働き方改革をきっかけに、「ワークライフバランス」や「キャリアプラン」という言葉をよく耳にするようになり、自分らしく働くということが注目されるようになりました。では、「自分に合った働き方」とは、どんな働き方なのでしょうか。
近年、正社員や派遣社員だけでなく、アルバイトやフリーランスなど、働き方の多様化が進んでいます。ライフスタイルや将来の目標、自分にとっての仕事の位置付けによっても、その人に最適な働き方は変わってきます。
ここでは、さまざまな働き方の特徴などを通して、自分に合った働き方を決めるためのポイントをご紹介します。
自分の生活・将来・仕事について具体的にイメージする
自分に合った働き方を考えるとき、まずは「どんな生活を送りたいか」「将来はどうなりたいのか」「仕事とは何か」という3点を明確にすることが大切です。それぞれの切り口から、どんなことが考えられるのかを確認していきましょう。
どんな生活がしたいかを考える
まずは、自分がどんな暮らしをしたいのか考えてみましょう。どんな場所で、誰とどのように暮らしたいのかを具体的にイメージすることで、実現させたい生活に必要な資金や時間、すなわち働き方が明確になります。
例えば、都心に近い人気のある街で広い家に住みたいのであれば、それなりの収入が必要になります。趣味・娯楽・美容などに対する投資は個人差がありますが、これらの優先度が高いのであれば、収入面に余裕のある仕事・働き方を考える必要があるでしょう。
また、家族や友人との時間や、趣味の時間を重視したいのであれば、時間や休日に関して融通の利く働き方が合っているということになります。
将来どうなりたいかを明確にする
実現させたい生活をイメージしたら、将来どうなりたいのかも考えてみましょう。特に女性の場合、結婚や出産といったライフイベントを重視したい人も少なくないと思います。その際、どんな働き方をしているのがベストかを考えることも大切です。ほかにも、将来住みたい場所や理想の貯金額をイメージすることで、そのために必要な準備も明確になってきます。
自分にとって仕事とは何か?
最後に、自分にとって仕事はどんな位置付けになるのかを考えてみましょう。自立した生活をするための収入源なのか、自己成長や社会貢献の機会ととらえるのか。人生の多くの時間を割いても良いくらいの生きがいなのか。中には「趣味や好きなことを仕事にしたい」という人もいると思います。
「自分にとって仕事とは何か?」という問いの答えによって、自分に合った働き方も変わってくるのではないでしょうか。
それぞれの働き方の特徴とメリット・デメリット
生活や将来などについて具体的にイメージできたら、自分に合った働き方を選ぶステップに入ります。
代表的な働き方である、正社員・派遣社員・アルバイト・フリーランスという働き方それぞれの特徴と、メリット・デメリットを確認していきましょう。
安定重視、長期的に働きたいなら「正社員」
正社員の特徴でもありメリットでもあるのは、雇用期間に定めがなく、月給制でかつボーナスが支給されることが多いという点でしょう。また、社会保険が完備されているというのも、生活する上での安定につながります。基本的には勤務地と勤務時間は決められていますが、最近はリモートワークや在宅勤務、フレックスタイム制を導入している会社も増えているため、会社の規定によっては柔軟に働くこともできます。
その一方で、アルバイトや派遣社員よりも残業が多かったり、転勤や異動がある、有給消化がしにくかったりといったデメリットもあります。
<メリット>
- 雇用期間の定めがない
- ボーナスが支給される場合がある(※会社規定による)
- 社会保険が完備されている
- 交通費が全額支給される場合が多い
<デメリット>
- 就業時間がある程度決まっている
- 転勤の可能性がある
- 残業に応じなければならない
- 有給消化がしにくいことがある
プライベートと仕事のバランスが大切なら「派遣社員」
