創業以来、東北エリアへ低廉な電力の安定的な供給に努める東北電力さま。電力の自由化や昨今の社会情勢を背景に、より一層業務効率化やコストダウンが求められています。同社では業界に先駆けて電力契約に関する業務を集約し、アウトソーシングしました。
今回、東北電力株式会社 リビング営業部カスタマーセンター、カスタマーサービスグループ 課長 川原 範夫さまへアウトソーシング導入の目的や、当社にご依頼いただいた理由、導入後の効果などをお聞きしました。
ご依頼者さま: 東北電力株式会社 リビング営業部カスタマーセンター カスタマーサービスグループ 課長 川原 範夫さま
アウトソーシング運営責任者: アデコ株式会社 アウトソーシング&ソリューション事業本部 サービスデリバリー4部3課 課長 藤原 俊輔
導入前の課題
- 事務業務の効率化
- コストの抑制
Adeccoを選んだ決め手
- 質の高い柔軟な組織体制
- 顧客視点のサービス提供
導入後の成果・効果
- 事務業務の効率化
- コストの改善
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
集中処理センターの創設と同時にアウトソーシングを導入
――まず川原さまの携わっている業務について教えてください。
川原さま 販売部門におけるコールセンターを統括しています。コールセンターは法人・個人のお客さまの窓口として、電気の利用開始・停止の申し込み、口座振替、クレジットカード支払い、料金プランの変更など、契約に関する多岐にわたる業務を担っています。適切な対応と適正な処理で、お客さまに満足と感動を与えるのが、私たちの大きな役割であり目標です。
――コールセンターはお客さまの窓口になるとのことでしたが、業務をアウトソーシングしたのはなぜでしょうか。課題や背景をお聞かせいただければと思います。
川原さま 東北電力は1951年の設立以来、「東北の繁栄なくして当社の発展なし」を基本的な理念に掲げ、低廉で安定的な電力の提供に努めてきました。低廉な電力を安定して供給するためには、設備の最適化はもちろんのこと、事務業務の効率化を図り、コスト抑制に取り組むことが欠かせません。
事務業務の効率化について、販売部門の果たす役割は非常に大きくなっています。当社では販売部門の効率化施策として、段階的に集中処理センターを開設し、定型業務のアウトソーシングを拡大してきました。
課題は「分散ロス」をなくすこと
――集中処理センターについて、詳しくご説明いただけますか。
川原さま まず2000年8月に集中処理センターの第一号として料金事務センターを開設しました。当時、国内には10の電力会社がありましたが、集中処理センターに着手したのは当社が初ということもあり、とても注目されました。
その後、コールセンターと契約センターを2004年と2006年にそれぞれ開設しています。
――集中処理センターがつくられる前は、どのように業務を行っていたのでしょうか。
川原さま 当社には新潟を含め営業所が約60カ所あり、分散処理体制を取っていました。営業所ごとにお客さまの窓口業務を行っており、お客さまにも担当する営業所に直接ご連絡をしていただいておりました。口座振替やクレジットカードによる料金支払いについても、各営業所が金融機関に個別に連絡を取っていたので、分散ロスがあったのは明らかでした。
――集中処理は効率化が図れる反面、社内外で戸惑いの声もあったのではないでしょうか。
川原さま 金融機関の方から窓口を一本化してほしいという要望をいただいていました。ただ、慣れ親しんだ手法を変えるとなると、どうしても一定の抵抗感は生まれます。そのため、法人・個人のお客さま、金融機関には丁寧な周知を行いました。
また、営業所から窓口業務の一部を切り離すと、集中センターがお客さまにどのような対応をし、お客さまからどのようなご要望が上がっているかがわかりづらくなります。こうした事態を防ぎ、集中センターと各営業所との連携を深める意味でも、どんな工夫をしながら窓口対応を進めているか、お客さまからどんな声が届いているか、集中センターから随時、情報の発信を行っています。
柔軟な処理体制の構築、質の高い業務の提供が決め手
(左)Adecco 藤原、(右)川原さま
――アウトソーシング先を選定するに当たり、Adeccoに決定した理由をお聞かせいただけますか。
川原さま アウトソーシングサービスを提供する企業は多くありますが、Adeccoさまを選定する決め手となったのは、質が高く柔軟な処理体制を構築できるという点に尽きます。
Adeccoさまとは以前から派遣契約でお付き合いがあり、2007年から始まった電気料金のクレジットカード決済の処理業務を共同で進めていました。2011年には委託契約に切り替え、また2016年からは口座引き落としの業務も依頼しています。電気の契約申込み件数は季節によって大きく変動し、年間を通じて同じ体制で業務に取り組めばいいということはありません。その点、Adeccoさまは柔軟に処理体制を構築し、常に質の高い業務を提供していただいています。
