ここでは、EAPやメンタルヘルスに関する用語を解説しています。
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アサーション
相手の意見を尊重しながら、自分の気持ちや意見を素直に表現するためのコミュニケーション方法。
- ※「アサーティブ・コミュニケーション」:
1960年代、米国の人権運動や社会教育で発展した、自分の意見を円滑に伝えるスキルのこと。
対人関係に悩んでいる人や自己表現などが苦手な人が、個人のコミュニケーションパターンを見つめ直し、実習を通して適切なコミュニケーション方法を獲得することでもある。
安全配慮義務
労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、使用者において配慮する義務のこと。使用者が、この義務を怠り、労働者に損害を生じさせたときは、その損害を賠償しなければならない。この損害賠償は、労災認定による補償と並行して請求されることがある。
なお、この義務は、もともと判例法理として認められてきたものであるが、平成21年3月施行の労働契約法第5条において明文化が図られた。
うつ病
気分障害の一つで、抑うつ気分や不安・焦燥感の増大、精神活動や食欲の低下、不眠などを特長とする精神疾患のこと。
- ※「躁うつ病」:
双極性障害。躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患のこと。
うつ状態(抑うつ状態)
気分が落ち込み、憂うつになる状態のこと。抑うつ状態を呈する代表的な疾患としては「うつ病」があるが、不安障害や統合失調症、適応障害、パーソナリティ障害、など、あらゆる精神疾患の併発症状となり得る。
EAP(Employee Assistance Program)
職場のパフォーマンスを向上させるために、行動科学の観点から個人や企業に解決策を提供するプログラムのこと。1960年代の米国で、アルコール依存症対策を目的に始まった試みで、1980年代後半から、労働者個人や組織の生産性を向上させるために、労働者の健康管理だけでなく、職場のストレス、健康、家族、アルコール、薬物など、広範な分野で従業員の個人的な問題解決を目的とした支援プログラムとして普及した。
EAPA
米国バージニア州を本拠地とする、世界で最大のEAP職能団体のこと。「国際EAP協会」という。
これの日本支部が「日本EAP協会」「EAPコンサルティング普及協会」で、EAPの専門家を育成する各種研修会やセミナーを開催するなど、日本国内でのEAPの普及に努めている。
EAPアドバイザー
EAPサービスを提供する事業者のこと。
外部EAP
職場内外のストレスなど、職場の生産性低下に影響のある問題を抱える企業に対して、その解決のためにさまざまなサービスを提供する事業者のこと。
厚生労働省が推進している「メンタルヘルス指針(事業場における労働者の心の健康づくりのための指針)」において示された、「4つのケア」の「事業場外資源」にあたる。
過重労働
健康障害が発生するほどの過重な負担を伴う労働のこと。「労働時間の長さ」と同時に「労働の質」も重要な要素となる。
過重労働の代表的なものが長時間労働であるが、労働時間がさほど長くなくても、不規則な勤務や、拘束時間の長い勤務などを伴う場合には過重労働となることがある。
- ※「長時間労働」について:
厚生労働省の「過重労働対策」では、「月45時間以上の時間外・休日労働」を行った場合を一つの目安としており、また、月100時間を越えた労働者で疲労蓄積が認められ、本人の希望がある場合は、医師による面接指導を実施する必要がある。
健康配慮義務
従業員が業務に従事する際、業務のなかで、過度の疲労や心理的負担を感じ心身の健康を損ねることがないよう、事業主が注意すべき義務のこと。労働契約法に明記された「安全配慮義務」のなかで、健康面に特化した内容の、下位の概念にあたる。
QWL(Quality of Working Life)
「職務満足度」といわれ、所属する組織に対する満足度のこと。企業の組織、個人の職務、集団の活動などにおける、「働くこと」の積極的な意味づけや、労働環境の質をいう。
直訳すれば「労働生活の質」となり、労働生活の質的充実=働きがいを目指す世界的な運動を指す。
トータル・ライフ・サポート・プログラム(TLSP)を立ち上げた背景として、この「QWL」の考え方があります。組織で働く従業員やその家族の心と体の健康をサポートすることで、一人ひとりが自分の能力を最大限に発揮し、より豊かな「Quality of Working Life」を実現できることを目指しています。
産業医
企業で働く従業員の健康管理に携わる医師のこと。従業員の健康の維持増進や、作業環境および作業・健康管理の方法に対して、専門的立場から助言・指導を行う。「労働安全衛生法」にもとづき、一定規模以上の事業場では、必ず選任することが義務づけられている。
ストレス
寒冷・外傷・精神的ショックなどによって起こる精神的な緊張や、生体内の防衛反応。また、その要因となる刺激や状況のこと。
ストレスの原因を「ストレッサー」、その結果引き起こされる反応を「ストレス反応」という。
ストレスマネジメント
ストレスと上手に付き合っていく方法のこと。ストレッサー(ストレスの原因)による心理的・身体的なストレス反応をできるだけ緩和し、ストレス反応が生じた場合でも、それを長引かせないように対処すること。
CEAP(Certified Employee Assistance Professional)
「国際EAP協会認定EAプロフェッショナル」の略で、EAPA(国際EAP協会)のEAP認定委員会(Employee Assistance Certification Commission)が交付する、EAP専門家の認定資格のこと。
CSR(Corporate Social Responsibility)
