「キャリアチェンジ」とは未経験の業界や職種へ転職すること。業界と職種を変えることはもちろん、どちらかだけを変える場合もキャリアチェンジと呼びます。似ている言葉に「キャリアアップ」がありますが、この場合、経験のある業界や職種において、高いポジションを目指すための転職や、同じ職場での昇進・昇格などを指しています。
ここでは、未経験の業種や職種にチャレンジするうえで心得ておきたいことや、キャリアチェンジのメリット・デメリットのほか、最適なタイミングや注意したいことなどについてご紹介します。
未経験の業界や職種に挑戦する「キャリアチェンジ」
経験したことのない業界の会社や職種に転職することをキャリアチェンジと呼びます。未経験だからといって不利になることばかりではなく、異なる業界や職種でも生かせる経験は多くあります。キャリアチェンジを考えたとき、どんな風に業界や職種を選べばいいか迷ったら、チャレンジしてみたいという気持ちはもちろん、自分のどんな経験が生かせるかを考えてみるといいでしょう。
未経験職種へのキャリアチェンジで心得ておきたいこと
未経験職種にチャレンジする際には、いくつか心得ておきたいことがあります。ここでは、特に注意して考えておきたいことについて、詳しくご紹介します。
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未経験職種でも生かせるスキルは何かを考える
これまでの経験をもとに、自分のスキルを分析してみましょう。キャリアチェンジしたい職種で、これまでに得た経験やスキルがどのように役に立つのかについて考えてみます。希望する職種で働く人のインタビューを読んでみたり、自分の希望条件に近い求人情報を調べたりすると、どんなスキルが生かせるのかがわかります。
専門的なスキルの必要性、その他にリーダーシップやコミュニケーションスキルといった職種が変わっても共通で生かせるスキルについても確認したほうがいいでしょう。
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キャリアプランをイメージする
キャリアチェンジをすることは、キャリアプランの形成にもつながります。これからやりたいことやキャリアプランを書き出して自己分析することで、どんな職種へのキャリアチェンジがいいのかが見えてくるはずです。
また、自己分析は客観的な視点も大切です。プロのキャリアアドバイザーや、キャリアチェンジしたい業界や職種で実際に働いている人から意見をもらうことで、キャリアチェンジの参考となる情報を得られるでしょう。また、自分をよく知る人に、適した職種を聞いてみるのも新しい発見があるかもしれません。 -
未経験職種への転職理由を明確にする
キャリアチェンジを成功させるためには、未経験職種への転職理由を明確にしておく必要があります。職種を変えることは、給与面でのリスクも高く簡単なことではありません。キャリアチェンジ後に後悔することのないように、どうして転職しなければいけないのか、最適な時期は今なのかを、しっかりと考えておきましょう。職種や企業のリサーチを深めることで、自分がその職種のどこに魅力を感じているのか、これからどのように未経験職種でキャリアアップしていくのかも、より明確にすることができるはずです。
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キャリアチェンジをするには準備やリサーチが必要
キャリアチェンジをしようと決心したら、応募する前にしっかりと準備やリサーチをしておきましょう。面接でのアピール時やキャリアチェンジ後にスムーズにスタートを切るためにも、入念な準備が役に立つはずです。
業界や職種、会社についてしっかり調べる
新卒の就職活動のときと同じように、業界・職種・企業の研究を徹底することが大切です。業界や職種については、キャリアチェンジ希望者を対象としたセミナーや、異業種勉強会・交流会といった場も用意されているので、活用すると良いでしょう。その仕事に対するイメージと相違はないか、どんなスキルや経験が求められるのか、取得しておくことで有利になる資格はあるのか、その業界へ転職するメリットやデメリットを含めてしっかりと調べましょう。資格取得の勉強をしたり事前に必要な知識を身に付けたりしておくことで、選考に有利になるだけでなく、キャリアチェンジ後の負担も軽減できるはずです。
面接でのアピール方法を考えておく
キャリアチェンジの面接では、どうしてこの職種を選んだのかを必ずといっていいほど聞かれます。将来をどのようにしていくつもりかという考えを具体的に伝えることで、仕事に対する意欲を伝えることができます。現職の仕事や環境が嫌だからというネガティブな理由や、新しい仕事に挑戦してみたいといった漠然とした内容はNGです。収集した情報を分析し、未経験でも採用したいと思ってもらえるような理由や、本気でキャリアチェンジをしたいという熱意が伝わることが大切です。