業務改善や顧客満足度の向上に向け、同じ目線で取り組んでもらえることが、とてもありがたいことです。付き合いが長いので、気軽に相談できる良さもあります。
藤原 高い評価をいただき、大変うれしく思います。東北電力さまとは以前から派遣でお付き合いがあり、質の高い業務をミスなくスピーディーに提供することで、信頼が高められたのだと思います。そのことがアウトソーシングの取り引きにつながったと自負しています。
――今回のアウトソーシングを導入後、組織にはどのような影響があったでしょうか。生産性の向上や業務効率化、業務負荷の軽減が図れた点を教えてください。
川原さま 口座振替やクレジットカードの支払い手続きの申し込み件数は2021年の実績で約46万件です。季節による業務量の変動が大きく、引っ越しシーズンに少し遅れて4~5月に業務が集中します。大量の業務を短期間で処理しなければならず、これまでは必要な人員を各営業所に配置し、スキルを継承していたことから、効率化や人件費の面で大きな損失がありました。それがAdeccoさまへのアウトソーシングで大きく解消されました。
大量の書類を効率よく処理するため、AIOCRを導入しDXを図る
――効率化に向けた具体的な施策で、特徴的なことはあったでしょうか。
川原さま 2021年にAIOCRを導入したことが挙げられます。口座振替の手続きは届出印が必要なため、どうしても手書きにならざるを得ません。そのため、紙の申込書を受領し、ご記入いただいた文字を人の目で読み取ってシステムへ入力する必要がありました。
しかし、AIOCRを導入することで、業務が効率化されDXの推進もできました。業務フローは大きく変わり、対応に苦慮する面もあったと考えられますが、Adeccoさまにはしっかりと対応していただきました。
藤原 当社には東北電力さまで10年以上勤務しているスタッフもおり、その分、これまでの慣れもあって、大きな変更には時間がかかる面もありました。
しかし、DXの波が押し寄せてきていますし、本質的なDXを進めることで効率性が格段に上がります。そのメリットをメンバー一人ひとりが十分に理解できたところから、変化への対応のスピードが増したように感じます。2021年はターニングポイントとなりました。
――業務を手がける上で、Adeccoではどんなことを大切にしていますか。
藤原 指標としては、手続き書類の到着から定められた期日内で処理ができるか、またそのなかでミスの発生率をゼロに近づけることができるかなどがあります。お客さまに迷惑をかけないこと、満足度を高めること、これが指標の原点です。
ますますのDXの促進、CXの向上に期待
――最後に、Adeccoに期待することをご提示いただければと思います。
川原さま 電力業界は2016年に小売りが自由化され、競争が激化の一途をたどっています。他方、現在の社会情勢に目を転じてみると、新型コロナウイルスや紛争のことなどもあって、発電の燃料となる重油、LNG(液化天然ガス)の価格が急激に上昇しています。こうした状況を受け、販売部門はさらなる効率化、コスト削減に向き合っていかねばなりません。課せられた使命も大きなものとなっているといえるでしょう。
当社はこれまで10年以上にわたりAdeccoさまとパートナーシップを結んできました。業務に精通しているスタッフの方々は多くいます。普段の何気ない気づきや小さなエラーも大切にして、業務改善やコスト削減に向けた継続的な提案を期待しています。また、Adeccoさまは強みとして、DXやCXのノウハウを多く持っています。Adeccoさまの助力を仰ぎながら、DXの促進、CXの向上も加速をかけていければと思っています。
藤原 これまでは、今までの延長のなかで何ができるかを模索していました。しかし、今は時代が大きく変化し、業務への取り組みや考え方を根本的に変えていかねばならない状況になっています。AIOCRのようなこれまで扱ったことがないことにも、より積極的に取り組んでいかねばならないでしょう。そうした意味で、過去の経験や知見が必要とされることは残しながらも、大胆な変革が求められます。何が正解かが分からず、成し遂げるのは決して簡単なことではありません。
しかし、こうした状況だからこそ、当社のような存在がこれまで以上に必要とされるともいえます。気持ちを新たにし、日々の業務に向き合っていきます。東北電力さまとますます強固なパートナーシップを結び、事業に貢献できれば幸甚です。
まとめ
東北電力さまの販売部門(集中センター)にアウトソーシングを導入した事例をお伝えしました。Adeccoには20年以上のアウトソーシングの経験と、7500件以上の導入実績があります。企業や自治体などが抱える課題に対し、確かなソリューションを提供し、近年はITの活用についての提案を行い、DXも支援しています。アウトソーシングサービスについてより詳しい説明を必要とされる場合やご相談のある場合はお気軽にご連絡ください。