2019年4月に改正出入国管理法(入管法)が施行された。在留資格「特定技能」の新設により、初めて技能労働を目的とした外国人の受け入れが認められることとなった。
これにより外国人労働者の就労が拡大すると見られたが、今のところ大きくは増えていない。
「詳細な分析が必要ですが、理由の一つに『技能実習』との兼ね合いがあります。これまで多くを占めていたのが、働きながら技能を身につける技能実習でした。
技能実習で就労できるのは最長5年で、修了すると特定技能1号資格が与えられます。企業としては、まず技能実習生として受け入れ、5年後も働いてもらいたい場合に特定技能に移行する、という流れを想定しているのでしょう」
独立行政法人労働政策研究・研修機構の労働政策研究所長、濱口桂一郎氏はこう話す。
とはいえ今後、国内の人手不足が深刻化するのは間違いなく、技能実習から特定技能へのシフトは着実に進んでいく。
「技能実習と違い、特定技能資格を持つ人は、より良い待遇を求めて他社に自由に移ることができます。
今後、特定技能で就労する人が増えれば、単に『人件費が安く済むから』といった理由で雇用していた企業からは外国人はどんどん離れていってしまうでしょう。
2020年以降、外国人にとって魅力ある就労先となるような努力がますます求められるはずです」
Profile
東京大学法学部卒業。
労働省(現厚生労働省)入省。
東京大学大学院法学政治学研究科附属比較法政国際センター客員教授、政策研究大学院大学教授などを経て現職。専門は労働法政策。
近著に『働く女子の運命』(文春新書)。