採用ブランディングによって自社の採用課題を解決しませんか?採用ブランディングを適切に行うことで採用難を乗り越えている企業もあります。時代とターゲットに合った採用活動で、自社の採用を円滑に効率的に進めましょう。
今回は、採用ブランディングの目的や方法から、導入するメリットとデメリットまでを詳しく解説します。
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「採用ブランディング」でひとつ上の採用広報へ
まず、採用ブランディングと採用広報の違いと、採用ブランディングが注目される時代背景について解説します。
採用ブランディングと採用広報
採用活動において人材を募るための広報活動は欠かせません。しかし、ただ採用/求人情報を手当たり次第に発信しても理想的な採用効果・成果を得ることは難しいでしょう。採用広報とは、ターゲット人材の明確化やそのターゲットがポジティブな反応をしてくれるような情報を発信することで、重要な企業の採用活動の一つとなります。
一方、もう一歩先回りして、自社の良いイメージを構築していくのが採用ブランディングです。「〇〇ならこの企業(自社)」「この企業(自社)は〇〇!」という認識を求職者や社内外に広く浸透させることで、採用広報の際にも優位性を獲得しやすくなります。
採用ブランディングが求められる時代背景
年々、採用ブランディングへの関心度が高まっている要因の一つに、少子高齢化があります。2020年のコロナ禍によって、売り手市場から優秀な人材を獲得していく流れへと変わりつつあるなかで、労働人口の減少により、更に企業にマッチする人材を獲得する難易度は高まっています。
また、SNSが普及したことも採用市場に変化をもたらしています。企業がターゲットとする人材にダイレクトに情報発信やアプローチをしやすくなったと同時に、求職者が受け取る情報量も急激に増加しています。企業からの情報をポジティブに受信してもらうといった点でも採用ブランディングの必要性が増しているといえます。
採用ブランディングとは? その意味と目的について
採用ブランディングは、自社の強みや魅力を発信することで認知度を上げ、自社に対するイメージを向上し、求職者からの共感、信頼を引き出すための戦略です。結果的に、自社の採用活動を活性化、効率化する採用戦略ともいえます。
自社らしい独自の発信により、「この企業で働きたい」という、自社のファンとなるような人材との接点を増やすことができます。企業規模を問わず実践できる有効な取り組みです。
採用ブランディングの目的
採用ブランディングの目的は、自社が求める人物を獲得することです。的確に運用することで、もちろん応募数の増加も見込めますが、数より重要となる形成する母集団の“質”の向上に大きな期待が持てます。つまり、企業の価値観と合うマッチ度の高い人材に出会い、採用できる確率が高まるのです。
企業の価値観と合うエンゲージメントの高い人物の採用は、採用後の定着という課題にも良い影響を与えるでしょう。
採用ブランディングの方法
では、採用ブランディングの方法について準備から開始まで6つのステップに分けて解説します。
- 1採用市場における自社の立ち位置の把握
- まず採用市場において、現状、自社がどのような立ち位置にあるかを把握します。採用トレンドと現況、ターゲット人材のニーズ、競合の活動情報が必要です。自社事業や商品・サービス、経営者を含めた人、制度などにおける自社の特長を俯瞰して、打ち出すべき強みを分析します。
- 社内外において自社がどのように認知されているかを把握することも大事です。3C分析(顧客=ターゲット・競合・自社)などのマーケティングフレームワークを用いた分析も役立つでしょう。
- 2自社のポリシー、スタンスを明確化
- 自社を含めた採用市場の分析のあとは、自社をどのような会社として発信するのか(どう認識されたいか)を決めます。自社の立ち位置や理念、ビジョンを踏まえ、ターゲットにわかりやすく響き、共感を得られるような“自社のあり方”を明確にします。
- 自社のあり方、つまりポリシーやスタンスは、採用ブランディングの軸となる要素です。事業戦略上の課題や採用方針などにも重なりますので、しっかり行う必要があります。
- 3求める人物像(ターゲット)の設定
- 自社のポリシーやスタンスを念頭に置き、自社が求めている人物像を設定します。個々のスキルや能力といったスペックはもとより、行動パターンや志向の特質、心持ちや人間関係など、できるだけ多角的な側面から具体的に落とし込んでおきましょう。詳細であるほど採用活動や人材選定の確度が上がります。求める人物像を説明する言葉や表現までターゲットに合わせて考えることも大切です。
- 一人の架空人物を設定(ペルソナ設定)し、活躍できる、あるいは社風にフィットしエンゲージメントの高い人材の特徴を考えるのもおすすめです。理想的な人材が社内にいれば、その人材をモデルにしてもよいでしょう。
- 4ターゲットに向けた採用コンセプトの立案
- 続いて、採用活動においてどのように発信していくのかというコンセプトを決めます。重要なのは“自社が求める人物像が対象”という点を強く意識することです。あらゆる媒体や場面で情報発信をおこないますが、コンセプトはすべてにおいて一貫させておく必要があります。
