
パートから正社員になる方法は、主に以下の2つです。
- パート先の正社員登用制度を活用する
- 別の職場へ正社員として転職する
- 残業が少ない
- 通勤ラッシュを避けられる
- 平日や昼間の時間を自由に使える
パート先の正社員登用制度を活用する
正社員登用制度とは、パートやアルバイト、派遣社員などの非正規雇用者を、正社員に切り替える制度のことです。各企業が定める試験や面接などの条件をクリアすることで、正社員登用されます。
パートの方からすると、すでに職場の雰囲気やお仕事内容を把握できているため、入社後のミスマッチがほとんど発生しません。企業からしても、完全に新規で採用するより、働きぶりを知っているパートの方を雇用したほうが安心です。正社員登用制度の有無は企業によって異なるため、事前に確認しましょう。
別の職場へ転職する
転職する場合は、慣れ親しんだ職場を離れることになりますが、今より自分の希望にマッチしたお仕事を見つけられる可能性があります。とくに「パート先に正社員登用制度がない」「登用後の雇用条件が希望にマッチしない」といった場合は、別の職場へ転職したほうがよいでしょう。
別の職場を目指すのであれば、転職エージェントの活用もおすすめです。転職エージェントであれば、さまざま業界の情報を持つコンサルタントから、面接対策や書類作成などに関するアドバイスを受けつつ有利に転職活動を進められます。
正社員登用を希望する場合に意識するポイント
現在のパート先で正社員登用を目指す場合は、以下のポイントを意識するとよいでしょう。
- 正社員の登用実績が多い業界で働く
- 日々のお仕事にまじめに取り組む
- 具体的な採用条件や登用実績を確認しておく
- 「正社員になりたい」という希望を自分から伝える
正社員の登用実績が多い業界で働く
「正社員登用制度はあるが採用実績はほとんどない」という企業もあります。正社員登用を目指すのであれば、登用実績が多い業界や企業で働きましょう。
正社員登用実績が比較的高い業界の例は以下の通りです。
医療福祉 | 51% |
---|---|
金融、保険業 | 50% |
運輸、郵便業 | 47% |
日々のお仕事に真面目に取り組む
正社員登用の可否を決める際は、パート時代の働きぶりも判断基準となります。そのため、日頃の業務に真面目に取り組みましょう。「無断欠勤や遅刻をしない」「職場のルールを守る」など、最低限の内容をクリアできれば、業務に対する真面目な姿勢をアピールできます。
具体的な採用条件や登用実績を確認しておく
正社員登用の採用条件や登用実績は企業ごとで異なります。登用条件を確認しておけば、例えば「登用には◯◯の資格が必要なので取得しておく」というように適切な対策を実施できるでしょう。また実際の登用実績が少なければ、「パートの経験をアピールして別の企業に転職しよう」という判断も行えます。
「正社員になりたい」という希望を自分から伝える
登用制度があったとしても、自分から「正社員になりたい」という希望を企業にしっかりと伝える必要があります。
職場によっては、企業から「正社員にならないか?」と声をかけられるケースもあるでしょう。しかし、声がかかるのを待つよりも、自分から意思表示をして積極的にアクションを起こしたほうが、よりスピード感を持って正社員に近付けます。
別の職場へ転職する場合のポイント
正社員登用制度を使わず別の職場へ転職する場合は、以下のポイントを意識しましょう。
- 未経験でも挑戦しやすい業界を狙う
- 資格を取得しておく
- パート時代の経験を生かして志望動機を練る
- 面接対策を行う
未経験でも挑戦しやすい業界を狙う
「有効求人倍率が高い」「特別な資格が必要ない」といった業界や職種は、未経験でも挑戦しやすい傾向にあります。例えば、有効求人倍率が高い業界としては以下が挙げられます。
介護(介護サービス職業従事者) | 3.49倍 |
---|---|
営業(営業職業従事者) | 2.26倍 |
小売り・販売(商品販売従事者) | 1.96倍 |
上記のような業界は求職者数よりも求人数が多いため、未経験者でも歓迎される可能性が高いです。
未経験から挑戦できるお仕事については、転職サイトで「未経験可」「未経験OK」「経験不問」などの文言で絞り込めるため、優先的にチェックしましょう。
