テレワークでは、「今までのマネジメント方法が通用しない」「やり方を変えなければいけないが、どうしたらよいかわからない」と感じているマネージャー層は多いのではないでしょうか。
テレワークで求められるマネジメント方法・考え方をご紹介します。
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リモート指揮命令の課題とは
テレワーク環境でマネージャーが感じること
テレワークでマネージャーの皆様は以下のような悩みを抱えていないでしょうか。
- 業務の指示がしにくい、進捗状況がわかりづらい
- メンバーが悩んでいたり、心身の変化に気づけないのではないか
- メンバーがサボっていないか、逆に隠れて残業していないか
一方で、テレワーク経験者のマネージャーの意見は?
実際にテレワークを工夫して活用されている方からは、以下のような意見も聞こえてきます。
- メンバーが自己管理の習慣をつける機会になった
- 無駄な業務を減らしチームの生産性が上がった
- マネジメント能力が高まった
テレワークではフォーカスポイントが”働いた時間”から”成果”へシフトしていくので、メンバーの時間管理のみではなく、”タスク管理”、”テレワークで働きやすいマネジメント”、”不安のケア”をしていくことが重要です。
出社とテレワークで大きな差を感じるのは”コミュニケーション"
出社時は、メンバーと直接対面し”目や耳から自然と入ってくる情報”でメンバーの状況を把握できていましたが、テレワーク環境では”目や耳から入ってくる情報”がなくなるため、メンバーの状況を把握しにくくなります。
同じ空間を共有しなくなると、メンバーとコミュニケーションをとる時間が減り、認識違いやミスのリスクが高まる可能性もあります。
オンライン会議での表情やレスポンス速度も参考に
一緒の空間にいなくても、相手の感情や業務が見えなくなるわけではありません
テレワークは相手の姿は見えなくなるだけで、コミュニケーションがとれなくなるわけではなく、感情や空気感を共有できなくなるわけでもないのです。
そのためには、テレワーク環境でありながら、人と人とのつながりを実感できるような工夫が必要になってきます。
目次
Point1適切な労務管理とは
記録には残るが手間がかからない、そんな勤怠管理方法ががベターです
Point監視ではなく運用ルールでメンバーの状態を把握するようにしましょう
業務開始時、中抜け時、終了時はチャット上で簡単な報告をルール化してはどうでしょう。
業務開始時は、チーム全体で朝礼代わりに動画でのWEB会議も有効です。
- 朝礼Web会議を実施の際は、メンバーの表情、声色、発言内容に注視し、”微細な変化を見逃さないこと”を意識する
- チームメンバーに、各自の業務予定を共有スケジュールに入力することをルール化する
- Web会議ツールに付帯する”状況ステータス機能”の運用をルール化すると便利
- あまりに細かい報告をさせるとお互い疲弊し、”自分は信用されていない?”とメンバーの士気に影響する可能性も…
実施しないと…
- メンバーの勤務状況が掴めず、適切な指示がしにくい
- 煩雑な労務管理だとメンバーが疲弊してしまう
メンバーの視点から
- 業務開始報告がスイッチとなりオンオフの切り替えがしやすい
- 毎朝チームのコミュニケーションがあり、孤独感が解消
Point2コミュニケーション頻度を上げる
コミュニケーション頻度は親近感や信頼関係に大きく関係します
Point関係構築に有効 = Web面談20分×3回 > Web面談60分
- 信頼関係を築いていくには、”対面しているかどうか”よりも”コミュケーション頻度”と”様々な話題で”が重要
- この現象は”ザイオンス効果”と言われ科学的に立証されている
ザイオンス効果とは?
アメリカの心理学者ロバート・ザイオンスが提唱した心理効果で、別名「単純接触効果」とも呼ばれています。
「人は、同じ人やモノに接する回数が増えるほど、その対象に対して好印象を持ちやすくなる」効果のこと。
日常においても、最初は気にも留めなかったCMを何度も見ているうちに、登場するタレントや音楽に次第に好感を抱くようになる、ような現象です。
特にテレワークで新しい人材を受け入れる際には、意識してみてはいかがでしょうか。
実施しないと…
- メンバーとの関係構築が進まないかも…
- 新人がチームに慣れるのに時間がかかるかも…
メンバーの視点から
- 上司との接点が増え、コミュニケーションが円滑になった
- 短いWeb面談なので、負荷にならなくてありがたい
Point3情報のオープン化
対面でなくなると”目や耳から入ってくる情報”がなくなるため、”意図的に伝える”ことが大切です
Point都度聞かなくても、情報が”参照できる””自然と入ってくる”仕組みを作りましょう
- Web会議などを利用し、意図的に目標・業務進捗共有などの時間を確保
- お互いが”同じ方向”に向かっているという目的意識を共有しあえることで、一体感を醸成し、メンバーのモチベーションを高める
- グループチャットを作成し共有事項を報告することで、メンバー全員が把握
- Web動画をONにした短時間の朝会も効果的
- 朝会はその日の業務予定、共有タスクの進捗シェア、雑談など、発表内容をルール化すると参加者も話しやすい
- マネージャーの予定を共有スケジュール表に入れておけば、メンバーもそれを参照して、相談するタイミングを掴みやすい
