ストレスがたまったら、その時解消すればよい…これは一時的な対処にすぎません。毎日を元気に過ごすためには、ストレスの原因を知った上で上手につきあっていくことが大切です。今回はその方法をご紹介します。
ストレスを上手にコントロールすることが大切
仕事や職場でストレスがたまってしまった時、あなたはどうしていますか?
仕事が終わってから、友人と飲みに行って愚痴をこぼす、エステやスポーツでリフレッシュするなど、大半の人はストレスを解消することを頭に浮かべるのではないでしょうか。これらは、一時的にリフレッシュする方法としては有効ですが、根本的な解決にはなりません。職場に戻れば、また同じ原因のストレスにさらされ、ストレスがたまる…。それでは、同じことを繰り返すことになってしまいます。
では、どうすれば良いのでしょうか?まず知っておくべきことは、仕事をしている限りストレスをなくすことは不可能であるということです。逆に、適度で心地の良いストレスが仕事へのやる気を高め、生産性を向上させてくれます。ストレスがまったくなくなると、やる気も出てこなくなってしまうのです。ただし、問題は過剰にストレスを感じたり、慢性的にストレスを感じたりしながら仕事をしている場合です。こうした状況が続くと、心身に不調をきたしたり、時には病気になってしまうこともあります。
重要なのはストレスを上手にコントロールする方法を知ることです。そしてストレスをため込んでしまう前に、日頃からストレスを適切に対処しておくことが大切です。そうすることで、仕事にも、人づきあいにも前向きになり、生活をより充実させることができるでしょう。
ストレスの原因を明確にしよう
ストレスを上手にコントロールするための対処法の一つは、ストレスの原因を明確にすることです。一日の終わりに、仕事の中でいつどこでどのようなストレスが起きたかを思い出しながら、紙に書き出してみましょう。
例)
- 仕事の量が多いことがストレスになっている
- 仕事の内容が難しい
- チームワークがぎくしゃくしている
- 電車での長時間の通勤に負担を感じている
書き出すことで、「なんだ、こんなことでイライラしていたのか」「こう考えていればよかった」と、自分で再認識しましょう。心の中にストレスをモヤモヤとした状態で残さないために、その紙に「×」印をつけ、ゴミ箱に捨てるのも良いでしょう。
COLUMN
ストレスをためやすい人 VS ためにくい人
心の持ち方や考え方により、ストレスのためやすさは人それぞれ異なります。あなたは次のうちどちらにあてはまりますか。それぞれ、あてはまるほうを選び、すべての点数を合計してみましょう。
結果
30~20点
かなりストレスをためやすい人といえます。
次ページで紹介している「ストレスを減らすための6つの方法」を参考に心の持ち方を変えてみましょう。
20~10点
比較的ストレスをためにくい人といえますが、ストレスを感じやすい場面も。その時の心の持ち方をよく認識して、変えてみましょう。
10~0点
ストレスをためにくい人といえます。あなたの今の心の持ち方、考え方を大切にして、日々の仕事に取り組みましょう。
解説
何かをする時に「もしかすると失敗するのでは」と悲観的に考える人はストレスをためやすくなります。逆に「必ず成功する」と楽観的に考える人はあまりストレスを感じないでしょう。消極的な人は何事も受け身になりがち。結果として「思い通りにならない」ことが多くなり、ストレスの原因をつくりやすいのです。物事を真面目に考える人もストレスをためがち。また怒りっぽい人は、何かに強いストレスを感じているから怒るわけであり、ストレスを感じやすい人といえます。自己評価が低い人は消極的な行動を取ることが多く、結果としてストレスをためることになります。
日々実践できる簡単ストレス対策
ストレスを減らすための6つの方法
ストレスを軽減するためにはいくつかの方法があります。ここでは、「仕事」「人間関係」「心がまえ」の観点から、どのようなことに気を付ければ良いのか、それぞれの代表的な方法を紹介します。
「To Do リスト」を作り、優先順位をつけて作業することで仕事の効率をアップさせる
仕事のストレスは、計画や段取りといった仕事のやり方に起因していることがよくあります。そうしたストレスを感じている人は、仕事に取り掛かる前に、その日行うべき作業を箇条書きにした「To Doリスト」を作成してみましょう。1日を終えたら、予定していた作業ができたかどうかを再びリストチェックします。できなかったものは明日に持ち越すのか、あるいは、別の日に振り替えるのかを決めます。
