仕事をするうえで最も基本となる確認、報告をはじめ仕事そのものの進め方など。一つひとつを見直してみると、意外とできていないことも多いのではないでしょうか。「仕事ができる人」になるために、何より大切な基本を身につける方法をご紹介します。
1. 想像力・発想力
どんな仕事も5W1H
(いつ、どこで、誰が、何を、どうして、どのように)を確認しよう
仕事を指示された時、単に作業としてこなすのではなく、「なぜこの仕事が必要なのか」「何を求められているのか」を考えていますか。例えば、「ワードでこの資料を作ってください」と依頼されても、それだけでは、「どの程度の大きさの文字で、どんな形式で、いつまでに」などの詳細はわからないはず。それを知るためには、「どんなものに、いつ使われるのか、読む人の年齢層は…」と、想像力をはたらかせたうえで、質問することが大事。5W1Hが確認できてはじめて、相手が求めている仕事に適確に応えることができるのです。
今の仕事に興味を持とう
仕事に興味を持てば、「なぜ? どうして? この先はどうなるの?」と自然に知りたいことがどんどん溢れてくるはず。そして自分で調べたり、上司や同僚に確認して、知りたいことがわかれば、そこから新しい発想も生まれてきます。例えば、自分の経験と現状を比較しながら、「それなら、こういう方法もあるのでは?」という提案につながる可能性も。新しい職場で働き始めた時は、誰でも仕事に興味津々でしょう。意欲を持ち続けるためには、「人に喜ばれた体験」や「自分のスキルが上がった実感」を定期的に認識するとよいでしょう。
新聞や雑誌、テレビ、ネットで情報収集。得た知識はメモに
「この仕事は何のために必要か」と考えようとしても、仕事を取り巻く環境への知識がなければ、想像することすら困難です。仕事に関する社内の情報はもちろん、メディアの情報にも普段からアンテナを張り、情報収集をしましょう。目にとまった新聞記事をスクラップしたり、知らなかった言葉をメモしましょう。自分で調べることは、会話の幅を広げることにもつながります。
2. コミュニケーション力
相手の立場を考えて話す。相手がわかるように話す
相手がどのような気持ちになるか想像せず、一方的に自分の思いを伝えようとしても、相手には伝わりません。相手の立場を理解したうえで話すことが大切です。また、話をするとき、相手に伝わりやすい言葉に置き換えることも大切。以前の職場で使っていた言葉でも、現在の職場では意味が違うこともあります。自分の話しやすい言葉を選ぶのではなく、「この言葉で大丈夫?」と一度立ち止まり、相手の表情を確認して、必要であれば意味を補足しながら話を進めましょう。
質問する前に、自ら考え、アクティブな質問に変えよう
与えられた仕事の「5W1H」を知るには、仕事を指示した上司に質問しなければなりません。しかし、思いつくままに質問すればよいというわけではありません。質問する前に、依頼の目的を理解し、不明な点を整理することが大切です。また、「こうすれば、さらに効率的かつ的確に仕事を進めることができると思うのですが…」というように、自ら考え、アクティブな質問に変えていく努力も必要です。書き出して、整理した上で質問する。質問力の鍛錬は、質の高い仕事へとつながっていきます。
上司へ中間報告をすることで、仕事遂行力を高めよう
「5W1H」をきちんと確認したはずなのに、思い違いや、解釈の違いで、上司の要求とは異なるものを作成してしまった、ということはありませんか。そんな事態を回避するためには、作業を1~2割ほど進めた段階で、「これで進めてよいでしょうか?」と報告することが大切。少し、面倒臭く感じられるかもしれませんが、そこでお互いの考えを確認し、早めに軌道修正をしていけば、結果的には仕事遂行力が格段にアップします。
3. 段取り力
To Do リストをスケジュールに落とし込もう
仕事の「5W1H」がきちんと把握できると、自分が遂行すべき作業が明確になり、To Doリストをつくることができます。しかし、ここで大切なのは、単にTo Doリストをつくることではなく、それをスケジュール表に落とし込むことです。例えば、To Doリストに30項目もの作業があるとしても、その中には「打ち合わせ」といった長時間のものもあれば、「○○さんに電話する」「メールする」といった5~10分で済むものも含まれるはず。段取り良く作業を行っていくためには、どの作業に何分かかり、いつ行うか、優先順位を決めることが大切です。
身のまわりの整理整頓をしよう
4S=「整理」「整頓」「清掃」「清潔」は、仕事を効率良く進めるために非常に重要です。もし、机の上が乱雑であれば、必要な書類がすぐに取り出せません。もし、パソコンのデータのファイル名が明確でなかったら、目的のファイルにたどり着くまでに時間がかかります。探す時間が長くなれば、作業に着手するのが遅れ、本来の仕事に費やす時間が少なくなってしまいます。始業と同時に仕事に取りかかるために、どこに何があるかわかるよう、身のまわりを常に整理整頓しておきましょう。
ルールを決めよう
自分が遂行すべき作業が「どんな意味を持つのか、どんな結果を導くのか」が把握できていれば、「ルールづくり」をすることができます。例えば、「決済箱の資料の整理」という仕事。「書類の要・不要を確認し、どこに保管するか破棄するか決める」「保管した資料の中で、処理が必要なものは、振込期日とアクションを記入する」「保管期間は1カ月」など周りと相談して、ルールを決めましょう。また、「この資料に必要な文具はこの引き出しに」など自分自身のルールも必要。仕事を効率良く進めるためにはどんな決まりを作ればよいか考えましょう。
Profile
(株)エフェクト代表。トヨタ自動車に17年勤務。入社半年で役員秘書に抜擢、その後、総合職技術員に転身。安全衛生、設備安全、リスクマネジメントを通じ、強い職場、人づくりを実践。現在は、エフェクト代表として、人材育成研修や現場カイゼン指導、戦力になる社員研修などを展開。著書に『きちんとした人は仕事ができる!』など。
http://www.effec.jp/