国際化が進むにつれ、外資系企業との会議や、外国人スタッフが同席する会議など、身近に英語での会議が増えたと感じる人は多いのではないでしょうか。英語でも日本語でも、会議の議事録をとる目的は同じですが、英語で記録するとなると、身構えてしまう方もいるかと思います。
ここでは、議事録の担当になっても焦らないように、英語での議事録のとり方と注意点、使えるフレーズについてご紹介します。
議事録をとる目的は?
会議で議事録をとるのは、「会議で何について話され、何が決まって何が決まらず、誰が何を担当して今後どうするのか」といった事実をクリアにして、関係者で共有するためです。
議事録をとることで関係者が会議での決定事項や実施事項を理解でき、プロジェクトをスムーズに進行することができるでしょう。
英語の議事録をとる目的も同じです。何のために議事録をとるのかを念頭に置いて、誰が見てもわかりやすい議事録を作成しましょう。
英語で議事録を作成する準備
英語でも日本語でも、議事録をとる前の準備が大切です。英語の議事録をとる前に、準備しておきたいことについて確認しておきましょう。
音声を記録する機器を用意
まずは、何を使って議事録をとるのかを決めましょう。一般的には、ボイスレコーダー、パソコン、タブレット、スマートフォンといった物が考えられます。スマートフォンの持ち込みがNGだったり、スライドを共有するためのパソコンが必須だったりと、会議によって最適な物は異なるため、主催者に確認するといいでしょう。場合によっては、音声テキスト入力ができるアプリなどを用意しておくといいかもしれません。
また、急な故障など、会議中にトラブルが発生する可能性もあるので、いざというときのためにノートなど、複数のアイテムを用意しておくと安心です。
議題を事前に確認
会議の前に、何について話し合うのか、議題をあらかじめ確認しておきましょう。会議の目的が頭に入った上で会議に向かえば、準備や情報整理もしやすくなります。
フォーマットを用意
議事録では、必ず記載すべき項目がある程度決まっているので、英語の議事録用にフォーマットを準備しておきましょう。あとは、会議中にフォーマットを埋めていけば議事録が完成します。
英語の議事録に必要な項目と使えるフレーズ例
英語の議事録用にフォーマットを作るとき、必要な項目をご紹介しましょう。
会議タイトル(Title of the Meeting)
まずは、会議のタイトルを記載します。何についての会議なのかがわかるように、簡潔に書きましょう。
例えば、マーケティング戦略会議なら「Strategic Marketing Meeting」、企画会議なら「Planning Meeting」といったものです。
日時(Date and Time)
会議を行った日時を記載しておくことも重要です。日時は、例えば2019年1月1日に会議を開催した場合は、以下のように書きます。
June 1, 2019(または1 June 2019) 10:00am - 11:30am (JST)
日本で開催する場合は、日本標準時間を表す「JST」と付け加えておくといいでしょう。ウェブ会議などで2国以上の参加者がいる場合は、それぞれの時間を記載します。
開催場所(Venue)
会議を開催した場所を記録しておきましょう。Meeting Room A(ミーティングルームA)、Conference Room 1(会議室1)のように、会議室の名前を記入します。
参加者・欠席者の名前(Attendees / Members Not Present)
議事録には参加者だけではなく、欠席者の名前も必ず記録します。こうすることで、会議後に誰に情報共有する必要があるのかが明確になります。
名前には役職と部署名をつけ、敬称は省略しても構いません。おもな英語の役職名や部署名は以下のとおりです。
おもな役職
- President(取締役社長)
- Director(取締役、役員)
- General Manager(部長)
- Manager(課長)
- Section Chief(主任)
おもな部署
- Sales Department(営業部)
- Accounting Department(経理部)
- Planning Department(営業部)
- Public Relations Department(広報部)
- General Affairs Department(総務部)
- Purchasing Department(購買部)
- Engineering Department(技術部)
会議の目的(Purpose of Meeting)
会議の要となる目的については、会議前に決まっていることが多いので、あらかじめ確認しておくか、会議の冒頭に説明されるので記録します。
「To+不定詞+◯◯」といったように、簡潔に書くようにしてください。例えば「To discuss~(~について討論する)」や「To brainstorm~(~についてブレストする)」「To define~(~について定義付けする)」といったフレーズがよく使われます。
例)
To discuss cost reduction measures
(コスト削減施策について)
アジェンダ(Agenda)
アジェンダは、会議の予定と話し合う議題となります。通常、アジェンダは関係者に事前通知されることが多いので、通知内容をコピーしておけば大丈夫です。
要点、決定事項(Points/Decisions)
要点や決定事項は、議事録の中心となる、最も重要な項目です。会議のポイントと、決まったことを記入します。
読んだ人がすぐに理解できるように、「簡潔に明解に」を心掛けて書くようにしましょう。「Agree on~(~で合意した)」「Decide~(~を決定した)」などのようにまとめます。
例)
Agree on the schedule attached(添付のスケジュールで合意した)
Decide to reduce the expenses by 15%(経費を15%削減することに決定した)
議事メモ(Notes)
決定事項などにあてはまらないものの、記録しておいたほうが良い対話やポイントなどは、議事メモに記入しておきましょう。
英語の議事録では、会議の途中経過を記載する必要はなく、結論だけを議事録にまとめます。ただし、意見なのか決定事項なのか迷うこともあるでしょう。そのような場合は、議事メモに記録しておきます。
TODO、今後のスケジュール(Action Items / Next Steps)
最後に、次回の会議日程など、今後のスケジュールと各担当者がやるべきことを明記しておきます。
例えば次回の会議日程については、下記のように記入します。
- Next Meeting: June 15, 2019 11:00am - 12:00am (JST).
