パラレルキャリアと副業ってどう違うの?注目を集める新しい働き方

「パラレルキャリア」という言葉をご存じでしょうか?本業とは別に、余暇の時間を使って別のキャリアを築くパラレルキャリアは、新しいワークスタイルの確立方法として、注目され始めています。
副業とも似ているように見えるパラレルキャリアですが、どんな違いがあるのでしょうか。ここでは、パラレルキャリアと副業の違いや、パラレルキャリアが広がっている理由、パラレルキャリアのメリットや始めるときに気を付けたいことについてご紹介します。

パラレルキャリアと副業の違いとは?

複数の職業を持つという意味では、パラレルキャリアも副業も同じですが、この2つの働き方の大きな違いは「目的」です。副業が副収入を目的とする一方で、パラレルキャリアはキャリアアップやスキルアップ、本業では得られない経験などを目的としており、必ずしもそこに収入が伴うとは限りません。
2つの働き方の違いを知るためにも、それぞれの特性を詳しく見ていきましょう。

  • パラレルキャリア
    パラレルキャリアは、オーストリア人経営学者のピーター・ファーディナンド・ドラッカーによって提唱された言葉で、本業を持ちながら、第二の活動をすること。第二の活動には明確な定義はなく、別の企業への就職や自営業、ボランティア活動のような社会貢献など、収入を目的としないさまざまな場所での活動を指しています。ひとつの仕事を本業ととらえず、すべての仕事や活動に本業と同じように取り組むことがあるため、パラレルキャリアは「複業」ともいわれています。
  • 副業
    副業は、報酬を目的に、本業とは別の仕事を行うことを指します。パラレルキャリアとは違い、必ず収入を伴う活動のため、スキルアップや自己実現を必須としません。

パラレルキャリアが広まっている理由

働き方改革が始まり、終身雇用という考え方がなくなってきている現代において、パラレルキャリアに注目する人が増えてきています。中には、パラレルキャリアを推進している企業もあるのです。
ここでは、ワークスタイルへの意識の変化や企業寿命の変化など、パラレルキャリアが広がっている背景について見ていきましょう。

ワークスタイルへの意識の変化

終身雇用や年功序列といった、従来の日本の雇用に関する考え方がなくなりつつあり、フレックスタイム制度やリモートワークの導入、転職の一般化など、ワークスタイルの多様化が進んでいます。それぞれが人生設計をするにあたってさまざまなライフスタイルが生まれ、同時に働き方も多様化しているのです。そのひとつとして、新しい働き方を確立させるパラレルキャリアへの取組みも注目されています。

企業寿命の変化

企業寿命の短命化も、パラレルキャリアが注目されるひとつの理由です。定年退職をする前に企業に寿命が訪れてしまい、再就職先を探さなくてはいけないというリスクが高まりつつあります。そうなったときに困らないように新しいワークスタイルを確立させておくべき、という考え方が広まりつつあるのです。

企業へのメリットも多い

パラレルキャリアによって、個人のプロ意識やマネジメント能力の向上といったスキルアップを実現させることは、企業に対してもメリットがあると考えられています。そのため、パラレルキャリアを推進している企業も増え、専業禁止を唱える企業も出てきています。パラレルキャリアは、個人の経験や利益だけではなく、企業にも有益だという意識は今後さらに広まっていくでしょう。

パラレルキャリアを通して得られるメリット

キャリア形成や自己実現に向けてパラレルキャリアが有益であることはわかりましたが、実際に第二の活動によってどんなメリットが得られるのでしょうか。 パラレルキャリアによって得られるメリットには、主に次のようなことが挙げられます。

