受付けやご案内など、外国人のお客様が来社した際も、慌てることなくスマートに応対したいものです。つたない英語による応対で相手に失礼な印象を与えてしまわないためにも、よく使うフレーズはあらかじめ覚えておきたいですね。
ここでは、英語での来客対応で覚えておきたいフレーズや、注意したいことなどについてご紹介します。
お迎えのとき
まずは、来社したお客様をお迎えするときに用いるフレーズを見ていきましょう。応対する際は、会社に来てもらったことに対する感謝の気持ちをきちんと伝えることが大切です。
迎える
お客様を迎えに行った際の最初の一言は、第一印象を良いものにするためにも重要です。笑顔を忘れずに応対しましょう。
- Welcome to my office.
- 弊社へようこそ。
- Come on in!
- どうぞお入りください!
- We have been expecting you.
- お待ちしておりました。
「We have been expecting you」は、現在完了進行形を用いることで、来訪をずっと楽しみに待っていた、という気持ちを伝えることができる定番のフレーズです。主語を「I」ではなく「We」にすることで、自分だけでなく、会社全体やグループ全体でそのお客様を待っていた、ということを表現することができます。
来社のお礼
お客様を出迎えたら、来てくれたことに対する感謝の気持ちを伝えます。定番のフレーズ「Thank you for coming」は必ず覚えておきましょう。さらに、「遠路はるばる」というニュアンスを持たせたい場合は、「all the way」のフレーズも付け加えるといいでしょう。
- Thank you for coming today.
- 本日は来てくださいましてありがとうございます。
- Thank you for coming all the way from your country.
- わざわざ遠いところ、お越しくださりありがとうございます。
用件や名前、会社名を聞く
基本的に、来客時は相手が用件や名前を最初に伝えてくれることが多いですが、もしそうでなければこちらから用件や名前を聞く必要があります。用件によってその後の対応も変わってくるため、挨拶が済んだら確認しましょう。
- How can I help you?
- どういったご用件でしょうか?
- May I ask your name?(Could I have your name, please?)
- お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?
- Would you mind waiting here for a moment?
- こちらでお待ちいただけますか?
「How can I help you?」は「何かお手伝いしましょうか?」とも訳せますが、用件を聞く際にも用いられる定番フレーズです。名前や用件を伺った後や、わからない場合には、こちらでお待ちいただく旨を伝えましょう。
約束をしているか確認する
約束の有無を確認したい場合のフレーズも見ていきましょう。
- Are you here for an appointment?
- お約束でいらっしゃいますか?
- Would you like to make an appointment for later today?
- 本日、後日のお約束をお取りいたしましょうか。
また、飛び込みの営業や勧誘であった場合は、次のようにして断ります。
- I'm afraid we don't accept any unsolicited business.
- 申し訳ございませんが、勧誘や突然の営業はお断りしております。
お待ちしておりました
事前の約束があった場合は、待っていたという旨の言葉も伝えます。
- Mr.◯◯, we were expecting you.
- ◯◯様、お待ちしておりました。
来客対応が難しい場合
もし、担当者が何かしらの理由で来客対応が難しかったり、そのときに応対できる者がいなかったりする場合は、そのことを伝えましょう。
- ◯◯ is with a visitor now.
- ◯◯は現在、来客中です。
- ◯◯ is out of the office at the moment.
- ◯◯はただ今、外出中です。
- I'm afraid there might have been a mistake, but ◯◯ is away on business.
- 何らかの手違いかと存じますが、◯◯は出張中で不在です。
- I'm sorry, but no one is available at the moment.
- 申し訳ございません、ただ今手が空いている者がおりません。
ご案内のとき
お客様を会議室や応接室まで案内する際のフレーズを見ていきましょう。どこまで案内するのか、行き先をきちんと伝えることで、相手に安心感を与えられます。先頭に立ち、次のようなことを伝えてから案内しましょう。
また、案内する担当者が来るのを待ってもらう場合は、その旨を伝えましょう。
- Please follow me.
- ご案内いたします。
- Please come this way.
- こちらにお越しください。
- I will take you to the meeting room.
- 応接室へお連れします。
- Let me show you around the office.
- 社内をご案内いたします。
- Mr.◯◯ will be here shortly.
- ◯◯がすぐにまいります。
お茶をすすめるとき
会議室や応接室でお客様を待たせているあいだ、飲み物をすすめるシーンもあるでしょう。このフレーズは、ビジネスシーン以外でも使えるため、覚えておくと役立ちます。
- Would you like something to drink?(Can I get you a drink?)
- 何かお飲み物をお持ちしましょうか?
- Would you like some tea or coffee while you wait?
- お待ちいただくあいだ、お茶かコーヒーをお持ちしましょうか?
- How do you take your tea?
- お茶の飲み方はいかがなさいますか?
- Do you take milk or sugar?
- ミルクや砂糖はいりますか?
