総務事務とは、部署を跨いで企業全体の事務作業などを担当するお仕事です。事務処理だけでなく、社内行事の運営や経理・人事といった専門領域のサポートまで、幅広い業務に携わります。未経験から就業できるため、未知の職種に挑戦しつつキャリアの選択肢を増やせる点が魅力です。このページでは、総務事務のお仕事内容や魅力、向いている人の特徴などについて解説します。
総務事務とは企業の事務を幅広く担当するお仕事
総務事務とは、部署をまたいで企業全体に関わる幅広いお仕事を担当する職種のことです。書類作成やデータ入力、来客対応といった基本的な事務作業はもちろん、社内設備の管理や人事・経理など専門領域のお仕事を行うこともあります。
未経験から総務事務に挑戦するのは難しい?
基本的に総務事務のお仕事では、特別な資格やスキルを求められないので「未経験可」としている求人もあります。そのため、未経験から総務事務に挑戦すること自体は十分に可能です。
ただし、挑戦できるハードルが低い分、人気があり倍率も高くなる点は注意しましょう。実際に2022年度における総務事務の有効求人倍率は「0.44倍」でした。これは、求職者1名に対して求人が0.44件しかないことを意味します。
このように、総務事務は未経験から挑戦できますが、人気が高いお仕事です。事前に「持っておいたほうがよいスキル」などを把握しておき、自分を正しくアピールすることで採用の可能性を上げる努力が必要です。
総務事務と一般事務の違い
総務事務は、部署をまたいで「企業全体に関わる事務作業」を担当することが基本です。
一方で、一般事務は「部署内における事務作業」をメインに行います。具体的なお仕事内容は、書類整理やファイリング、データ入力、資料作成、伝票チェックなど総務事務と似ている部分も多いですが、総務事務より「関わる部門・部署は限定的である」と押さえておきましょう。
一般事務について詳しくはこちら総務事務のお仕事内容
総務事務の具体的なお仕事内容は、大きく以下の種類に分けられます。
- 企業全体に関わる事務処理
- 社内行事の運営・企画
- 他部署に関連する業務
- 企業全体に関わる設備の管理
- その他、企業活動で発生する細かい対応
企業全体に関わる事務処理
総務事務では、以下のように基本的な事務処理も行います。
- 書類作成
- ファイリング
- データ入力
- 問い合わせや来客対応
- 書類整理
- 伝票作成
- 契約管理
上記のお仕事は、一般事務や営業事務、人事事務といった事務職の種類を問わず発生する業務です。
社内行事の運営・企画
総務事務は、以下のような社内行事の開催も担当します。
- 入社式
- 株主総会
- 社内旅行
- 社員やその家族の冠婚葬祭対応
- 新年会
- 忘年会
- 防災訓練
当日の運営や備品の準備、会場手配、予算の管理、出欠管理、社員への告知、手続きなどを幅広く行います。入社式や忘年会など季節ごとの社内行事も多く、大規模な企業になるほど準備や当日の運営も大変になるでしょう。
他部署に関連する業務
組織内に専門部署が設置されていない場合は、総務事務が他部署の業務を担当することもあります。例えば、人事や経理、労務、法務領域など専門分野に取り組むこともあるでしょう。
このように、他の事務職と比較して、専門性の高い業務に取り組む可能性が高い点も総務事務の特徴です。
- 空調や照明設備のメンテナンス
- 防災設備のチェック
- 備品の管理および補充
- 清掃業者の手配
- オフィスのレイアウト変更
- 会社にある植栽の手入れ
従業員が安全に気持ちよく社内でお仕事ができるように、幅広い部分を管理します。
企業には法律で「安全配慮義務」が定められており、従業員が身体的・精神的に安心して働ける環境の整備が義務付けられています。上記で解説した設備の点検は、こうした安全配慮義務を達成するための重要な要素のひとつといえるでしょう。
その他、企業活動で発生する細かい対応
上記以外に「備品を失くした」「落とし物や忘れ物の管理」など、細かい対応も行います。このように総務事務は、一般的な事務作業や専門領域のサポート、日々の従業員の困りごとの解決など、事務職の中でも業務範囲が手広い職種です。
総務事務で働く魅力
総務事務で働く魅力は、大きく以下2つです。
- 事務として幅広い経験を得られる
- 自分のプライベートを大切にしながら働きやすい
事務として幅広い経験を得られる
上記で解説したように総務事務では、一般的な事務処理だけでなく、人事や経理など他部署の専門領域を担当することもあります。そのため、幅広い経験を積んで自分のステップアップにつなげやすいです。例えば、「総務事務で経理の経験を積んだので次は経理業務専門で働きたい」「次の職場では人事領域に挑戦したい」など、キャリアを幅広く考えられます。
また、「未経験可」という求人があるように、未経験から就業して幅広いスキルを身に付けられる点も総務事務ならではの魅力です。
自分のプライベートを大切にしながら働きやすい
総務事務のお仕事は、書類作成やデータ入力などの定型業務も多いため、慣れれば通常業務は定時で終わるように調整することもできるでしょう。もちろん、社内行事が行われる季節になれば、多少業務が増える可能性はあります。また、企業によっては人事や法務など専門領域を任されるため、必ずしも「定型業務のみでOK」というわけではありません。