  • 本業では得られない経験やチャンスが得られる
    パラレルキャリアで本業以外の活動に取り組むことで、本業では得られない経験や、新しい仕事のチャンスが生まれます。今の仕事以上に自分に合っている仕事を見つけるきっかけになったり、趣味や夢を仕事につなげられたりするチャンスも十分に期待できるでしょう。
  • 人脈が広がる
    本業では仕事で関わる人が限られており、人脈が広がりづらいと感じている人にとってもパラレルキャリアは有効です。パラレルキャリアは会社のような組織の中で動くのではなく、さまざまな環境で活動に取り組むことができるため、自分次第で人脈を広げることができます。新しいビジネスチャンスや利益も生み出してくれることもあるため、キャリア形成には欠かせないといえるでしょう。
  • 視野が広がる
    パラレルキャリアによって新たな経験を積み、人脈を広げてさまざまな人と関わっていくうちに、自分の視野も自然と広げることができます。特に、自分とは異なる価値観を持つ人の話を聞いたり、大きな苦難を乗り越えてきたような人と交流したりすることで刺激を受け、意識が変わり柔軟な発想力を養うことにもつながるでしょう。
  • 経理スキルやマネジメントスキルが身に付く
    パラレルキャリアを築くうえで、売上や経費などが発生するようになると、本業では担うことのなかった業務も自分で行うことになります。個人事業主となった場合、収支の管理をはじめ、確定申告など、さまざまなお金のしくみを学ぶ必要があります。そのため、経理スキルや知識を身に付けることができます。
    また、人を雇用した場合には、マネジメントスキルや指導力も必要になります。これは、企業でも自営業でも、どんな職種、働き方でも活かすことができるスキルといえるでしょう。
  • 時間管理能力が身に付く
    決められた就業時間内で働く会社とは異なり、パラレルキャリアは自分で余暇の時間から活動時間を作り、スケジュールや時間を管理しながら取り組むこととなります。本業と両立させるために、自己管理と時間管理は欠かせないのです。パラレルキャリアの活動が順調になるにつれてタイムマネジメント能力が磨かれ、作業の効率化やスピードアップも期待できるでしょう。
  • 社会貢献にも活かせる
    収入を第一の目的とせず、スキルアップや人脈構築を目的とするパラレルキャリアは、新たなスタイルの余暇活動ともいえます。仕事としてだけではなく、ボランティア活動のような社会貢献としても取り組むことができるため、社会貢献の機会を得たいと考えている人にとってもパラレルキャリアは新たな経験の場所といえます。

パラレルキャリアを始める前に注意しておきたいこと

パラレルキャリアを始めるにあたって、注意しておきたいことを確認しておきましょう。自己成長のために始めたことが、本業に支障をきたしてしまったり、ストレスになってしまったりしないよう、計画的に始めることが大切です。

  • 勤務先のパラレルキャリアの制度を確認する
    まずは、勤務先・就業先にパラレルキャリアの制度があるか、またはパラレルキャリアが認められているかなどを確認しましょう。会社によっては、事前に申請が必要といったケースもあるようなので、注意してください。
  • 本業に支障が出ないように気を付ける
    パラレルキャリアは、本来余暇にあてるエネルギーや時間を割いて取り組むこととなるため、心身ともに負担がかかるのも確かです。パラレルキャリアの活動に熱中するあまり、体調管理や本業のタスク管理がおろそかになり、支障が出てしまっては本末転倒です。自己管理を徹底し、本業に支障がかからないようにすることが大切です。
  • 自由時間も確保する
    パラレルキャリアが仕事とほとんど同じ扱いになってくると、本業と合わせて、休みなく仕事をしている状態になってしまう可能性もあります。パラレルキャリアの活動に自由時間を割きすぎてしまい、ワークライフバランスが崩れてしまうことに気を付けましょう。体を休めたり、趣味にあてたりする自由時間を確保することで、より豊かなライフスタイルを実現することができるでしょう。

新しい働き方に目を向けてみよう

パラレルキャリアと副業の違いや、パラレルキャリアのメリットなどについてご紹介しました。パラレルキャリアの活動は必ずしも収入を期待できるものではありませんが、そこでしか得られないスキルや知識、新しいワークスタイルの確立など、将来の財産としてきっと役立つものになるはずです。
新しい働き方や、理想のキャリアプラン実現のために必要な経験があるという人は、本業とは別の活動を始めることも検討してみてはいかがでしょうか。

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