未経験業界に転職する際の詳しいコツなどは下記のページでも解説しています。
未経験転職について詳しくはこちら資格を取得しておく
企業からすると、パートなどの未経験者が転職してきた際に「正社員として勤務できるスキルはあるか?」という点を不安に感じやすいです。そうした不安を払拭するには、希望の業界や業種に応じた資格を取得しておくことも有効です。
例えば以下のような資格があげられます。あくまで一例ですので、自分の目指す職種にあわせて、どんな資格が有効なのかも確認してみましょう。
- TOEIC
- 簿記
- MOS
- 秘書検定
- 文書情報管理士
- ファイナンシャルプランナー
パート時代の経験を生かして志望動機を練る
転職活動では、志望動機を必ず聞かれます。とくにパートから正社員になるのであれば、企業としても「なぜ自社で正社員になりたいのか?」は気になる部分です。その他にも「転職者のビジョンが企業の方針とマッチしているか?」「物事を論理的に正しく説明ができるか?」など、さまざまな部分をチェックされるため、志望動機は入念に作成しましょう。
志望動機を作成する際は、パート時代の経験を絡めることがおすすめです。パート時代の経験を絡めることで志望動機に説得力が生まれ、企業に対しても「行動に一貫性がある」という印象を与えられます。
面接対策を行う
転職する際には、取得した資格や作成した志望動機を生かし、面接で自分を上手にアピールする必要があります。どれだけ魅力的なポイントがあったとしても、面接で論理的にわかりやすく伝えられなければしっかりと評価してもらえないこともあります。
必ず聞かれるような「正社員を目指した理由」「現在のお仕事内容」なども整理し、実際の面接で対応できるよう対策しましょう。また、企業によっては逆質問の機会を与えられるため、聞くべき内容を事前に準備しておくことが大切です。
面接対策を行うのであれば、転職エージェントの活用も検討しましょう。自分の面接での態度や受け答えに対して、プロの視点から適切なフィードバックをもらえます。とくに面接は、第三者に見てもらわないと話し方のクセや論理の破綻などに気付きにくいです。志望動機も練ってもらえるため、積極的に活用しましょう。
アデコでは、面接対策を含めてコンサルタントが手厚くサポートしてくれます。幅広い業界への転職を成功に導いた実績をもとに、求職者の魅力が最大限まで伝わるような面接対策を行ってくれるので安心です。
アデコの転職支援が選ばれる理由は下記のページでも解説しています。興味のある方はぜひ一度ご確認ください。
パートから正社員になるメリット
パートから正社員を目指すにあたっては、メリット・デメリットの両側面があるため、最初に確認しましょう。まずメリットは以下の4つです。
- 毎月安定した収入を受け取れる
- 安定した雇用のもとで就業できる
- 幅広いお仕事を任されてキャリアの幅が広がる
- 福利厚生や各種手当が手厚くなる
毎月安定した収入を受け取れる
基本的にパートは時給制となるため、出勤数により収入が変動します。とくに年末年始やお盆休みなどで長期休暇を取ったり体調不良で休んだりすると、収入が大きく減ってしまうでしょう。
正社員は月給制であるため、毎月安定した収入を受け取れます。体調不良などで出勤日数が減っても、収入は変わらない点が魅力です。
安定した雇用のもとで就業できる
パートは基本的に有期の非正規雇用であるため、経営状況の悪化などによって解雇されるリスクがあります。
正社員は期間の定めがない正規雇用であり、解雇されるリスクはパートよりも比較的低い傾向にあります。
長期的な雇用が期待できる分、安心して就業することができるのは正社員の魅力です。
幅広いお仕事を任されてキャリアの幅が広がる
パートのお仕事で大きな責任を負うことは、基本的にありません。契約の範囲内で業務をこなすのでプレッシャーは少ないですが、その反面、幅広い経験を積めずにキャリアの選択肢が狭くなることもあります。
一方、正社員の場合は幅広い経験を積める可能性が高く、キャリアのステップアップが望めます。
福利厚生や各種手当てが手厚くなる
