「こころの健康」のお悩み・ご質問

Q.職場で苦手な人からの影響を受け、自分の気持ちが不安定になってしまいます。あまり波風を立てたくない気持ちはあるのですが、周りの影響を受けすぎて自分らしくいられなくなってきてしまい正直つらいです。どうしたら自分らしく、強い気持ちを持っていられるでしょうか?
A.
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益子先生からの回答

周りの人の気持ちに寄り添うのは大切ですし、誰かを慮る気持ちが強くなることもあるでしょう。でも、「寄り添うこと」と「合わせること」は違います。その違いを認識しましょう。
「共感」とは、ありのまま、ジャッジせず認めること。「同調」とは、相手や周囲に調子を合わせること、同じ意見・態度になることです。
自分と違う気持ちや考えに対して、「共感」することはできますし、それは自分を否定することにはなりません。対して、「同調」すなわち合わせることは、自分を抑えてしまうこと。自分で自分を否定することになるからつらくなってしまうのです。
自分で感じたことは真実でありそれが自分らしさであるわけで、周りから否定されるものではありませんし、何より自分がそれを認め大事にすることが自分らしくあるということだと思います。自分は自分という認識で、周りが感じることと自分の感じることの境界を意識するのです。「あなたはそう感じたのですね。私はこう思います」と伝えることは、相手を否定することにはなりません。

また、なにごとにも動じないことが「強さ」とは限りません。例えば、向日葵は太陽に向かってまっすぐ伸びる。紫陽花は雨に濡れているのが艶っぽくて綺麗ですし、秋桜は風にそよぐ姿が美しい。それぞれの「強さ」を持って咲いていますよね。つまり、強さは一つではない。それぞれの強さを受け入れられる豊かさをもっていることが大事ではないかと思うのです。自分らしさは自分が決める、周りから刺激を受けても自分らしさが影響されることはないと意図しましょう。

とはいえ、自分にとって心地よくない言葉や態度で苦手だなぁと感じる人はいます。そのときは、脳にフィルターがかかっていて、外からの刺激はフィルターを通して受けている、と想像してみてください。フィルターの網目は大きくしたり小さくしたり調節可能です。受けたくない刺激は網目を閉じて遮断できる。そのようにイメージするだけで頭に入ってくるものが全く変わってきます。自分ではコントロールできないものに対して、そのまま受けるのではなく、自分のフィルターを通して受けるも受けないも選択できるのです。自分フィルターを設定すればいい。そうした視点に立てば、苦手な人に黒い気持ちをぶつけられても冷静に受け流すことができると思います。
ただし、網目を調節するのにはエネルギーが必要です。疲れていて、気持ちに余裕がないと調節が難しい。また、こだわりや思い込み、執着は、網目の汚れのように付着しているので、フィルター機能が低下するばかりか、自分にとってよい刺激も素直に受け取れなくなってしまいます。自分らしさも周りの人それぞれの自分らしさも認められる豊かさをもって、常にフィルターはクリアにしておきたいものです。

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