働くのなら、就業先で実力を存分に発揮し、職場の人たちから信頼され、大切にされる人になりたいものです。
そこで、愛される派遣社員になるための10の心得をお教えします。これらの心得を実践できれば、自身の評価が高まっていくことを感じられるでしょう。
心得1自分が何の仕事をするために就業するのかを明確にする
最初に認識したいのは、「会社という組織は、共通目標を達成するために、複数の人々が役割分担し協働する、人間の集団である」ということです。こうした認識に立てば、自分の立場、役割、仕事をきちんと理解することが大事だと分かるはずです。どのような職種であっても、まずは自分が何の仕事をするために就業したのかを明確にしましょう。それができて初めて、質の高い仕事をするためのスタートラインにつけるのです。
心得2責任感をもって依頼された仕事をきちんと果たす
心得1の通り、会社とは共通目標を達成する場。そこで働く人には、仕事を途中で止めないで、完全に果たすことが求められます。例えば、5時までに頼まれた仕事ができなかった場合、「退社時間なので、明日でいいですか?」などと自分から申し出てはいけません。5時までにと依頼をされたら、5時までに責任感をもって仕上げることが絶対条件。どうしても達成できそうにない場合は、前もって報告しましょう。業務を担当するということは、その業務の遂行に関し責任を負うということなのです。
心得3就業先の会社のルールを守る
会社は、複数の人々が役割分担し協働する場ですが、そこで働く一人ひとりの価値観は千差万別です。そのため、行動を統一するためのルールが必要になってくるのです。会社にはそれぞれ固有の目に見えない人間関係のルールや、仕事の仕方など、「暗黙の了解」事項があるもの。派遣元会社が定めている「スタッフ就業規則」を守りながら、就業先の会社の社風を察知して、その会社の習慣に従うことが大切です。
心得4マナーが絶対条件。身だしなみ、挨拶、言葉遣い、態度に気配りを
職場で気持ちよく仕事を進めていくためには、よい人間関係が大切です。よい人間関係がなければ、仕事に必要な情報も入手できませんし、何よりも精神的に自分がつらくなってきます。だからこそ、よい人間関係が保てるよう心がけること、すなわちマナーが重要になってくるのです。マナーとは、相手に対する気配りや感謝の心を形にしたもの。そして形にしたものが、身だしなみ、挨拶、言葉遣い、態度などです。これらの点について、自分がマナーにかなっているかどうか、つねにチェックするようにしましょう。
心得5報・連・相を密にすることを心がける
会社という組織は、指示・命令と報告が、正常かつスピーディに繰り返されることによって成り立っています。仕事の流れがどこかで途切れるようなことがあると、会社の機能は十分に発揮されません。これが、「報(報告)・連(連絡)・相(相談)は会社の基本ルール」といわれるゆえんです。指示・命令をしっかり受け、命じられた仕事は責任をもってこなし、結果を報告する。この一連の流れを意識して、仕事を進めましょう。
心得6自分の上司がどんなタイプの人なのかを見極める
自分の上司がどんなタイプの人なのかを見極めることも、仕事をスムーズに進めていくための有効な方法の一つ。例えば、上司が自分の思い通りに部下に動いてもらいたい主導型タイプなら、スピード感をもって与えられた仕事をこなしていく。部下にどんどん提案してもらいたい民主型タイプなら、「○○はいかがですか?」と提案することを心がける。このように、上司の考え方やクセなどを見極めて、それに応じた仕事の仕方をしていくと、仕事がうまく進んでいきます。
心得7周りの人をうまく巻き込むコミュニケーション力をつける
就業先においてその業務の担当が自分しかいないという場合もありますが、すべてを一人で遂行するには限界があるのも事実。そのようなとき、上手に周りの人に協力を仰ぎ、自分の意図するゴールに誘導していくコミュニケーション力が必要になります。協力を求める時に重要なのは、依頼の仕方。「お忙しいところ恐れ入ります」「今、お時間よろしいですか?」という挨拶から始め、「○○していただけますか?」など依頼形でお願いすると、相手の心にあなたの要望がソフトに伝わり、気持ちよく “YES” と言ってもらいやすくなります。
心得8上手な断り方も大事なスキルの一つと心得る