また同時に、作業の順番を考慮することも大切。「その作業は重要か、緊急なのか」「その作業にかかる時間と使える時間」など、次にすべき作業を選択する基本ルールを決めて、仕事の効率をアップさせましょう。段取りが決まっているほど、仕事に集中することができ、ストレスも徐々に軽減されるようになります。
人に仕事を任せることを覚え、
一人で抱え込まないようにする
「To Do リスト」を作った時、あるいは作業の途中でも、量が多すぎる、スケジュール通りに終わらないと感じた場合は、就業先の上司に相談しましょう。複数人で同じ作業を行っている場合は、人にお願いすることも大切です。
また、仕事中に上司から何か他の仕事を依頼された場合は、無理せず行うことができるのかを判断しましょう。一人が仕事を抱え込み、スケジュールが遅れると、自分にとって大きなストレスになるだけでなく、周囲にも迷惑をかけてしまいます。
職場の人間関係を「仲良し」にしない相手の意見を聞き、信頼関係をつくりあげよう
職場の人間関係がストレスの要因だと感じている人も多いでしょう。このストレスを軽減するためには、職場での人間関係を、すべての人と「仲良し関係」にしないこと。職場での「良好な人間関係」は「仲良し関係」ではありません。大切なのは、一緒に協力しながら仕事をする、支援するという関係をつくりあげること。一方が発信した情報を受け手が正しく理解しているという良好なコミュニケーションをとれることが理想的です。そのためには、相手の発言をよく聞き、理解しようと努めること。相手は、共感してくれたことに対して安心感を得ることができ、あなたを信頼することになります。
自分から相手にストレスを与えないウィン・ウィンの関係を
職場では、自分から人に対しストレスを与えないことが大切です。あなたがストレスを与えないように心掛ければ、相手もあなたにストレスを与えないようになるものです。何がストレスになるのかは相手によって異なりますが、少なくとも悪口を言う、怒る、怒鳴る、相手の言ったことに対し否定的な姿勢を示すといった行為は、とても大きなストレスになります。例えば、ミーティングなどでは、相手の意見や考え方が一方的に間違っていると断定したり、感情をむき出しにして言い争ったりすることは避けましょう。合理的な姿勢でウィン・ウィンの関係になるような対応を目指すことが大切です。
ストレスを軽くするカギはあなたの心にある。心の持ち方を変えてみよう
ストレスを軽減する一番有効なカギはあなたの心にあります。もし、あなたがひどくストレスのたまるような心の持ち方をしているのであれば、まずはそこを変えなくてはなりません。先にご紹介した「ストレスをためやすい人 VSためにくい人」を参考にして、あなたがどのように考える習慣があるのかを認識し、自覚しましょう。例えば、否定的に考える癖があるのなら、「失敗するのでは」といった否定的な表現を避けて、「必ず成功する」など肯定的な表現を使うよう心がけます。そうすることで心の持ち方を変えることができます。
目指すゴールを先に考えて、仕事に取り組もう
同じことをするにしても、思考の違いでストレスの大きさや仕事の効率に大きな差が出ます。例えば、「目指すゴールから先に考える」「自分の組織全体のことを中心に考える」「長期的な視点で考える」といった考え方をすると、ストレスは軽減されます。
仕事では何より重要な結果(ゴール)。常に結果のイメージを心に描いて行動するようにします。そのほうが効率やプロセスが良くなり、ストレスを感じることなく成果をあげることができるからです。また、自分中心ではなく全体を中心に考える癖をつけることも大切です。会社で働いている限り、同僚や上司との協調性は不可欠です。同じ組織の中で、自分だけの仕事をしていても事はうまく運ばないもの。自分のことより組織全体を考えたほうが結果としてストレスはたまらないのです。さらに、短期的な結果を求めすぎず、「今できないことも、努力してできるようになろう」と、長期的に考えたほうがストレスは軽減されます。
Profile
(株)ナッツマネジメント代表コンサルタント・マネジメントメンター。慶應義塾大学管理工学科卒。アイダホ州立大学大学院卒。銀行系総合研究所、大手外資系コンサルティング会社を経てコンサルティング会社設立。多くの専門家やコンサルタントと協働で中堅企業を中心にビジネル・マネジメント支援活動を展開。著書に『ストレス消しゴム 楽に生きる習慣術』(ぱる出版)がある。