職務経歴書には経歴を詳しく記載する
新卒の就職活動とは異なり、転職では履歴書に加えて職務経歴書の作成もすることになります。職務経歴書を作成することで、自分の経験やスキル、強みなどをより正確に整理することができます。面接でアピールすることも大切ですが、自分では強みとは認識していなかったスキルであっても、転職先で生かせる可能性があるため、詳しく記載しておくといいでしょう。
また、職務経歴書を作ることで、自分に足りないものや弱みも見えてくるはずです。キャリアチェンジで失敗しないために、どんな対策が必要になるかも知ることができるでしょう。
キャリアチェンジについて知っておきたいこと
未経験の業界や職種に転職するとなると、もちろんメリットだけでなくデメリットについても考慮しておかなくてはなりません。キャリアチェンジによって考えられるメリットとデメリットについて、それぞれまとめてみました。
最大のメリットは「希望の業界で働ける」こと
挑戦したい職種や新卒時には働くことができなかったような業界で働くことができる点が、キャリアチェンジの最大のメリットといえるでしょう。希望する業界や職種へ転職することで、仕事へのモチベーションがアップすることや、キャリアプランを描きなおすことができます。また、転職後に新しいスキルを身に付けたり、必要な資格を取得したりすることで、大きく成長することも期待できます。
「収入が下がる可能性」もデメリットのひとつ
これまで経験を積んできた業界や職種を離れることで、前職で身に付けたスキルや経験をすべて生かすことは難しくなるでしょう。また、前職の社風・働き方に慣れている人ほど、新しい業界や職種に慣れるまで時間がかかり、活躍できるのは先になるかもしれません。当然、未経験の職種に転職する場合は、即戦力としての活躍は難しいため、収入が下がってしまう可能性も高くなります。役職に付いている方は、ポジションが下がる場合もあることは考慮しておいた方が良いでしょう。
キャリアチェンジにベストなタイミングは?
キャリアチェンジをするにあたって、20代の若いうちがいいのか、経験を積んだ30代以上のほうがいいのか、迷ってしまう人もいるかと思います。
それぞれのタイミングでのキャリアチェンジは、いったいどんな意味を持ち、どちらがチャレンジしやすいのでしょうか。
第二新卒が転職しやすいタイミング
キャリアチェンジは、20代のほうがハードルは低いといわれています。未経験採用となると、指導するための時間や労力が必要となります。そのため、多くの企業は、長く働く可能性があり、吸収力が比較的高い若い世代を優先して採用します。特に、就職してから数年間の社会人経験がある第二新卒は、年齢も若く基本的なビジネスマナーが備わっているため、成長性や柔軟性があり、企業からのニーズも高い傾向となっています。
未経験業界や職種でまだ生かせる経験やスキルが少なくても、ポテンシャルを重視して採用する企業は多いため、20代で転職するのであれば社会人としての基礎があること、新しいことも吸収しやすい第二新卒が転職のチャンスといえるかもしれません。
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経験が生かせる職種選びが大切
ある程度経験を積んでからのキャリアチェンジは、やる気や成長性を見込んで採用される20代と違い、「経験や知識を生かせるかどうか」が重要となります。未経験の業種の場合、企業側が求める即戦力となるのは難しく、収入が下がるリスクもあります。しかしながら、社会人として経験力の高さから、20代の若手には担えない役割が期待できるのも事実です。職種を選ぶときには、これまでの経験をどう生かせるかを考えてみましょう。
また、キャリアチェンジに向けて必要な経験を積むために、現在勤務している会社内での担当変更や異動、新規事業の責任者ポジションを視野に入れることもおすすめします。また、昨今では「パラレルキャリア」が注目され、導入している企業も増えています。スキルアップや社会貢献といったことが主目的になるので、社内でのチャンスがなければ、パラレルキャリアを通しての挑戦も検討してもよいかもしれません。
キャリアチェンジのチャンスは20代から広がっている
未経験業界や職種に転職するキャリアチェンジは、勇気がいることですが新しい発見が期待できます。「今の仕事を本当に続けていきたいのか」「自分の理想のキャリアプランに合った職種はどんなものか」など悩んだときは、キャリアチェンジについて考えてみてはいかがでしょうか。
20代、30代それぞれにアピールポイントがありますので、何かを始めるのに遅すぎることはありません。自分がより高いモチベーションを持って成長することができる仕事を探してみることが大切です。