仕事がなんだかやる気が出ない。6つのケース別対処法

やる気が出ない…。そんな時は、その原因を考えてみると良いでしょう。ケース別にやる気を出す効果的な方法と、日々の生活の中で簡単にできる『やる気アップ術』を紹介します。

Case1周りの人と仕事のやり方が合わない

⇒ 自分の考えと周りの考えをよく比べてみて

「合わない」という感覚は、大切なもの。なぜなら、仕事と正面から向き合っているからこそ抱く問題意識だからです。それをより良い形に発展させることが重要なのです。まずは、あなたのやり方を「A」、今の職場のやり方を「B」として比較してみましょう。「どちらが速いか、正確か」「多くの人に受け入れられるのはどちらか」「将来を考えるとどちらが良いか」。比べるためには、やり方Bについても十分理解する必要があります。「Aが正しい」「いやBだ」という議論ではなく、より働きやすく、より成果の出る、2つをミックスした「C」の方法を考えるのです。

そして、実際の仕事の場面で、周りの人たちと相談しながら、タイミングを見て提案したり、許可を得て試してみましょう。もしも提案できない状況であったり、提案が受け入れられなかったとしても、意味ある経験になるはずです。仕事のやり方の善し悪しが整理でき、あなたのスキルの引き出しに、新たなやり方がストックされることになるでしょう。

Case2変化のない仕事の繰り返しでつまらない

⇒ ものごとの進行を先読みする「オリジン型」になって

人には「オリジン型」と「ポーン型」の2種類に分けられると言えます。オリジンというのはチェスの指し手、ポーンはチェスのコマ。「オリジン型」の人は、常に自分がものごとを動かすという視点で行動し、「ポーン型」の人は、いつも自分が誰かに動かされているという意識でいます。管理職だからオリジン型、アシスタントだからポーン型とは限りません。例えば、経営者でも「景気が悪いから、経営がうまくいかない」とポーン型の考え方の人もいます。一方、いち担当者の立場でも「あのお客様には、このタイミングで上司を紹介するのが一番良いから、セッティングしておこう」とオリジン型な人もいます。

あなたもオリジン型になって、いつもの仕事を見直してみませんか。そうすると、別の側面が発見できるはずです。「部長がリーダーに話しているから、そろそろあの仕事が来るな」と思ったら、必要な資料を用意しておくなど、ものごとの進行を先読みし行動することで、仕事はもっと面白くなります。

Case3成果を上げたい。焦る気持ちが空回り

⇒ 地道な積み重ねが成果を生み出すことを忘れないで

キャリアを積み重ねた自分、成果を上げた自分という「未来」ばかりが気になり、「このままで良いのだろうか」という不安が募る。その状態は苦しく辛いもの。地に足がつかず、やることすべてが空回りしたり、「こんな状態のまま時間が過ぎ、年を重ねていくばかりでは」とイライラが募り、ついには、会社や周りの人たちへの不満につながっていくことも…。しかし、どんな大きな仕事も、一つひとつの仕事の積み重ね。未来に気を取られて「早く、早く」と前のめりになっていては、「今」が目に入らなくなってしまいます。すべては「今」がスタート、今を全うしなくては、前進することはできません。

「エレファント・メソッド」という言葉があります。これは「象のように大きく思える問題でも、それを小さく切り分けて、一つひとつ片付けていけば、最後には解決できる」という意味。まず「今」やるべきことをピックアップして、できそうなところからコツコツとやっていきましょう。

Case4ミス続きで自信を失い、やる気がダウン

⇒ 失敗は成長のチャンス。そこから教訓を導き出して

一つのミスをすると、また同じような場面で失敗してしまうのでは、と考えて萎縮してしまうこともあるでしょう。しかし、そんな時こそ、「せっかく失敗したのだから、そこから何かを学ばなければ損」という気持ちを持ちたいもの。

ミスをしてしまった時は、その原因を分析し、そこから10以上の教訓を引き出すようにしましょう。記憶、書類やメモなどを頼りに、自分が失敗した原因を掘り起こしていくと、「お客様の要望を最初に電話で受けた後、確認のメールを出していれば、そもそも失敗は防げたかも」「自分が忙しすぎて、○○の作業の質が落ち、間違いが生じた」など、冷静に分析できるはず。分析ができれば、「仕事を依頼されたら、その日のうちに確認のメールを送信すること」「自分が多忙な場合、○○の作業については他の人の協力を求めること」など、どんどん教訓が出てきます。そして、失敗を適切な教訓に書き換えることができれば、やる気も出てくるでしょう。

Case5人一倍の努力を分かってもらえない

⇒ 仕事の状況を整理して、周りに説明や相談を

なかなか仕事の結果が出せず、上司から叱責を受ける毎日。でも、自分は別にさぼっているわけではなく、いつも一所懸命仕事をしているつもり。周りの人にそれだけは分かってもらいたい。そんなふうに考えてしまうことはありませんか。