- これまでのステップでクリアにした自社の強みやスタンスなどをどのように伝えれば“ターゲット”のポジティブな反応につながりそうかを考えましょう。
- 5発信する媒体の選定
- 採用に関わる情報を発信する具体的な媒体を選定します。例えば、自社の採用サイト、SNS(Twitter、Facebook、Instagram)、セミナーや会社説明会、各種求人募集プラットフォームなどが挙げられます。ターゲットの活用度の高い媒体を選びましょう。
- また、採用ブランディングには各種媒体への継続的な取り組み・更新が欠かせません。自社で長期的に手がけられる人、スキル、予算が確保できるかどうかも選定の要素です。
- 6運用の開始
- 先の5つのステップが整ったら実際の運用に入ります。自社はもとより、採用市場の状況やターゲットニーズも常に移り変わるものです。反応や採用成果に基づいてPDCAを回しながら、更新とブラッシュアップを繰り返しましょう。
採用ブランディングのメリットとデメリット
採用ブランディングを実践していくことのメリットとデメリットを解説します。
メリット
- 【企業認知の向上】
- 採用ブランディングの取り組みにより企業の存在や価値の認知度が上がります。求職者はもちろんのこと、これまで接点がなかった人に対しても自社の情報を目にする機会を増やせるからです。
- 中小企業やベンチャーなどでは、自社の認知度の低さによって採用が難航することも多いでしょう。認知度が上がることで、応募先、もしくは将来的な就職先候補として検討してもらえる可能性が高まります。
- 【応募者の増加】
- 企業の認知度向上によって求人に対する応募者の増加も見込めます。魅力的な求人情報や企業メッセージを発信できれば、就職・転職先候補として考えてもらえる可能性は高まるでしょう。
- 【質の高い応募者が集まる】
- 採用ブランディングには応募者の質を高める効果もあります。求職者が応募前に自分に合うか合わないかを十分に検討できるようになり、企業の求める条件に合う応募者が集まりやすいのです。
- 応募や初期選考の段階からマッチング精度が高まれば、選考途中での離脱や内定辞退も少なくなるでしょう。また、共感度が高く価値観の合う人材が集まるため採用した人材が定着しやすいのもメリットです。
- 【採用コストの削減】
- マッチングの精度が上がり的確な採用活動ができることで、採用コストが下がる可能性があります。日頃から採用ブランディングに取り組むことで、口コミなどでも求人情報を拡散できるルートができあがり、求人発生のたびに広告媒体にかけるコストを減らせる場合があります。
また、質の高い採用ができ、内定辞退や早期離職などでの欠員募集が少なくなれば不意の求人活動コストも減少します。 - 【競合企業との差別化】
- 採用ブランディングでは他社との違いや自社の特長を明確に訴求します。求職者の企業選択の際にその独自性が効力を発揮し、「この企業で働きたい」という意識を持ってもらえる確率を高められます。自社の特長をはっきりと打ち出すことが、求職者の企業選択や検討をサポートし、背中を押すことにつながります。
- 【社員のモチベーションアップ】
- 企業の採用ブランディングを目にするのは求職者や社外の人たちだけではありません。社員へのメッセージやモチベーション喚起としても機能します。自社のことを再認識する機会となり、企業の発信に沿う一員/組織になることを意識するようになるでしょう。
デメリット
- 【人事担当者だけでなく全社で取り組む必要がある】
- 採用ブランディングで発信する内容やメッセージは、経営者や人事だけでなく全社員で実践されるべきことです。内容を社内で共有して、全社で認識と行動を一致させる必要があります。発信内容と現場にギャップがあることで、採用ブランディングが機能しない場合もあります。
- 【結果が出るまで時間が必要】
- 効果や結果の出る採用ブランディングが確立するには、少なくとも2~3年を要します。何度かの採用サイクルを通し、ブラッシュアップを繰り返していく必要があるからです。長期的な運用を見据えた計画を立てておきましょう。
- 【継続的な情報発信の手間がかかる】
- 採用ブランディングは、一度情報発信をしたら完了するというものではありません。どのような媒体を活用するにしても、短いスパン、かつ継続的な情報発信が求められます。
- これらの工数やスキルが必要とされる点はデメリットといえます。発信する情報がアップデートされていない場合、自社にマイナスのイメージを持たれてしまう場合もあります。
採用ブランディングで求める人材を獲得しよう
採用ブランディングは、デメリットもあるもののメリットはとても多く、多くの企業の採用課題を解決しています。時間も手間もかかりますが、長い目で見れば理想的で効率的な採用フローができ、成果もあげられることは、採用という長期的な課題に対して有効な施策の一つになります。
これを機に、自社の認知を上げ、信頼と共感を引き出す採用戦略である採用ブランディングを検討してみてはいかがでしょうか。
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