派遣社員と正社員のどちらが自分に合う働き方か、悩むという人は多いかもしれません。派遣社員と正社員の7つの違いについて解説します。
派遣社員と正社員の違い
派遣社員と正社員には、さまざまな違いがあります。まずは、派遣社員と正社員の特徴を知っておきましょう。
派遣社員の特徴
派遣社員は、派遣元(派遣会社)と雇用契約を結び、派遣先(派遣元とは別の就業先企業)で働く雇用形態です。派遣社員の雇用主は派遣元ですが、業務における指揮命令者は就業先の企業です。このように、雇用主と就業先が異なる雇用方式を「間接雇用」と呼びます。
また、一般的な派遣社員には、就業先で働ける派遣期間があらかじめ定められています。派遣期間が終わると、派遣会社との雇用契約も終了です。継続して同じ就業先で働く場合は契約更新の手続きを行います。
正社員の特徴
正社員とは、就業先の企業と期間の定めのない雇用契約を結び、給与の支払いや社会保険、業務上の指揮命令などを、すべて就業先企業から受ける雇用形態です。このような雇用主と指揮命令者が同じ雇用方式を「直接雇用」といいます。
一般的には、「労働契約の期間の定めがない」「所定労働時間がフルタイム」「直接雇用」の3つの要件をすべて満たす労働者のことを正社員と呼びます。正社員は原則として、社会保険の加入が義務付けられています。
派遣社員と正社員の7つの違い
先述のような主な特徴に加え、派遣社員と正社員には、次のような7つの違いがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 雇用主の違い
派遣社員の雇用主は派遣元である派遣会社ですが、正社員の雇用主は勤務先の企業です。
派遣社員は、派遣会社(派遣元)と雇用契約を結び、就業先企業(派遣先)で働きます。実際に働く場所は派遣先ですが、派遣先企業とは雇用関係はありません。労働条件や給与などについても、雇用主である派遣会社と取り決めをします。それに対して正社員は、実際に勤務する会社が雇用主になり、給与の支払いや仕事の指示などもすべて勤務先から受けます。
2. 雇用期間
一般的な派遣社員は有期雇用ですが、正社員は無期雇用です。派遣社員は、一般的に、「3カ月」や「6カ月」などの契約期間が定められています。契約期間が終了するたびに更新か満了かが決まり、同じ職場で引き続き働く場合は、その都度更新の手続きが必要です。
また、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」によって、派遣社員が同じ職場で勤務できる期間は最長で3年までと定められています。
正社員には、そのような雇用期間の定めがありません。みずから退職を希望しない限りは、基本的に会社が定めた定年まで働き続けることができます。
3. 給与面
派遣社員の給与は、時給制であることがほとんどです。働いた時間に応じて給与額が決まるため、年末年始や大型連休などで勤務日数が減ると、給与が少なくなってしまいます。
一方、正社員の給与は、多くが月給制や年俸制です。休日数にかかわらず、毎月固定の給与が支払われるため、収入が変動しにくいという特徴があります。
4. 労働時間
派遣社員には、フルタイム勤務のほか、週3~4日の勤務や1日8時間未満の時短勤務など、柔軟な働き方を選びやすいという特徴があります。それに対して正社員の場合は、基本的に週5日、1日8時間のフルタイム勤務です。
短時間正社員制度を採用していたり、育児中や介護中などで時短勤務を利用できたりするケースもありますが、派遣社員ほど自由度が高い条件で働くのは難しいでしょう。
5. 採用から就業までのフロー
派遣社員と正社員では、採用から就業に至るまでのフローが大きく異なります。
派遣社員の場合は、まず派遣会社に登録し、担当スタッフから希望条件やスキルに合った仕事の紹介を受けます。就業先が決まったら派遣会社と雇用契約を結び、明示された労働条件に合意した後、派遣先企業での就業がスタートします。
一方、正社員の場合は、就業を希望する会社の求人に、直接または転職エージェントなどを通じて応募します。その会社で書類選考や面接を受け、採用が決定したら雇用契約を結び、就業開始です。会社によっては、本採用の前に試用期間を設けている場合もあります。
一般的に、派遣社員よりも正社員のほうが、採用のハードルは高いという傾向があります。派遣社員はスキルや本人の希望がマッチすれば、比較的すぐに働き始めることが可能です。
対して正社員は、スキルや希望に加え、「社風に合うか」「成長が期待できるか」「長く働けるか」といったことも細かくチェックされるため、面接回数も複数になることが多く、選考過程も長くなりがちです。
6. 仕事内容
派遣社員は自分で仕事内容を選んで働くことができますが、正社員は会社からの指示で職種や業務内容が決まるという違いもあります。
また、派遣社員は、雇用契約で定められた業務のみを行います。契約期間中は基本的に同じ業務を継続して行い、重要な判断や責任を伴う仕事は任されにくい傾向があります。
一方、正社員の場合は、会社の事情や戦略に応じて、さまざまな業務を担当することが一般的です。入社時から業務内容が変わらないというケースは少なく、組織マネジメントや他部署のサポートを任されたり、転勤や部署異動によって、勤務地や担当内容が大きく変わったりする可能性もあります。
7. 福利厚生
労働者に福利厚生を提供するのは、雇用主です。そのため、派遣社員は派遣会社から、正社員は勤務先から福利厚生を受けます。
正社員の場合、住宅手当や家族手当、役職手当など、充実した手当制度が設けられていることがあります。一方、派遣社員の場合も、研修やセミナーといったスキルアップ支援制度を用意している派遣会社もあります。福利厚生の内容は企業によってそれぞれ異なるため、よく比較検討するといいでしょう。
なお、社会保険の加入や有給休暇の付与については、派遣社員も正社員も条件は同じです。
派遣社員と正社員で迷ったら、無期雇用派遣という働き方もおすすめ
派遣社員と正社員のどちらが自分に合う働き方なのか迷ったら、「無期雇用派遣」を検討するのもひとつの方法です。
無期雇用派遣(常用型派遣)は、派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結ぶ雇用形態です。派遣先での就業期間が終了しても派遣会社との雇用契約は継続し、次の就業先企業へ派遣されます。もし、すぐに次の派遣先が見つからない場合でも、待機中は派遣会社から給与(休業手当)が支払われます。
アデコには、「ハケン2.5」という独自の無期雇用プログラムがあります。現在の職場で2.5年以上継続して派遣就業している人なら、アデコの無期雇用派遣社員に応募することが可能です。アデコ以外の派遣会社で就業している人でも問題ありません。応募後は簡単な選考を経て、アデコの無期雇用派遣社員となります。
アデコの「ハケン2.5」について詳しくはこちら派遣と正社員の違いについて知ったうえで、自分に合った働き方を見つけよう
派遣社員と正社員には、雇用の仕組みや給与形態、仕事内容など、さまざまな違いがあります。自分の理想の働き方を実現するには、それぞれの雇用形態の違いを把握しておくことが大切です。
派遣社員と正社員で迷った場合は、両方の中間的な働き方である「無期雇用派遣」を選択する方法もあります。仕事をするうえで重視したいポイントを見極め、自分に合った働き方を選びましょう。