実施しないと…
- 情報の格差が生まれやすい環境になりやすい
- 都度確認は聞く側も聞かれる側も負担になりやすい
メンバーの視点から
- 自然と情報が入ってきて、全体進捗も理解しやすい
- 相手の状況がわかれば、質問するタイミングも掴みやすい
Point4アウトプット以外にも着目する
姿が見えないテレワークでは、途中段階のコミュニケーションも重要です
Point姿が見えにくいテレワークでは、アウトプットへの評価に加えて、プロセスでのコミュニケーションにこそ着目しましょう
- テレワークでも、出社時と同じくチームメンバーとコミュニケーションをとりながら働く
- ”アウトプットだけ”評価を行うと、メンバーに”チームで協業していく視点”が欠けてしまう可能性もある
- マネージャーがプロセスに着目し、チーム全体がプロセスをシェアする習慣をつけるとメンバーの安心感にもつながる
- 良質なアウトプットは、そこに至る過程も可視化しておくことで再現性が高まる
- 作業プロセスを週報やグループチャット等を利用して、周囲とシェアする運用が効果的
実施しないと…
- アウトプットのみに意識がいき、協業意識が薄れる
- 良質なアウトプットの生まれる過程がシェアできない
メンバーの視点から
- プロセスも見てくれていると、協業意識が高まる
- 良質なアウトプットの生まれる過程から学べる
Point5明確な業務指示を
”なんとなくわかるだろう”ではなく、”明確な指示”を心がけましょう
Point”成果物が納期どおりに完成”=”適切に業務遂行”となり、労務管理の負担が軽減されます
- 「依頼の背景」「業務の目的」「納期」「優先順位」などを明確に示すと効果的
- 曖昧な表現は避け、”きれいな文章”より”伝わる文章”を心がける
- できるだけ定量的表現を使う
- 箇条書きは受け手も読みやすい
- 「例えば●●でいうと△△です」のようなメンバーがイメージの沸きやすい具体例を入れることも有効です。
- 「依頼の背景」「業務の目的」を伝えることにより、メンバーがGOALイメージを理解して主体性を発揮しやすくなる
- 成果物と納期をセットで指示することにより、テレワークと親和性の高いJOB型に近い働き方となる
実施しないと…
- 想定外の伝わり方をしてやりとりが増える
- ”こちらの意図と異なる成果物”があがってくる
メンバーの視点から
- 必要な情報が、最初から網羅されており、業務が捗る
- 業務の目的や納期がわかると、自分でも優先度を考えやすい
Point6相談しやすい環境つくり
”報連相+雑談用”の連絡チャネルを用意することも有効です
Point進捗やタスク管理をするのではなく、”メンバーの話を聞く時間”を意図的に作り、不安や疑問に耳を傾けることが大切です
「いつでも相談するように」と伝えたところで、実際に相談してくるメンバーは少ないでしょう。
15分程度の短時間でよいので、定期的な1on1Web面談枠をセットしてみるのも有効です。
- 週に1回は定例のチーム会議を開くなど、 ”仕事の関係性によるつながり=所属している安心”を実感させると孤独感も薄れる
- 直属の上司以外で相談できる同僚を作っておく「ペアワーク」の導入も有効
- あえて雑談する場をつくり、小さな成功を祝ったりして楽しい時間を共有することもモチベーションアップにつながる
ただし、マネージャー側から「雑談をしましょう」と発信しても、なかなか雑談が生まれない雰囲気の場合もあります。
メンバーから雑談交じりのコミュニケーションをしやすいように、マネージャー側から積極的に雑談をしていくのが有効です。
実施しないと…
- 見えないところで問題が発生していても気づけない
- 関係性が希薄になり、チームビルドにネガティブ影響
メンバーの視点から
- テレワークで業務を抱え込むと不安になりやすい
- 悩みや提案など、自分発信で相談するタイミングが掴みにくい
Point7フィードバックサイクルを短めに
テレワーク環境では、対面時よりも”フィードバックサイクルを短くすること”が有効です
Pointフィードバックと同時に”メンバーの異変をキャッチする場”としても有効活用しましょう
- 短期間でのフィードバックを繰り返すことで、メンバーは ”仕事を見てくれている”と安心し、 ”認識GAPが解消され”て不安が減ります。
- フィードバック面談はできる限り動画はONで行い、メンバーの表情や発言(声色)を注意深く観察してみるとよい
- ダメ出しメインではなく、共有業務のGOALイメージを共有し、現状の良い点・今後に向けての改善点を伝えることが有効
- 相談や質問に対して、まずは”メンバーにとっての真実”を受け入れ、その後、丁寧にフィードバックを行いましょう
- 心理的安全性はメンバーの主体性を促し、チームの生産性を上げる効果もあります。
※心理的安全性=メンバー一人ひとりが恐怖や不安を感じることなく、安心して発言・行動できる状態
実施しないと…
- メンバーの異変や不安に気づけないかも…
- 認識GAPが起こったまま業務進行するリスク
メンバーの視点から
- テキストのみのフィードバックは、表現によって冷たく感じてしまう
- 早い段階でフィードバックをもらえると、認識GAPが減りありがたい
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