パートの場合も就業時間や日数などの条件を満たせば、社会保険や雇用保険、有給などの法定福利厚生(法律で義務付けられているもの)は付与されます。しかし、通勤手当や社食利用、家賃補助などの法定外福利厚生(義務ではなく企業が独自に付与するもの)の設定は企業の判断に任されているため、パートに適用されないこともあります。
正社員の場合は、上記のような法定外福利厚生も付与されることが多いです。家賃補助や従業員割引など、支出を直接減らせる制度を利用しやすいのは、正社員ならではの魅力といえます。
パートから正社員になるデメリット
一方で、パートから正社員になることで以下のようなデメリットもあります。
- パート時代よりは勤務時間の融通が効きにくい
- お仕事における責任・負担が増加する
- 転勤・異動・配置転換を断りにくい
パート時代よりは勤務時間の融通が効きにくい
パートであれば自分の都合に合わせてシフトを変えられるため、勤務やプライベートの時間を柔軟に決めることができました。
正社員の場合は、「週5日・毎日8時間」というフルタイム出勤が原則です。パートのように「休みたいときに休む」ということはできません。
企業によっては従業員の負担を軽減するため、リモートワークを行ったり時短勤務制度を整備していたりするケースもあります。とはいえ、基本的にはフルタイム出勤がメインです。
プライベートを充実させたい場合には、勤務時間に融通の利くパートの方が理想的な働き方に近い方もいるかもしれません。
お仕事における責任・負担が増加する
パートの場合は、契約で定められた業務を行っていれば問題ありません。負担がかかる業務は拒否することも可能なため、お仕事で大きな責任を負うこともないでしょう。
正社員の場合は、顧客とのやり取りや従業員のマネジメントなど、大きな責任を伴う業務を担当する機会が増えます。自分以外が起こしたミスやトラブルへの対処も必要なため、精神的な負荷は大きくなるでしょう。そういった責任や負担に耐えきれない方にとっては、必ずしも正社員が最良の選択肢であるとは限りません。
転勤・異動・配置転換を断りにくい
パートなどの非正規雇用では、原則として転勤・異動・配置転換などはありません。もし配置転換などを提案されても、比較的断りやすいでしょう。
一方で正社員の場合は、転勤・異動・配置転換を命じられた際に断ることが難しいです。とくに全国に支社がある企業では、転勤を命じられる可能性が高くなります。もし断ると、社内での評価に響く可能性も皆無ではありません。
「介護が必要な家族がいる」「まだ子どもが小さい」といった家庭からすると、転勤や異動などを断りにくいというのは大きなデメリットです。
無期雇用転換ルールの活用も検討しよう
正社員にこだわらない場合は、「無期雇用転換ルール」の活用も検討してみてください。無期雇用転換ルールとは、パートを含めた有期雇用契約が5年以上更新された場合、従業員が希望すれば無期雇用に転換できるという制度のことです。必ず正社員で登用されるわけではありませんが、無期雇用になるためパートより安定して働けるでしょう。
もちろん、無期雇用転換しなくても問題ありません。転換することで正社員になった際のデメリットに近い影響を受ける可能性もあるため、自分のライフスタイルや希望の働き方を考慮して決めることが大切です。
メリット・デメリットも考慮し自分に合った方法で正社員を目指そう
パートから正社員になる方法としては、正社員登用制度の利用や転職が一般的です。他にも無期雇用転換ルールの活用なども検討できるため、メリット・デメリットを考慮して自分にマッチした方法で正社員を目指しましょう。もちろん、理想のライフスタイルや働き方を考えて「パートのほうがよい」という判断になっても問題ありません。
今後のキャリアや福利厚生などを総合的に考えた結果、「正社員を目指したい」という場合は、転職エージェントの利用も検討しましょう。自分の希望条件に合わせた求人を紹介してもらえるだけでなく、志望動機の作成や面接対策などもサポートしてもらえます。とくに「パート期間が長く正社員への転職でわからない点がたくさんある」という方は、積極的に活用するのをおすすめします。
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