派遣社員は、正社員よりも勤務時間や勤務地を選びやすく、残業の有無も選べたりする柔軟さが魅力です。労働条件によっては、派遣会社の社会保険に加入することができます。転勤の心配もなく、有給を取りやすいのもメリットです。基本的に雇用期間に限りがあり契約の更新の都度、契約されるかどうか判断されますが、2013年4月に施行された「改正労働契約法」により、同じ企業との間で、 有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合は、企業に対し無期転換への申し込みができるようになりました。また、ボーナスが出ない点は、正社員と比べて大きな違いですが、無期雇用派遣社員として就業する場合には、ボーナスが出ることもあります。
<メリット>
- 勤務条件が選びやすい
- 残業の有無を選ぶことができる
- 有給を取得しやすい
- 転勤がない
<デメリット>
- 登録型派遣では雇用契約が有期雇用である(有期雇用派遣)
- 有期雇用派遣の場合、一般的にボーナスはない
- 労働条件によっては社会保険に加入できないこともある
プライベート重視派!選択の自由度が高い「アルバイト」
ほかの働き方に比べて勤務時間を自由に選びやすいアルバイトは、残業に応じるかどうかも自分で決めやすいという特徴があります。また、所定の労働時間や日数を働くことで有給休暇も取得することができます。転勤の心配もないでしょう。しかし、アルバイト勤務をするにあたって注意したいのは、社会保険や交通費についてです。
社会保険は、「週の所定労働時間が20時間以上30時間未満」「1ヵ月あたりの賃金が88,000円以上」「雇用期間の見込みが1年以上」「労働者が学生でないこと」「勤務先企業の従業員数が501人以上または500人以下で社会保険の加入について労使合意がなされている」場合に適用となります。これらの条件をクリアする必要がありますが、健康保険や厚生年金、労災保険など、生活する上で大切な制度を受けられるかが変わるため、きちんと確認しておきましょう。また、交通費支給の有無は就業先によって異なるため、求人をよく確認することが大切です。
アルバイトの雇用期間は有期雇用ですが、2013年4月に施行された「改正労働契約法」により、同じ企業との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合は、企業に対し無期転換への申し込みができます。
<メリット>
- 勤務時間や残業の有無を選びやすい
- 転勤がない
- 雇用期間が通算で5年を超えると、無期雇用に転換の申し込みが可能
<デメリット>
- 職種によってはインセンティブが発生するが、一般的にボーナスはない
- 交通費の支給は会社によって異なる
- 条件を満たさないと社会保険に加入できない
固定給はないが自分の裁量で働きやすい「フリーランス」
会社や派遣会社と雇用契約を結ぶ正社員やアルバイト、派遣会社とは大きく異なる働き方がフリーランスです。個人事業主や自営業者という位置付けにもなります。仕事ごとに会社と契約を結び、受注した仕事を自分の裁量でこなしていくため、就業時間や働く場所の自由度が非常に高いのがメリット。社員と異なり固定給もないため、能力次第で、また、働けば働いた分だけ稼ぐことができるという点もフリーランスの特徴です。
仕事のスケジュールや休日の調整もしやすいため、プライベートを充実させることもできるでしょう。その一方で、経費や税金の管理を自分で行う必要があるほか、仕事が軌道にのらないと収入が安定しないといった側面もあります。
<メリット>
- 勤務時間や働く場所の自由度が高い
- 仕事量や条件をコントロールして高収入を目指せる
- プライベートを優先させることができる
- 自分がやりたい仕事を選ぶことができる
<デメリット>
- 毎月の仕事量や収入が不安定
- 税務処理を行う必要がある
- 体調を崩しても、ほかの人に仕事を任せられない
- 仕事とプライベートのメリハリがつかなくなるケースがある
自分に合った働き方について考えてみよう
さまざまな働き方を知ることで、自分に合った働き方とは何かを考えるきっかけになるのではないでしょうか。
働き方の多様性が広がっている今、改めて自分の価値観や希望にあった働き方を考えてみるのもよいかも知れません。自分に合った働き方で、自分らしい生活を手に入れましょう。
※この記事は、2017年に新規公開された記事となります。