- Here's some tea, if you'd like.
- よろしければ、お茶をどうぞ。
また、「Could I bring you a drink?」というフレーズは、ソフトドリンクではなくアルコールを指してしまうため、注意しましょう。
お待たせしてしまうとき
担当者が手を離せなかったり、準備が必要だったりする場合は、お客様に案内先で待ってもらわなくてはなりません。そのような場合は、相手の機嫌を損ねてしまわないように、礼儀正しい対応を心掛けましょう。無言のまま待たせてしまうと、「今は何の時間だろうか」とお客様に不安を与えてしまいます。きちんともてなせるよう、基本的なフレーズを押さえておきましょう。
- I will see if ◯◯ is ready to see you.
- ◯◯がお会いできる準備が整っているかを確認します。
- I will let ◯◯ know that you're here.
- ◯◯にあなたがいらっしゃったことをお伝えします。
- Would you mind waiting a few more minutes?(Would you please wait a little longer?)
- もうしばらくお待ちいただいてもよろしいですか?
- Could you please wait here for a minute?(Would you please wait here?)
- こちらで少々お待ちいただけますか?
- He will be right here in a minute.
- 彼はもう間もなくここにまいります。
お客様に待ってもらうときは、丁寧な表現を使うことが礼儀です。椅子などに座ってもらう際も、次のような一言が添えられるといいですね。
- Please have a seat.
- どうぞお掛けください。
お見送りするとき
ここからは、お客様を見送る際のフレーズを見ていきましょう。
- Thank you for taking the time out of your busy schedule to come.
- お忙しいところお越しいただき、ありがとうございました。
- Thank you once again for coming today.
- 改めて本日はお越しくださいまして、ありがとうございました。
このように、来ていただいたことに改めて感謝するのであれば、「Thank you once again」というフレーズを使います。「先ほどもお礼を伝えたけれど、もう一度」というニュアンスになります。
また、お客様に帰ってもらうときは「玄関までお見送りいたします」というフレーズがその合図になります。これを伝えることで、自然に出口までお見送りする流れを作ることができるでしょう。ここで用いる「see out」は、「最後まで見送る」「見届ける」というニュアンスの言い回しになります。
- I'll see you out.
- お出口までお見送りします。
最後に、出口まで案内したら、「自分の案内はここまでです」ということを伝えます。ここで用いる「see off」は「見送る」というだけの意味合いになるため、先ほどの「see out」との使い分けができるように覚えておきましょう。
- I'll see you off here.
- こちらで失礼いたします。
覚えておきたい気の利いたフレーズ
ここでは、お客様との雑談や相手を気遣う際に便利なフレーズをご紹介します。ご案内の後やお見送りの際に使えると、よりスムーズな応対になります。
- Did you have a good journey?
- こちらまでの旅は順調でしたか。
- Would you like to read through ◯◯?
- ◯◯をお読みになりますか。
- Would you like me to take your coat?
- コートをお預かりしましょうか?
- Is there anything you need?
- 何か必要なものはございますか。
- Please send our best regards to Mr.◯◯.
- ◯◯様によろしくお伝えください。
- Have a good trip.
- 快適なご旅行を。
間違えやすい「Would you mind~?」に対する答え方
最後に、「Would you mind~?」の質問に対する返答の意味についての注意点を確認しておきましょう。 この形式の質問は「~で構いませんか?」という意味となるため、相手の返答の意味を逆に受け取ってしまわないように注意しなくてはなりません。
来客の際にお待ちいただけるか確認する際、質問の仕方と返答は次のようになります。
- 〈質問〉
-
- Would you mind waiting?
- お待ちいただいてもよろしいですか?
- 〈回答〉
-
- No, I wouldn't.
- はい、待ちます。
- Yes, I would.
- いいえ、待てません。
- Actually, I am in a little hurry. I need to leave in 10 minutes.
- 実は少し急いでいます。10分で出発しなければならないのです。
「いいえ、待てません」と返答したい場合、表現が強くなり失礼な印象になる可能性があるため、「Actually」を用いた返答にしてもいいでしょう。
パターンを覚えて、笑顔で来客対応をしましょう
英語による来客対応は、パターンが比較的決まっていることもあり、ある程度の英語を覚えておくことで、日本語と同様、スマートに対応することができます。英語での来客対応にも戸惑うことなく、笑顔を忘れずにお客様を迎えられるようにしておきましょう。
Profile
長きにわたり教育現場で教職を経験後、獨協大学国際交流センター長や武蔵野美術大学、立正大学などでも教職を務める。NHKラジオ「基礎英語3」の講師や文部科学省をはじめ、各都道府県の教育委員会・教育センターなどで日本人教師や外国人講師に多数の講演会や研修会を行い、多数の著書を執筆。現在は、英語総合研究所所長として、おもに上場企業の英語研修、および各研究機関への言語データ提供などを行っている。