テレワークを導入した結果、派遣社員とのコミュニケーションが不足しがちになっていませんか?
リモートワーク環境下でも円滑なコミュニケーションを行うために、いくつかのヒントをご紹介いたします。
人事に関するお役立ち情報をお送りいたします。
メールマガジン登録
コロナ渦でリモートになった派遣社員へのアンケート
アデコは、「COVID-19の影響でリモートワークに切り替わったアデコ派遣社員へのアンケート」を実施しました。リモートワークのメリットはありましたか?
- お互い顔が見えない分、コミュニケーションをより意識するようになり、関係性が深まった
- COVID-19の感染リスクが減って、心理的に安心できるから
- 通勤時間がなくなったので、ストレスが大幅に減った
- 通勤時間がなくなったので、その分勉強等自分の時間に費やすことができるから
- 子供などの家族との時間を取れるようになったから
- 普通なら休むまでもない体調が少し悪い時でも、自宅で様子を見ながら仕事をすることができるから
リモートワークのデメリットはありましたか?
- 指揮命令者や関係者とのコミュニケーションが、リモートワーク以前より円滑にできていない
- 関係性が薄い人からの業務指示があると、分からないこととかがメール等では聞きにくいから
- モバイルだと通信環境がよくなく、大きなデータや一斉にアクセスする時間帯はつながりにくい
- 集中すると時間配分が難しく、終わったら疲れ切っているから(慣れてくると解消できると思う)
- リモートワークが長期化すると、光熱費や生活消耗品のコストが心配
- 2020年3月実施調査:COVID-19の影響でリモートワークに切り替わったアデコ派遣社員へのアンケートより抜粋
調査結果では、派遣社員の大多数がリモートワークにメリットを感じている一方で、指揮命令者や関係者とのコミュニケーションに課題を抱えていることが分かりました。
弊社は、東京オリンピック・パラリンピックを見据え、“2020年には社内従業員の労働の半量をリモートワークに切り替える”ことを目標に、約5年前からリモートワークを推進してまいりました。 本資料では、弊社での事例をもとに、リモートワーク環境下でも円滑なコミュニケーションを行うための、いくつかのヒントをご紹介いたします。
始業・終業の報告
気軽に「おはようございます」と言い合えないのがリモートワーク
リモートワークは、日常的なコミュニケーションが希薄になってしまいます。
その蓄積が大きなストレスとなることやエンゲージメントの低下を招きかねません。
チャットツールやメールなどで、始業時に一言「これから仕事を始めます。」というメッセージをやり取りすることで、挨拶代わりになります。
多人数のチャットでは「今日もWFH(Work From Home)頑張ろう!」などのチーム内のコミュニケーションにつながることも。
また終業時にも同様のコミュニケーションを行い、その日の労をねぎらいあいます。ただ単に、派遣社員に始業と終業の報告を求めるのではなく、挨拶ととらえて反応しあうことがポイントです。
毎日15分のチェックインをしましょう
日々の業務の進捗確認に苦労していませんか?
始業開始後、できるだけ速やかにチェックイン(朝礼)を行います。
派遣社員への指揮命令者が1名の場合は1対1の通話で構いませんが、ビデオ会議システムなどを使うと、表情などで機微をくみ取ることができます。
指揮命令者が複数名いる場合は、組織やチーム単位で行うとより効果的です。
各人が、今日の予定とタスクを手短に宣言することで、派遣社員の業務遂行の優先順位やマイルストーンがはっきりします。
また、派遣社員自身にも、タスクなどを整理して宣言してもらうことも有効です。
アウトプットを明確にしましょう
リモートワーク環境下、生産性が気になりませんか?
平時においても「指揮命令に則った役務の提供」が労働者派遣のサービスの在り方です。
リモート環境下ではそれをより一層意識することで、派遣社員の生産性を維持することができます。
対面のコミュニケーションで接点が多い環境下であれば、あいまいな指示で業務をスタートしても、修正指示を入れることで最終的なアウトプットを引き出せます。
リモート環境下では、「いつまでに、何を、どうして欲しいか」という明確な指揮命令により適切なアウトプットを導き出すことができます。
また、アウトプットに対して都度フィードバックを行うことも、アウトプットの質を向上させるために重要です。
- 何を達成してほしいか
- その仕事の重要性や必要性、優先順位
- 成功をどう測るか、進捗状況をどう共有するか
- 期限の提示 例:「7割完成したら、一旦報告してください」
こまめなリアクション(3秒リアクション)をしましょう
そのワンクリックで、派遣社員のモチベーションがUP!!
人間には自分のアウトプットに対して反応が欲しい、承認欲求があります。
リモートワークで抜け落ちてしまいがちなのが、日々の存在承認です。
- TeamsやSlack、Skypeなどのメッセージには、いいね!を押下する
- メールには、短いテキスト「確認しておきますね」程度でいいので、まずはクイックに返信する
など、たった3秒の手間で、相手の承認欲求を満たすことができます。
派遣社員には「見てもらえている」という安心感が醸成されますし、一方で、「見られている」という緊張感を持たせることもできます。
クイックコール「今、電話してOKですか?」を受け入れてください
テキストベースのやりとりで、時間を消耗していませんか?
例えば、トラブル発生時の複雑な背景説明がしたいとき、チャットやメールなどのテキストベースでのやり取りに終始することで、こちらや相手の意図が正しく伝わらず、余計に時間をかけてしまった経験はありませんか?