上司や周りの人たちもあなたの仕事をすべて見ているわけではありません。まずは、自分がやっていることや考えていることを、形にしてアピールしてみると良いでしょう。努力の結果が出ていない段階でも、「この1カ月間にやったこと」「成果が出ない原因として考えられること」をまとめるなど、仕事の状況を整理・分析し、上司などに説明をしてみましょう。その上で「アドバイスをお願いします」と依頼すれば、何らかのリアクションがあるはず。相談できる関係を作っておけば、何かサポートが欲しい時にも頼みやすく、普段からアドバイスをくれることもあるでしょう。形にすることで、自分自身の頭の整理ができ、自分の方向性を確認できるメリットもあります。

Case6自分だけ、のけ者にされていると感じる

⇒ 自分から周りに働きかけて

自分には、社内や取引先の情報がなかなか入ってこない。自分だけが情報の流れからのけ者にされているのでは、と感じて悩んだことはありませんか。でも、社内の情報通といわれる人を注意深く見てみると、周りから情報を収集する前に、自分から周りの人に情報をアウトプットしているものです。

例えば、「○○さんの企画書、いいアイデアですね。私のお客様でこういったものを求めていらっしゃるので、一緒に行っていただけませんか」「A社に行ってきました。A社は△△な雰囲気の会社で…。○○さんが行かれた時はどう感じましたか?」「○○さん、おいしいランチの情報を聞いたんですよ。××さんも誘って、今度一緒に行きませんか」などと、自ら積極的に働きかけています。自分が知っていることを提供することで、必ず何らかの反応があり、また、そこから次の動きが発生したりするものです。「周りがこうしてくれない」と考えるのではなく、自分から始めることが解決への早道なのです。

「やる気」を高めるちょっとしたヒント

いつでも、どこにいても、すぐに気持ちを切り替えたい。日々の生活の中で簡単にできる、やる気アップ術を紹介します。

Hint1自分を元気にする言葉を口にする

誰かの何気ないひと言がきっかけになって、勇気が出たり、始めの一歩を踏み出すことができたりします。「トライ&エラー」「今より、早い時はない」「とにかく、やってみよう」「There is will, there is a way. 意志があれば道は通じる」など…。自分を元気にさせる言葉を口にしたり、心でつぶやいたりしてみましょう。言葉の持つパワーが、あなたの気持ちに浸透していきます。

Hint2音楽や写真、香りで五感を刺激

やる気を高めるために、五感を使うという方法もあります。例えば、あなたのやる気を刺激する1曲を選んでおき、聴いてみる。好きなスターのポスターや、愛猫の写真を眺める。また、香りも大切な要素。行き詰まった時、自宅でアロマポットやお香でのリフレッシュも試してみましょう。そして、味わうこと。コーヒーやお茶を飲んで、仕事をスタートさせる、というのも良いでしょう。

Hint3体を動かして「アクティブモード」に

何だかやる気が出ないという時は、体と心が「省エネモード」になっている可能性があります。思い切って休みを取るのも効果的ですが、スポーツや散歩、家事など体を動かすことで「アクティブモード」に切り換えるという方法も。もし仕事の合間であれば、椅子に座ったまま簡単なストレッチをしたり、立ち上がり15秒間ほど足踏みしたり…。短時間でもリフレッシュすることが大切です。

Hint4会うだけで元気になる人に会う

あなたには、会うだけで元気になるような人はいますか。例えば、自分の気持ちを整理できずに困っている時は、聞き上手な人と会って、思いっきり話す。いろいろ考えたけれど、まだ決心がつかない時は、決断力のある人から刺激を受けるのも良いでしょう。また、何となく気分が沈んで、前向きになれないという時は、元気いっぱいの人に会ってみる。人からの刺激があなたを元気にします。

Hint5成功した人のやり方をマネしてみる

例えば、どうもこのお客様の気持ちを引き出せないなと思った時、自分のキャラクターとは違う“物静かで人の話を聞くのがうまい”Aさんになってみる。または、社内で成功したプロジェクトがあれば、その企画書を見せてもらう。「どの人の、どの部分を、どんなふうに」お手本にすべきか、自分なりに考えることが大切です。周りをよく見回して、マネしたい人や見本となるやり方を探してみると良いでしょう。

Hint6人の良いところを見つけ「ほめモード」になる

やる気を高めるために、「批判モード」から「ほめモード」へ転換してみましょう。なぜなら、たとえ苦手な相手でも好意的に評価してみると、相手のやる気が高まり結果を出し、その結果、あなた自身も刺激を受け、やる気が高まるからです。もちろん、相手の良いところを自分の行動に取り入れることもできます。人の良いところ、参考になるところを、賞賛の気持ちで探してみましょう。

Profile

監修:菊入みゆきさん

東京外国語大学スペイン語学科卒。93年、JTBモチベーションズ設立時に入社。以来、ワーク・モチベーション(仕事意欲)研究、コンサルティングを行う。現在は米国カリフォルニアにて、モチベーション研究、執筆に専念。著書に『イラストでわかる やる気が出ないとき読む本』(東洋経済新報社)、『1日10分 心のストレッチ やる気を高めるレッスンブック』(東洋経済新報社)、『仕事がデキる人の8つの性格』(幻冬舎)などがある。

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