共働きの場合、片働きよりも世帯収入がぐっと増えるので、自由に使える金額も多くなり、貯金もしやすいはず。しかし、貯金額など家庭のお金の話は、なかなか身近な人にも相談しづらいため、適正な金額がわからないという人も多いのではないでしょうか。
ここでは、30代夫婦の共働き家庭の平均貯金額や、貯金を貯めるコツなどについてご紹介します。
共働きの平均貯金額は602万円
まず気になるのは、共働きの場合の毎月の貯金額。総務省が行った「家計調査報告(貯蓄・負債編)」によると、2017年における2人以上の勤労者世帯(共働き世帯)の平均貯蓄額は、40歳未満の場合は602万円となっています。この金額には、預貯金に加えて有価証券や生命保険も入っており、高所得者が平均値を引き上げている可能性もありますので、ひとつの目安として考えましょう。
また、2017年の「家計調査報告(家計収支編)」によると、全世帯の月々の手取り金額に対する貯金の割合は、平均して20.4%。30代では、平均25.0%と、収入の4分の1を貯金に回していることがわかります。
年収から貯金額を計算してみよう
では、実際に貯金をするにあたって、月々の手取り金額に対してどのくらい貯金をすればよいのでしょうか。ここでは、夫の年収400万円に対し、妻の年収が300万円と103万円の2つのパターンを想定して、貯金額を算出してみましょう。
また、年収から貯金額を計算する場合には、手取り金額を算出する必要があります。通常、年収に対して手取り額を算出する際には、所得税や保険料、年金などの社会保険料を差し引いて計算しますが、税金や各種保険料の合計は、前年の年収など個人によって異なるため、ここでは年収の約20%を控除額として計算します。
年収400万円の手取り金額は?
まず、夫婦の年収を算出する前に、夫の年収400万円に対しての手取り金額を計算していきます。ボーナスの有無によって月々の手取り金額が変動しますので、ここではボーナスなしの年収400万円として計算します。
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年収400万円/ボーナスなし
1カ月の給与額:約33万3,000円(400万円÷12カ月)
1カ月の手取り金額:約26万7,000円(約33万円×0.8)
共働き夫婦の貯金額シミュレーション
夫の手取り金額を、ボーナスなしの金額の320万円としたとき、それぞれの妻の年収でいくら貯金できるのでしょうか。妻の年収300万、103万からそれぞれの控除額を差し引いた手取り金額をもとに、世帯の手取り金額の合計金額の20%を貯金した場合の貯金額を算出します。
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妻の年収が300万円の場合
妻の年収が300万円の場合、住民税や社会保険などを合わせた約20%を控除すると、手取り金額は約240万円になります。手取り合計や、年間・月の貯金額は以下のようになります。
年間の手取り合計:560万円(320万円+240万円)
1カ月の手取り金額:約46万7,000円
年間貯金額:112万円(560万円×0.2)
1カ月の貯金額:約93,000円
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妻の年収が103万円の場合
年収が103万円以下の場合は、所得税の支払い義務はなく、控除される税金は住民税のみとなります。住民税は地域によって異なりますが、5,000円が目安になるため、手取り金額は約102万円になります。そのため、手取り合計や年間、月の貯金額は以下のようになります。
年間の手取り合計:422万円(320万円+102万円)
1カ月の手取り金額:約35万2,000円
年間貯金額:84万4,000円(422万円×0.2)
1カ月の貯金額:約70,000円
手取りの20%を貯金した残りで生活できる?
それぞれの世帯での手取り金額から、貯金額を算出しましたが、貯金した残りはいくらになるのでしょうか。妻の年収が300万円の場合は、貯金額を差し引いた残りは約37万円、103万円の場合には28万円が月に使える金額となります。そのため、ここから家賃や食費などをやりくりすることになります。
実際の年収や手取り金額、貯金額を具体的にシミュレーションすることで、20%の貯金率で生活できるのかどうかを計算しやすくなります。ご自身の家計の収支の中で、無理のない範囲で継続して続けることが大切なので、一度計算してみてはいかがでしょうか。
効果的に貯金する方法
毎月の貯金額が決まったら、今度はどのように貯金をするのか考えてみましょう。夫婦の合計金額から貯金をするのか、どちらかの収入から貯金をするのか、貯金の出どころを決めてから貯金の方法を決めるとよいかもしれません。
ここでは、より効果的に貯金をするための方法をご紹介します。
どちらかの収入から貯金をする
お小遣い制にしている場合や、夫婦でのお財布をいっしょにしている場合は、夫婦の収入のうち多いほうから家賃や光熱費、通信費など、生活に必要な固定費を支払い、片方の収入を貯金に回すという方法もあります。合計したり口座間で振替をしたりする必要もないため、手間もかかりません。
お互いに一定額を共通口座に預ける
お互いの収入金額を把握していない場合や、財布を分けている場合、おすすめなのが一定額を共通の口座に預ける方法です。生活費と貯金用の口座を分ければ管理もしやすいでしょう。毎月、それぞれが口座に入金する手間はかかりますが、自発的に貯金している意識付けにもなるのではないでしょうか。いつか、二人で協力して貯めたお金を使うときが楽しみになりそうですね。
定期預金を利用する
定期預金を利用するのも、貯金をするためのひとつの方法です。定期預金には、自動積立定期預金と定期預金の2種類があります。どちらも、預けてから一定期間引き出すことができないことや、毎月同じ金額を積み立てるところは同じですが、定期預金の場合は途中解約しにくい仕組みになっており、貯金という意味合いよりも資産の運用で使われます。
自動積立定期預金は、毎月自動的に指定金額を積み立ててくれるため、お金があると使ってしまうという人や、貯金額の入金忘れ防止にも最適です。貯金の目的や、用途によって選ぶとよいでしょう。
ゲーム感覚で貯金をする
毎月決まった金額の貯金とは別に、夫婦でのルールを決めて500円貯金などを楽しむのもよいかもしれません。
何かを忘れてしまったときに罰金として貯金をしたり、うれしいことをしてもらったら感謝の気持ちを貯金したりと、ゲーム感覚で貯金をしていけば、いつの間にか貯まっていたということもあるかもしれません。
貯金箱は、いっぱいになったときに貯金額がわかる物や、面白い仕掛けのある物などがありますので、楽しく貯金ができるでしょう。
貯金をするうえで気を付けたいこと
毎月、貯金をしているはずなのに、思っていたように増えないという場合、収入に対しての貯金率や、収支に問題があるのかもしれません。また、将来安心して暮らすための貯金が、今の生活を苦しめてしまっては意味がありません。
貯金をするために節約をするのはすばらしいことですが、あまりに過剰になってしまったり、我慢しすぎたりしないように気を付けましょう。交際費や娯楽費などを削りすぎることのないように、貯金をしながらも息抜きをすることが大切です。
将来の楽しみを増やすために計画的に貯金しよう
お金にまつわることは、正解がなく家庭によっても条件が異なるため、正解を見つけることは難しいかもしれません。だからこそ、きちんと夫婦で話し合うことが大切です。
経済的にも余裕のある働き盛りの30代は、万が一の時のためにしっかりと蓄えられる世代でもあります。よりよい生活を送るためにも、協力しながら、将来のための貯金を楽しみましょう。