派遣社員にも、困ったら悩まずに「電話してOKか?」と聞いて!と伝えておくことで、互いに余計な時間を消耗することがなくなります。
ステータスの開示をしましょう
派遣社員は、いつ指揮命令者に連絡していいかわからず困っているかもしれません。
完全なリモートワークに移行すると、日々のリズムが変わる可能性があります。
子育てと仕事を両立している指揮命令者の方はとくに当てはまります。
自分の勤務時間を、派遣社員も含めたチームの他メンバーに知らせ、何時ならば連絡が取れるのかを明確にしておきましょう。
TeamsやSlackの“ログイン状態”や“ステータスメッセージ”を活用して、積極的に共有することもできます。
常時オンライン通話を活用してみてください
アデコでのベストプラクティスをご紹介します。
リモートワークでは孤独感を感じることがあります。バーチャルに一つになれる機会を作り出すことが重要です。
事例紹介
複数のメンバーで同時に同作業を行う場合は、チーム内で常時オンライン通話(ビデオ会議)をオンにしたままにしておき、まるでオフィスにいるかのように気軽にコミュニケーションを取りながら業務遂行をしています。
作業に集中したい時はミュートにしてOKなどの工夫もあります。
作業を完遂する目標時間に合わせてビデオ会議の時間を設定できるので、時間までに作業を終わらせようというモチベーションにもつながり、生産性が向上したという側面もあります。
また、通常の社内勤務時より、コミュニケーションが活発になったとの結果がでています。
非公式なコミュニケーションをしましょう
楽しくなければ、続かない!
オフィスを離れたことで失ったと感じるものの一つが、カジュアルな会話です。
給湯室や自販機の近くのおしゃべりは社交の場というだけではなく、通常では思いつかないような重要な情報や洞察に気づかせてくれる機会でもあります。
チャットメッセージを、バーチャルな給湯室であると考えてみましょう。
絵文字、GIF、スタンプはチャットをおもしろく気軽なものにするために重要です。
廊下での非公式な会話がなくても、チームメートとのつながりを維持できるようにすることをお勧めします。
楽しい会話用のチャネルを用意する
仕事と関係のないカジュアルなやり取りを行うこともチームワークを高める効果があります。
しかしながら、全員に通知されると思うと「こんなこと言っていいのかな?」と投稿を躊躇してしまいます。
チャットグループが活性化する・雑談が習慣化するまでの最初の数日は、チームの中の2名くらいが率先して会話を進め、“意識的に雑談”することをお勧めします。
カジュアルなビデオ会議を行う
質問への回答手段を以下のように工夫すると円滑なコミュニケーションができます。
- ○×カードを用意する
- オッケーサインなど身振り手振りで意思表示する
コミュニケーションはカジュアルに。
とはいえ、テレワーク特有のセクハラ・パワハラにはご注意を。
ビデオ会議の際の、「部屋をもっとみせて」 「在宅ワークで少し太った?」などと言った言動は、受け取る相手によってはハラスメントとして受け取られることもありますので注意が必要です。
また、雑談ベースのコミュニケーションも労働時間のうちに入ります。
あまりにも雑談ばかりにならないようにすることや、 それにより時間外が発生することがないよう、雑談の盛り上がり具合をコントロールいただくことも重要です。
- 今年3月に掲載された、Microsoft CorporationのHPの記述を参考にしています。
- https://news.microsoft.com/ja-jp/2020/03/13/200313-staying-productive-while-working-remotely-with-microsoft-teams/
リモート環境下、派遣社員の新規受け入れ
派遣社員の新規受け入れができずに困っていませんか?
受入時に、下記の準備が必要です。
- PCは、事前に派遣社員の自宅に送付(本人同意のもとであれば住所開示が可能※)
- PCセットアップマニュアル
- PCセットアップサポート(電話でのサポート)
- オリエンテーション資料:社員の新卒・中途入社者向けのe-Learningを一時的に開放
- 1「指揮命令者」から「派遣社員」へ業務レクチャー・引継ぎする場合
- 比較的スムーズに就業開始できます。
対面型と違い、一度に複数の指揮命令者から、あれもこれも引き継がれることがないので、段階を踏んで業務を覚えていくことが可能というメリットもあります。 - 業務レクチャー・引継ぎ方法
- 電話でのコミュニケーション
- チャットでのコミュニケーション
- 画面共有での事務処理説明
- 2「派遣社員」から「派遣社員」へ業務レクチャー・引継ぎする場合
- 指揮命令者の見えないところでの業務レクチャーや引継ぎになるため、定期的な進捗確認がポイントになります。
WBSのような引継ぎ進捗表があると、より明確になるでしょう。 - 業務レクチャー・引継ぎ方法
- 電話でのコミュニケーション(スカイプなど)
- チャットでのコミュニケーション(指揮命令者も含める)
- 画面共有での事務処理説明
- 指揮命令者への定期的な進捗報告
まとめ
COVID-19の影響で、なし崩し的にリモートワークになることで、事前準備が十分でなく、結果、生産性が下がっているという声がよく聞かれます。
アデコでは、派遣社員自身が積極的にリモートワークで生産性が高められるようなサポートも行っています。
派遣社員に向けた具体的なサポート
- キャリアコーチや営業担当者からリモートワークでのコミュニケーションの工夫をアドバイス(本webページに似た内容で派遣社員向けの資料を配布)
- メンタルヘルスサポートの強化
- キャリアアップの機会(e-Learning、OAスクール)
- 在宅中の育児サポート(シッター・保育料利用料の補助)
- アデコミュ(様々な学び・楽しみのコミュニティを開催)
また、企業のご担当者様には、今、リモートワーク中に不便に感じたことを記録することをお勧めいたします。
是非、その課題を弊社にも共有いただき、今後、継続的にリモートワークでの派遣活用していくための解決策をパートナーとして一緒に導き出していけたら幸いです。
弊社では、上記のような人事ノウハウをわかりやすくまとめ、定期的に更新しております。
メールマガジンにご登録いただくと、労働法制や人事トレンドなどの最新お役立ち情報をチェックいただけます。