「企業の社会的責任」といわれるもので、企業が市民として果たすべき責任のこと。内容はさまざまで、収益を上げ、配当を維持することや、法令を遵守しつつ人権に配慮した適正な雇用・労働条件をもつこと、また、消費者への適切な対応、環境問題への配慮、地域社会への貢献などがある。
- ※出典:大辞泉
試し出勤
病気のため、長期にわたって休職した従業員が職場復帰をする際に、正式な職場復帰に先がけて、出勤あるいはそれに近い取り組みを行ってみる制度のこと。従業員本人にとっては、職場復帰に対する不安を軽減できるという効果が期待でき、職場の側にも従業員が勤務可能かどうかをある程度見極めることができるという利点がある。
THP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)
厚生労働省が2008年に改正した「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」にもとづく、すべての働く人を対象とした、心とからだの健康づくり運動のこと。
具体的には、各事業所が策定した「健康保持増進計画」にもとづき、健康測定や健康・保健・栄養指導、メンタルヘルス対策を行い、健康障害の防止や心と体を健康な状態に保つといった活動を行う。
内部EAP
企業内で従業員に対してEAPを実行する、産業保健スタッフやメンタルヘルス対策を推進する担当者、EAP専門家などのこと。
パフォーマンス
個人(従業員)や組織が元来有している能力のこと。または業務の生産性を意味する。
復職支援
メンタルヘルス不調によって休職していた従業員に、職場に復帰するために必要なサポートを行うこと。
- ※「復職復帰支援プログラム」:
主治医と産業医の意見をもとに、管理監督者や人事労務担当者、産業保健スタッフなどが、職場環境・作業内容・作業時間などの調整や、健康面のケアなどを行い、職場復帰を総合的にサポートすること。
プライバシーの配慮
「プライバシー」(個人や家庭内の私事・私生活。個人の秘密。また、それが他人から干渉・侵害を受けない権利のこと)を、厳格に扱い保護すること。
特に、「メンタルヘルス」に関する個人情報は、本人の同意を得た場合と緊急時(自傷・他害などの事故や事件が発生した場合)以外は第三者へ開示しないよう、EAPコンサルタントやカウンセラーなどの専門家には求められている。
メンタルタフネス
どういった状況でも、本来の自分が持つ能力を最大限に発揮できる心の状態のことで、スポーツ心理学から生まれた考え方。日々のトレーニングで培われるもので、日常生活のさまざまなパフォーマンスに影響するといわれている。
- ※「メンタルタフネス」の具体的な状態(一部)
- リラックスしていて冷静
- 不安がなく自信に満ちている
- 注意力が鋭い
- 集中力がある
- 心と身体を自分でコントロールできる
メンタルヘルス
精神(こころ)の健康のこと。ストレス社会である現代においては、「メンタルヘルスを維持することは、身体の健康を維持することと同じように大切である」と考えられている。
- ※「メンタルヘルス不調」:
精神および行動の障害に分類される精神障害などだけでなく、ストレスや強い悩み、不安など、従業員の心身の健康・社会生活や生活の質に影響を与える可能性がある、精神的および行動上の問題を含むもの全般を指す。
メンタルヘルス指針(労働者の心の健康の保持増進のための指針)
企業や従業員が、心の健康づくりにおいて取るべき対策を「4つのケア」としてまとめた指針のこと。企業のメンタルヘルス対策における基本的な指針として、厚生労働省が2000年8月に公示、2006年3月に新指針として改正している。
- ※「4つのケア」:
- セルフケア
労働者が自らのストレスに気づき予防対処する - ラインによるケア
管理監督者が心の健康に関して職場環境などの改善や、従業員の相談対応を行う - 事業場内産業保健スタッフ等によるケア
事業場(企業など)内の産業医などの産業保健スタッフなどが心の健康づくり対策を提言・推進し、従業員や管理監督者などを支援する - 事業場外資源によるケア
事業場(企業など)外の機関および専門家を活用し、その支援を受ける
4つのケア
「メンタルヘルス指針(労働者の心の保持増進のための指針)」において示されたメンタルヘルスケア(対策)のこと。
- セルフケア
労働者が自らのストレスに気づき予防対処する - ラインによるケア
管理監督者が心の健康に関して職場環境などの改善や、従業員の相談対応を行う - 事業場内産業保健スタッフ等によるケア
事業場(企業など)内の産業医などの産業保健スタッフなどが心の健康づくり対策を提言・推進し、従業員や管理監督者などを支援する - 事業場外資源によるケア
事業場(企業など)外の機関および専門家を活用し、その支援を受ける
労働災害(労災)認定
「労働災害」とは、業務上または通勤途中などで発生した事故によって、傷病・負傷・障害・死亡などに至る災害のことで、その要因が基準と合致した場合に認められることを「労働災害認定」という。
雇用形態に関係なく、その企業で働くすべての従業員(パート・アルバイト・契約社員を含む)に適用される。
- ※派遣社員の場合は、派遣元企業に適用される。
リスクマネジメント
経営活動で起こりえるリスクを組織的に管理することで、さまざまな機会損失を回避しリスクを最小限に抑えること。社会・文化・倫理・政治・法律などを考慮しながら、科学的に妥当で費用対効果の優れた一連の行動(リスク削減・防止策)を実施する。
リファー
問題を抱えカウンセリングに訪れた相談者に対して、その問題解決のために必要となる最適な専門機関を紹介すること。
ワークライフバランス
やりがいのある仕事と充実した生活を両立させることやそういった考え方のこと。「仕事と生活の調和」ともいう。1990年代の米国で生まれた考え方で、企業は、従業員がやりがいや仕事への充実感をもちながら、多様な働き方・生き方を選択し実現できるよう、フレックスタイムや、育児・介護のための時間短縮勤務、在宅勤務などの制度を導入しており、さまざまな取り組みを行っている。