- (次回の会議は日本時間で2019年6月15日午前11~12時)
- Mr. Yamada will send the schedule by June 5, 2019.
- (今後のスケジュールについては山田さんが6月5日までに連絡します)
各担当者がとるべきアクションや、次回の会議までに必要なことなども記録しておきましょう。それぞれの課題に対して、「誰が」「いつまでに」アクションするかも明記することも重要です。
例)
All: Send related documents attached by email, due tomorrow
(全員、関連書類を明日までにメール添付すること)
英語の議事録をとるポイント
英語の議事録をとることになったら、記録することに精一杯で「発言録」になってしまうことがあります。
わかりやすい議事録を作成するために、下記のポイントを押さえておきましょう。
文章は簡潔に!
英語で議事録をとるためのポイントは、あいまいな表現を避けて、なるべくシンプルで明確に事実を記述するよう心掛けることです。
長い文章ではなく、できるだけ短いフレーズで、箇条書きでまとめます。
例)
To outsource some Manufacturing to Vietnam
(一部の製造業務をベトナムに委託する)
To train employees on using the new software by June
(6月までに新しいソフトウェアを使えるように教育する)
5W1Hを意識する
英語の議事録でよく使われる定番フレーズを復習しておきましょう。5W1Hを意識しながら、必要な要素をもらさず記載しているか確認します。
- 1What・何が
- Action items are as follows:(実施事項は以下のとおりです)
- The related documents were attached by email.(関連資料はメールに添付しました)
- 2Why・なぜ
- Because the sales decreased by 10% year-on-year...(前年比で10%売り上げが落ちたから)
- 3When・いつ
- The due date is June 3.(期日は6月3日です)
- The reception will start on Friday, June 7 at 7:00pm.(レセプションは6月7日金曜日の午後7時からです)
- The next meeting will be held on July 1, 2019.(次回の会議は2019年7月1日です)
- 4Where・どこで
- The meeting place is Conference Room C.(会議場所は会議室Cです)
- 5Who・誰が
- Ms. Tomoko will announce the time and place of the next meeting by next week.(トモコが来週までに次回会議の時間と場所を連絡します)
- The Planning Department is responsible for the briefings.(企画部が説明会の担当となります)
- 6How・どのように
- There will be two reviews before the website is launched.(ウェブサイトがローンチする前に2回確認する予定です)
作成したら参加者に回覧してチェックしてもらう
議事録をまとめたら、すぐに会議参加者にファイルを回覧し、内容に間違いがないか確認してもらいましょう。できれば、会議を開催した当日に送るのが望ましいです。
署名が必要な場合は、議事録に署名欄を作っておいてください。
例)
Please find attached the minutes of the meeting. Please be sure to check them by the deadline.
(議事録を添付しました。期日までに内容のご確認をお願いします)
焦らずポイントを意識すれば英語での議事録も大丈夫!
英語の議事録と聞くと、うまくできるか不安になる人もいるでしょう。英語の議事録は、事実を簡潔に書くことが求められるため、フォーマットを作って情報を埋めていけば大丈夫です。
英語の議事録のポイントをマスターし、活躍の場を増やしていきましょう。