テレワークが進む中、研修もオンラインで実施することが多くなってきました。
講師と参加者のより良い関係醸成、ならびに意義のある時間にするために、リモートで研修を行う際のポイントをご紹介します。
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企画 1研修内容を練る
リモート研修に特化した内容を練りましょう
今までオフラインで行ってきた研修とは勝手が大きく違うため、参加者視点で内容を練る必要があります。
対面でないため集中力が途切れやすい、複数人が同時に話すと聞き取れずスムーズに進まないなど課題がでてきます。
避けるべきこと
- 聞いているだけの座学・動画視聴形式
- 画面の限界を超える情報量の提示
- 複雑、 大人数でのディスカッション
改善するために行うこと
- 参加型の演習形式
- 集中力を持続させるためのコンテンツ、時間配分
- ディスカッションは少人数に
予定通りにいかないなど最悪のパターンの想定・対処法を考えておくと、より安心です。
企画 2 通信環境を事前に整備
通信環境の整備なしでの成功はありえません
インターネット環境は各々異なってるため、タイムラグが生じたり、音が途切れたりといった、軽微なエラーの発生は前提として認識しておきましょう。
しかし講師側のツールの設定ミスによるエラーは避けたいところです。
音声・動画・画像に問題がないか、事前準備やリハーサルを入念に行いましょう。
頻繁に起こるトラブルは事前に回避
- 指定のURLにアクセスできない
- カメラ、マイクが正常に起動しない
事前に仮URLを発行しアクセスできるか、使用ツールが正常に起動するか確認しておく等の準備が必要です。
また、頻繁に起こるトラブルをQ&A方式でまとめておけば、素早い対応が可能となるのでおすすめです。
企画 3サポートメンバーの確保
研修を裏で回すサポートメンバーを見つけましょう
リモート研修では、「繋がらない」「やり方がわからない」等、緊急事態が起こる可能性が大いにあります。
その場合、講師一人だけでは対応が難しく、本来の進行に支障も発生してしまいます。
緊急事態に対応するメンバーを決めておくと円滑に行うことができます。
緊急時の質問方法(チャット、メール等)も事前に決めておくとスムーズに対応できます。
また、サポートメンバーには以下のようなことも可能な限りお願いしておけば、研修への参画意識、理解度を高められるでしょう。
- 講師の話に頷くなどリアクションし、参加者を巻き込みやすい雰囲気作り
- 参加者の発言回数を記録して少ない方をフォロー
緊急事態が付き物であることを認識しましょう。
企画 4Web会議ツールへの不安払拭
ツール操作への不安はそのまま研修への不安になり得る
新入社員、今まで非IT企業に勤めていた人にとって、Web会議ツールに対する心理的なハードルも高いことでしょう。
人によっては、インターネットサービス自体に慣れていないという場合もあり得ます。
まず最初に、ツールの使い方説明・軽く実践を行うといいでしょう。
研修スタート時に自己紹介の時間を設け、以下のような操作を一緒に行うのがおすすめです。
- カメラ、マイクのオンオフ
- 画面共有、チャットへの書き込み
- 「手を挙げる」ボタンを押す
ここでは、基本的な操作説明も必要です。
慣れている方・いない方を把握することで、研修中にサポートメンバーもフォローしやすくなります。
大切なことは、研修についていけない人を作らないことです。
企画 5Web会議ツールの選択
研修内容に合わせてツールを使い分けるといいでしょう
ツール
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用途・特徴
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Zoom |
【用途】 TV会議システム(Google Chrome、Microsoft Edge) 【特徴】 データ量が軽いため、操作性・音声と映像の品質は一番良い。 セキュリティ脆弱性Ver5以降は脆弱性が下がって大企業で導入が進んでいる。 知名度が高いため求職者もアプリ導入していることが多い。グループディスカッションが可能。 |
Microsoft Teams |
【用途】 TV会議システム・共同編集(Google Chrome、Microsoft Edge) 【特徴】 企業にMicrosoft製品が導入されている確率が高いため、企業間同士の活用が進んでいる。 共同編集は便利だがMicrosoft 365®とZoomの併用ほうが使いやすい。 |
Cisco WebEx |
【用途】 TV会議システム(Google Chrome、Microsoft Edge、Internet Explorer) 【特徴】 セキュリティ面での信頼が高く、操作性はZoomに類似している。 |
playse |
【用途】 Web面接システム(Google Chrome) 【特徴】 面接用に作成されているため、面接前のヒアリングシート、面接中のメモ、評価項目でのスコア化が可能。 ID・パスワード発行ができるため、求職者管理ができ、アプリダウンロードがいらない。 |
- ZoomおよびZoom(ロゴ)は、Zoom Video Communications, Inc.の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
- Google Chromeは、Google LLC の商標または登録商標です。
