派遣労働者へのテレワーク導入

派遣元・派遣先・派遣労働者の三方の協力と理解のもとに、派遣でもテレワーク導入は可能です。

アデコは東京都内の中小企業にコンサルティング実施し、250社のテレワーク導入をおこなってまいりました。
そのコンサルティングで得た知見をもとに、労務管理の運用ポイントをご紹介します。

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労働者派遣法は、雇用主と違う職場で指揮命令を受けることになる派遣労働者の身分を守るため、派遣元や派遣先に数多くの規制を課しています。
その一つに派遣契約書に就業場所を明記することや、派遣先の責任者が就業場所を定期的に巡回することなどがあります。そのため、派遣労働者の業務はテレワークが原則として適さないものとも考えられていました。

派遣労働者に対しても積極的なテレワークの実施が可能

厚労省は4月10日に見解を公表。
派遣労働者に対しても積極的なテレワークの実施を呼びかけています。

また、業務内容がテレワーク実施に可能か、緊急の場合には事前の派遣契約の変更なくテレワークが実施可能であるとも明記しています。
なお、これらはあくまでもコロナウィルス感染拡大防止の措置ですが、今後もこの流れは続くものと推測されています。

厚生労働省:新型コロナウィルス感染症に関するQ&A(抜粋)

Q.改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言が出されたこと等を踏まえ、派遣労働者についてもテレワークの実施を行いたいが、労働者派遣法に関して留意すべきことはありますか。
A.1
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するためには、テレワークが有効な対策の1つであり、派遣労働者についても、派遣先が自ら雇用する労働者と同様に、積極的なテレワークの活用をお願いいたします。
  • 派遣先での派遣労働者に対する指揮命令は、必ずしも対面で実施しなければならないものではありません。業務の内容を踏まえ、テレワークによっても必要な指揮命令をしながら業務遂行が可能かどうか、個別にご検討ください。
A.2
派遣労働者に関しテレワークを実施するためには、就業の場所などについて、労働者派遣契約の一部変更を行うことが必要になる場合があります。 【変更の例】
令和○年○月○日付け労働者派遣契約と同内容で、○○株式会社は、□□株式会社に対し、労働者派遣を行うものとする。ただし、就業の場所は、□□株式会社の△△事業所(テレワークを実施する場合には派遣労働者の自宅)とする。
この場合の契約の変更については、緊急の必要がある場合についてまで、事前に書面による契約の変更を行うことを要するものではありません。ただし、派遣元事業主と派遣先の間で十分話し合い、合意しておくことは必要ですので、ご留意ください。
Q.「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」と「派遣先が講ずべき措置に関する指針」では、派遣元事業主及び派遣先は、派遣労働者の就業の場所を定期的に巡回することとされていますが、派遣労働者が自宅等でテレワークを実施する場合にも、自宅等を巡回する必要がありますか。
A.
「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針」においては、派遣元事業主及び派遣先は、定期的に派遣労働者の就業場所を巡回することとしていますが、これは、派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認するためのものです。 派遣労働者に対して自宅等でテレワークを実施させるときは、例えば、電話やメール等により、就業状況を確認することができる場合には、派遣労働者の自宅等まで巡回する必要はありません。 派遣元事業主と派遣先との連絡調整も的確に行うことで、派遣労働者のテレワークが労働者派遣契約に反せず適切に実施されるよう、必要な対応をお願いします。

派遣労働者へのテレワーク導入事例

コロナ渦以前は、テレワーク可能な派遣先は限られており、情報漏洩の懸念を示されることが多かったですが、現在は、「派遣労働者がテレワークできるのか」という問い合わせもかなり増えてきており、実施している派遣先も増えています。
実施にあたり、派遣元・派遣先・派遣労働者の三者間の理解と協力が必要になります。

Task
派遣元
派遣先
派遣労働者
対応事例
業務の切出し テレワーク向き、不向き 現業業務をヒアリングし、テレワーク可能か判断
インフラ関係
ネット環境(Wi-fi等) 派遣労働者の自宅のネット環境を確認し、必要な場合にはWi-fiを購入いただくなどの対応。通信費の費用負担についても取り決めが必要
PC関連 原則として、派遣先からPC貸与。場合によっては派遣労働者の私用PCに派遣先のセキュリティーツールを導入
手続き関係(契約内容等)
情報漏洩対策覚書 情報セキュリティに関する研修の実施、派遣労働者からの同意書の取得は派遣元が実施するなど、派遣先と派遣元で調整。
情報漏洩事故の場合などの責任範囲は派遣元と派遣先の覚書等で明確化。
就業場所の追記 緊急の必要がある場合においては、事前に契約書の変更を行うことを要するものではないとしている(厚生厚労省の見解)
*契約書に就業場所の追記をする際は、「派遣労働者の居宅」とし、派遣労働者の住所を記載しない(特定行為に該当するため)
在宅勤務チェックリスト 派遣労働者より、在宅勤務チェックリストを提出いただき三者間で共有するなど
その他 対象者への周知・説明 テレワーク対象派遣労働者及び指揮命令者へ、導入目的及び運用ルールの周知説明

派遣労働者に係る契約関連サンプル

アデコでは、派遣労働者にもテレワーク規程を適用するとともに、契約書の修正や留意点をまとめた同意書、職場環境の確保に関するチェックリストを作成するなど、企業のニーズに応じたテレワークを実施できるよう環境を整備しています。

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