今日の自分よりランクアップした、新しい自分と出会いたい。そのためには、小さなことから自分を変えようと試みたり、目標を作って近付く努力が大切です。あなたの日常の中ですぐにできる、新しい自分に出会うための習慣をご紹介します。
魅力的な人のマネをしてみる
身近なところで、仕事ができる人、男性からも女性からもモテる人、そんな人を見つけて目標にしましょう。もちろん、その人のすべてをお手本にする必要はありません。人との接し方、仕事の優先順位の決め方、成し遂げることが困難な仕事の断り方など、自分がピンとくる部分だけで十分。そこを観察して、できたら質問をし、自分に取り入れられそうだと思ったら取り入れる。そんなふうにして、小さなプラスを増やしていきましょう。
どんな仕事であっても力を出し惜しみしない
コピーとり、伝票や資料の整理。「こんなルーティンワーク、やりがいがないわ」などと考えて、おざなりにしていませんか。実は、こうした仕事にこそ個性が宿るもの。上司も、あなたが小さな仕事をどうこなすか見ています。例えば、上司にコピーを頼まれたら、クライアントに渡すのか、自分の保存用なのか、その先を見越し、コピーをファイルして渡すなど能力を発揮する余地はあるものです。
分からないことは「分からない」と正直に言う
何か聞かれて、つい知っているフリを装い、後で困ることはありませんか。「分からない」と言うことはその一瞬は格好悪いかもしれません。しかし、その場で「分からないから教えて」と言って説明を受けたことは、結構覚えているもの。それは、次の新しい場面で自分の知識として使えるし、後で大きな財産になっていきます。
苦手な人に心の中で話しかける
あの人はどうも苦手、というタイプの人と普通に接したいと願うなら、その人に心の中で語りかけましょう。「元気そうですね」「今日もよろしくお願いします」と明るくほほ笑みながら、心の中で。繰り返すことで苦手意識はやがて薄れていきます。人は自分を好きになってくれる人を好きになるもの。相手への気持ちは、言葉だけでなく、表情からも伝わり、人間関係を良くすることができます。
ビンボーくじをラッキーと思う心をもつ
例えば、会社で何かの幹事役をやらされることになったら……。「打ち合わせで時間がとられる。ビンボーくじを引いちゃった」と思うかもしれません。でも、いろいろ動いた分、「他の部署の人と知り合えた」「人前でしゃべる訓練になった」など、案外得ることがあるもの。簡単で楽なことばかりしているより、たまには遠回りや苦労をしたほうが人は成長するものです。
世界の違う友達をもつ
自分が楽でいられる友達と付き合うのは、とても心地いい。でも、マンネリすぎて、新しい自分を見つけるきっかけにはなりにくいかもしれません。そんな時は今までとは違うタイプの友達を作ってみましょう。ずっと年上の人、年下の人、違う仕事をしている人……。狭い自分の世界を広げてくれるのは、自分を刺激してくれる人の話だったりするものです。セミナーや習い事、地域の集まりなど積極的に参加してみましょう。
口の悪い「注意係」の言葉に耳を傾ける
私たちは思ったより自分の顔や姿を認識していないものです。身近に一人、友達でも家族でも、口の悪いぐらいの人に「ブスッとしていて感じが悪い」「姿勢が悪い」「食事をするときはテーブルに肘をつかないで」と、表情や姿勢、マナーなどあらゆることについて注意してもらいましょう。自分を改めるきっかけになり、日常の中で気を付けるうちに、どんどん自分が磨かれていきます。
自分の存在をさりげなくアピールしてみる
職場で自分の魅力をアピールする時は、「明るく、軽く、前向きに」が原則。「こんなに頑張っているのに、どうして認められないんですか」なんて声をあげたら、マイナス効果です。上司や仕事のパートナーがどんな情報を必要としているかを察し、「○○のデータをまとめてみました。よかったら使ってください」と軽く話してみる。そういったことの積み重ねが、評価につながります。また、自分自身も新しい知識を得るきっかけになります。