とはいえメインは事務作業になるため、ワークライフバランスを大切にしながら働きたい方にとっては魅力的なお仕事です。
総務事務が向いている人
総務事務には以下のような人が向いています。
- 事務職としてステップアップしたい人
- 業務を並行して管理・遂行できる人
- 様々な業務に臨機応変に対応できる人
- 社内外を問わず柔軟にコミュニケーションを取れる人
- 第三者のサポートにやりがいを感じる人
事務職としてステップアップしたい人
企業によっては総務事務のお仕事の一環として、経理や人事、法務といった専門領域の実務経験を積むことができます。
しかも、総務事務のお仕事の中には、特別な資格やスキルを求められないこともあり、未経験から挑戦できることもあります。そのため、未経験からはじめて専門領域で経験を積み、「将来的に事務職としてステップアップしたい」という方に向いています。
業務を並行して管理・遂行できる人
総務事務では、一般的な事務作業や行事の運営、専門分野のサポート、社内設備のチェックなど幅広い領域の業務を行います。異なる種類の業務を同時に進めるケースも出てくるため、自分でスケジュールを作成して並行管理できる人であれば、総務事務に向いているでしょう。
さまざまな業務に臨機応変に対応できる人
日々の定型業務や季節ごとの決まった行事運営などだけでなく、突発的な緊急対応も必要になります。例えば「備品のトラブル対応」「来客された方かのクレーム対応」などが挙げられるでしょう。そうした突発的なトラブルや緊急性の高い業務が発生した際も、普段の業務をこなしつつ臨機応変に対応できることが理想です。
社内外を問わず柔軟にコミュニケーションを取れる人
総務事務では幅広い領域のお仕事をするため、以下のように社内外を問わずコミュニケーションを取る機会が発生します。
- 社員旅行の手配で旅行会社の担当者と話す
- 窓口対応で顧客とやり取りする
- 設備点検の際に外部の業者とやり取りする
上記のように、さまざまな相手に対して柔軟にコミュニケーションを取り、お互いの認識をすり合わせたり要望を引き出せたりする人は総務事務に向いています。
第三者のサポートにやりがいを感じる人
総務事務は、幅広い業務を通じて企業活動を陰で支える存在です。事務処理や専門領域のサポートなどを行い、他の部署がスムーズに業務を遂行できるようサポートする機会が多いため、第三者を支えることが好きな人に総務事務は向いています。
総務事務で働くために持っておきたいスキル
総務事務には未経験可の求人も多いですが、挑戦するハードルが低い分、倍率も高くなりがちです。そのため、採用の可能性を高めるために以下のようなスキルを持っておくとよいでしょう。
- PCスキル
- 基本的なビジネスマナー
PCスキル
PCスキルはどの事務職でも必須です。最低限の文字入力やMicrosoft Office系ツールは使えるようにしておきましょう。とはいえ現在では、日頃からPCやスマホを使っている方が多いため、よほどのことがない限り問題なく扱えるはずです。
PCスキルの高さをアピールするために、MOSや日商PC検定などを取得しておくのもよいでしょう。資格の取得が難しければ、PCスクールに通って勉強することも有効です。とくに派遣会社の中には、指定のPCスクールを特別価格で利用できることもあるので、ぜひ活用しましょう。
アデコの場合、登録している派遣社員であればアビバやKENスクールなどの大手スクールを割引価格で利用できます。他にも提携スクールがあるため、詳細はこちらをご覧ください。
基本的なビジネスマナー
先ほども解説したように、総務事務では社外の人物と接する機会も多いため、基本的なビジネスマナーは身に付けておきましょう。
ビジネスマナーについては、難しく考える必要はありません。「服装や身だしなみに気を付ける」「正しい敬語を使う」など、最低限のマナーを知っておけば大丈夫です。客観的に「ビジネスマナーが身に付いている」ということを証明するのであれば、秘書検定などの資格を取得するのもよいでしょう。
未経験から総務事務に就業するなら派遣会社の活用も検討しよう
総務事務のお仕事では、一般的な事務作業だけでなく専門領域のサポートや社内行事運営、設備チェックなど幅広い業務を担当します。総務事務自体に特別な資格やスキルは求められないため、未経験から挑戦して特定の専門知識を身に付け、次のキャリアに生かせる点は大きな魅力です。
ただし総務事務は魅力が多い分、採用の倍率も高くなります。そのため、PCスキルや基本的なビジネスマナーを身に付けておき、自分の能力をアピールする準備を整えておきましょう。
総務事務として働くのであれば、派遣会社の手厚いサポートを受けながら就業することもひとつの手です。派遣会社を活用すれば就業中も不安な点を相談できるため、未経験から挑戦する場合でも安心できます。
例えばアデコであれば、キャリアコーチ制度があるため、総務事務としての日々の就業をサポートしてもらいつつ、今後のキャリアに関するアドバイスも受けられます。また、先ほども解説したように資格取得もサポートしているため、積極的に活用してみましょう。