業務を依頼されても、そのほかの業務で手一杯の場合は断らざるを得ませんが、その断り方にもスキルがあります。①謝罪「大変申し訳ございません」、②断る理由「○○を頼まれていて厳しい状況です」、③代案「12時までには難しいのですが、1時までならできます。お待ちいただけますか?」。このように謝罪のうえ、断る理由を述べ、さらに代案も提案すると、あなたの印象はよくなります。依頼された仕事をただ断るのではなく、どうしたら受けることができるのか考えることが重要です。
心得9自分の責任において体調管理、ストレス管理を行う
就業先で仕事を続けていくうえでは、遅刻、欠勤をしないことが原則です。そのためには、体力、ストレスに負けない精神力を維持することが大切です。ビジネスパーソンの基本マナーとして、日ごろから自分の責任において体調管理、ストレス管理を行うことを心がけましょう。例えば、ストレス管理についていえば、自分一人で悩みを抱え込まないよう、自分の気持ちを話せる人をつくるのも一つの方法。自分なりに方法を見つけることが大切です。
心得10自分のキャリアは自分でつくる、という気持ちをもつ
派遣社員として働くということは、自分自身の価値を就業先に提供すること。そのため自分自身の価値を上げるために、つねにキャリアを磨いていこうという気持ちが必要です。自分のメイン業務ができるのはもちろん、さらに自分の得意分野が2、3あると、あなたの価値は確実に上がります。例えば、「エクセルとワード以外にパワーポイントも得意なので、企画書制作のお手伝いをします」というように、自分に価値をつけていくことで仕事の幅も広がっていきます。
基本のビジネスマナーを見直そう
あなたは自分のビジネスマナーに自信がありますか?
仕事の基本中の基本であるビジネスマナーを再チェックしてみましょう。
挨拶のマナー
明るい挨拶は、人間関係の第一歩。「相手の目を見て」「明るく」「元気よく」「心を込めた」挨拶で、あなたからのプラスのメッセージを相手にきちんと伝えましょう。いつも同じ態度で、誰に対しても平等に。社内での挨拶は、朝11時ごろまでは「おはようございます」、それ以降は「お疲れ様です」、退社時は「お先に失礼します」が一般的ですが、就業先の社風や習慣に合わせることも大切です。
身だしなみのマナー
ビジネスでは、自分の個性や好みよりも、相手や周囲の人に不快感を与えないことを優先します。不快感には大きく分けて「不潔感」と「違和感」があります。まずは清潔感のあるもの、そして周囲の状況にマッチした服装をするように心がけましょう。
安心・信頼・好感を与える「身だしなみの三か条」
【第一条】 清潔感
【第二条】 動きやすく、機能的
【第三条】 周囲との調和
電話応対のマナー
電話応対は、会社のイメージ戦略ツールの一つ。会社それぞれに電話の受け方のルールがあり、それに従うことが大切です。また、電話をスムーズに取り次ぐために、まずは電話の機能を確認のうえ、オフィスの配置図を書き、社員の名前を把握しておくとよいでしょう。
職場環境のマナー
机の上は、つねに整理整頓を心がけましょう。机を離れるときは、机の上を片付け、椅子を机の中に入れてから。またパソコンや文具類など会社の備品を丁寧に扱うことも忘れずに。モノは使い終わったら、すぐに元の場所へ戻しておきましょう。
お付き合いのマナー
アフター5のお誘いをお断りするときは、必ず「ありがとうございます」とお礼を述べたあと、断る理由を伝えましょう。仕事を離れた場でお付き合いをする義務はありませんが、3回に1回程度は受けるようにするのも人間関係構築のうえで必要でしょう。また、どのような場であっても人の悪口や会社のマイナス情報などの軽口は絶対禁止です。
守秘義務のマナー
就業先では業務上さまざまな情報に触れることになりますが、知り得たそれらの情報は外部に漏らさないのが鉄則です。これは、就業期間中だけでなく、契約終了後についても同じです。次の職場でも、前の職場での業務内容や機密情報等は決して口外してはいけません。また就業期間中は、データや書類を机の上に出しっぱなしにしたり、許可なく社外に持ち出したりしないよう、注意深い行動を心がけましょう。
Profile
文京女子短期大学卒業後、東京放送、中国新聞で9年間の実務経験を経て、教育インストラクターとして独立。1993年に研修企画会社、株式会社マネジメントサポートを設立。研修分野は管理職、営業、ビジネスマナー、クレーム対応、電話診断など多岐にわたり、クライアントは350社を超える。著書に『好感度アップ!速効ビジネスマナー』『人に好かれるものの言い方・伝え方のルールとマナー』ほか多数。