- マイクロソフト製品の名称および製品名は、米国 Microsoft Corporation の、米国およびその他の国における商標または登録商標です。
- WebExおよびCisco WebExは、米国Cisco Systems, Inc.の登録商標です。
- 記載されている会社名および商品・製品・サービス名は、各社の商標または各権利者の登録商標です。
実施 1集中力を持続させる
参加者の集中力は思った以上にリモートでは持たない
リモート研修は、画面に1人1人顔が映ることで高い緊張感を保てるというメリットがあります。
その一方で、集中力を維持できるスパンは短くなります。
一説によると、集中力の持続時間は最大で90分、波は15分周期と言われています。
そのため、従来の研修よりもコンパクトに時間配分する必要があります。
従来の研修
- 半日研修や1日研修
- 講義は90分~120分
- 8分に一度、確認のため参画させる
リモート研修
- 1日3~5時間に収める
- 講義は45~60分
- 休憩は10~15分、できればPC前から離れる
- 4分に1度、確認のため参画させる
- 途中にアンケートを実施するのも効果的
半日は別の研修や課題に取り組むようにするなど、並行的に進める方がおすすめです。
また基本的なところでは、講師、参加者ともにスマホは目の届く範囲に置かず研修に取り組みましょう。
実施 2安心感の醸成
研修内容だけではなく、ルールも検討しましょう
参加者にとって、画面越しの研修には不安がつきものです。
そのため、システムの使用方法・コミュニケーションのルールも事前に周知しておきましょう。
具体的なルール事例
- 全員がカメラをオンにすることで、表情や人となりがわかるようにする
- 質問があるときは画面にむけて挙手する、チャット機能を使う
- 理解しているときは顔の横に手で〇を作る、していないときは×を作る
一人ひとりの状態を一目で把握しやすくするために、ジェスチャーも重要になります。
「これくらいわかっているだろう」というような思い込みは捨て、参加者の不安を取り除くことを心がけましょう。
実施 3双方向コミュニケーションの醸成
講師と参加者の繋がりを強調しましょう
対面でないということは、講師が独りよがりになる危険性が伴います。
時間をとったディスカッションも参加者の理解度向上のために重要ですが、ベースとして、講師と参加者の双方が終始コミュニケーションがとれていることが理想です。
講師は参加者の様子を常に伺い、時には意見を求めるようにしましょう。
例えば、説明が一段落した後に、
「みなさんどうですか?では○○さんお願いします」
と参加者を指名して発言させることで、全体に一体感や臨場感も生まれてきます。
また、参加者同士の繋がりによって発生するコミュニケーショから気づきを得ることも重要です。
研修ルールに沿った「理解したときはOKサインをする」など、共通した行動を行うことでつながり感を醸成、課題を達成することで成功体験や達成感の共有、共感ができるのです。
実施 4ディスカッションは4人以下に
参加者の人数を限定するとメリットが発生します
一方的な座学形式だけにすると、参加者が途中で飽きてしまい、内容が頭に入りにくいという可能性があります。
そのため、一部にディスカッションを取り入れることをおすすめします。
リモートの特性上、複数人が同時に話しにくいため4人以下で行いましょう。
少人数であれば、お互いが話すタイミングを掴みやすく、発言しない傍観者が出にくいというメリットもあります。
また、アウトプット用フォーマットは配布し、個人で形式が異ならないようにしましょう。
議長、タイムキーパーなど役割を決め、書記は画面共有しながらまとめることで円滑に行えます。
リモートだからこそできるロールプレイング
研修では、正しい言葉遣いやマナーを学びますが、リモートならではの方法もあります。
例えば、電話応対のロープレ。
電話をかける役と取る役の2人はカメラをオフにすることで、話し方や声のトーンがいかに大事か学べます。
また、他の参加者からの意見も聞ければコミュニケーション向上にもなるでしょう。
実施 5TIPS
参加者視点を忘れずに、細かな気配りを行いましょう
内容や構成が完璧であっても、参加者視点が欠けてしまっていると、わかりにくかったり、集中力を削ぐ要因になってしまう可能性もあります。
よって、以下のような点にも注意しましょう。
参加者に不快感を抱かせない、見やすいように工夫する
- デスクトップを整理
- マウスポインタを大きく表示
- 画面共有時に、こそあど言葉を使わない(ex. 画面右上の会社ロゴの右側を見てください)
- 動きをともなう研修(名刺交換など)は部分的に動画を取り入れる
フォロー体制を整備する
- ヘルプデスクの設置(アフターフォローできるようにする)
完了振り返り
次回に向けた企画につながります
研修の効果検証は、見直しや改善のために実施後に行いましょう。
会社視点、社員視点で、アンケートや理解度テストをするのがおすすめです。
研修直後は研修への満足度、その後一定期間をあけて参加者のスキル習得、意欲・行動変容などを評価します。
参加者本人だけでなく、上司の意見も評価に取り入れましょう。
会社視点の評価
- 研修の投資効果
- 職場における態度・行動の変化
- 業績への研修の貢献度
社員視点の評価
- 研修に対する満足度
- 知識・スキルの習得度や意欲・行動変容
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