「今の自分」を知ろう
今の自分が分からなければ、あなたが望む新しい自分を見つけることはできません。なぜなら、新しい自分をつくる源は、今の自分なのですから。まずは、今の自分を知ることから始めましょう。
今の自分を客観的に見つめてみる
「このままの自分ではイヤ。どうにかしてここから抜け出したい」という気持ちがわいてきたとき、あなたの心はきっと不満や不安でいっぱいのはず。そんな状態からスタートして、やみくもに新しいことを始める前に、まずは一度「今の自分が置かれている環境」を客観的に見つめてみましょう。一番分かりやすい方法は、今の自分をチャート化してみること。タテ軸に、「人間関係はどうか」「給料は満足か」「やりたいことはできているか」などの項目を書き出し、ヨコ軸に5段階評価を入れていきます(図)。すると、「案外、今の自分って悪くないじゃない」「この項目には大満足なんだから、もう少しほかの項目をこうすれば……」などと冷静に考えることができ、同時に、自分が何を重要視しているのかも見えてきます。
そのほか考えたい項目としては、仕事では「やりがい」「成長」「能力発揮度」、プライベートを細分化して「自分の時間の充実度」「休養の時間」「健康状態」などがあります。
過去から新しいことを始めるためのきっかけを探す
「あなたのいいところは?」と聞かれたとき、ぱっと思い浮かぶのは、「明るい」「控えめ」など自分の性格のこと。でもここでは、性格以外であなたが人から評価されたことを思い出してみてください。例えば、「バーゲンの時、洋服を選ぶのがとても早くていつも感心される」「人の名前を覚えるのが誰よりも早い」「道を分かりやすく説明するのが上手」など、どんなささいなことでもいいのです。少しずつ思い出して、自分の具体的な良さをたくさん蓄積しておけば、「私にはこんな良さがあるのだから、きっとこの仕事もできるはず」という連想がわきやすくなり、新しいことを始めるためのきっかけになります。
自分と向き合う、ひとりの時間を大切にする
寂しくなるとつい、携帯電話のメールを打ち続けたり、とりあえずスケジュール帳を埋めていったり……。すると、あなたの抱えている不満や不安は紛れてしまうけれど、その一方で、静かに自分自身と向き合う貴重な時間を失ってしまうことに。走り高跳びの選手が、スタート前、静かに集中力を高めるように、何か新しいことを始める前には“一定の時間”が必要です。私は何のために生きているの?私が守りたいものは何?私が今まで、一番頑張ったのはいつ?そうやって自分と向き合うと、これだけは譲れない、というものが見えてきます。そして、大事にしたいことと、どちらでもいいことの線を引くこともできるようになります。
リセットはなるべくしない
今の自分がイヤになったから、居場所を変える、今やっていることをやめる、人間関係を切る――いわゆる“リセット”はとても簡単。しかし、リセットを繰り返していると、山を乗り越えてみようという覚悟や、いい時がくるまで何とかやり過ごす忍耐力をなくしてしまいます。そして一番怖いのは、リセットはくせになるということ。リセットをする人はそれを繰り返してしまい、やがてリセットをする時期も早まってきます。大切なのは、イヤになったからといって簡単にリセットしないこと。そして待つ時間を設けること。そのうちに「自分の何が悪かったのか」を誰かに教えてもらえたり、自分で気が付くこともあるかもしれません。それは、これから自分が身につけていくべきものを考えるきっかけにもなります。
Profile
1953年東京生まれ。エッセイスト。慶應義塾大学法学部卒業後、『non-no』編集部勤務を経て渡米。ニューヨーク大学行政大学院修士課程修了。ファッション、生き方から政治まで幅広い分野において活躍中。著書に、『30代からのリ・スタート』『小さなことから自分を変える!』(共にソニー・マガジンズ)ほか多数。