「副業・兼業について」の連載は、今回が最後になります。最終回は当社の運用制度や、実際に当社で副業・兼業の制度を利用して活躍されている方々のインタビューをご案内します。
「副業・兼業」の過去の連載についてはこちらからご覧いただけます。
副業・兼業について - 第1回 -
副業・兼業について - 第2回 -
副業・兼業について - 第3回 -
アデコには働きやすい環境づくりのための施策が色々ありますが、副業・兼業については「パラレルキャリア」という制度があります。
Adecco Global Vision
Making the future work for everyone
Adecco Japan Vision
キャリア開発があたりまえの世の中をつくる。
これらの、アデコグループのビジョンの実現に向けて、個人のキャリア開発や、成長の機会の一つとして副業・兼業を捉え、原則容認の方向で制度設計を行っています。
当社のスタンス
キャリア開発の一環として容認
規定などの整備
イントラなどで情報を周知
- 規定
- ガイドライン
- 申請書
- 誓約書
ガイドラインのポイント
- 制度の主旨や目的
- 対象者や申請方法
- 禁止職種、禁止事項、遵守事項
- 中止命令、懲戒処分
- 勤務時間と賃金、所得申告
- 免責事項
- 人事評価
具体的なフロー
- 1.直属の上司への相談
- 2.ガイドラインを参照
- 3.申請書・誓約書を人事に提出 ~承認可否の決定~
- 4.実際の兼業・副業スタート
インタビュー
アデコ社内の業務:企業への人材紹介業務
パラレルキャリア:骨髄バンクのドナーコーディネーター
Q. なぜ、パラレルワークを利用しようと思ったのですか?
3人目の出産のため、育児休業を取得している際に骨髄バンクのドナーコーディネーター資格を取得。3人の子育てとアデコでの仕事の両立は難しいと思い、ドナーコーディネーターを一生の仕事にしようと思っていた矢先、アデコから強い復職の打診がありました。復職にあたってドナーコーディネーターの仕事も続けていきたい旨を会社に伝えたところ、快諾いただき、後にパラレルキャリア申請を勧められました。
Q. 働く時間帯や曜日は決まっていますか?
現在はアデコの仕事や育児との両立を図るため、ドナーコーディネーターとしての案件は1件ずつ引き受けるスタイルを取っています。また業務は夜や週末など、アデコの労働時間外に実施しています。実働は月に1~1.5日程度で1回当たりの業務時間は2~2.5時間程度です。ただし、案件によっては、患者さんの状況などにより各工程や期限は厳しく決まってくるため、プレッシャーがかかることもあります。
Q. パラレルワークをやってよかったこと、本業に生かせている点はありますか?
現在のアデコでの担当業務は人材紹介です。人材紹介もドナーコーディネーターの仕事も共通する点は、求職者やドナーの方々が何を大切にしているか、何を最優先させようとしているかを関係性を築く初期の段階で明確に知ることの重要性です。
転職しようとしている求職者の場合には、どうして転職を決意したのか、何かきっかけがあったのか、ドナー候補者の場合には、なぜドナーになろうと思ったのか、きっかけがあったのかを正しく把握することが最も大切だと思っています。背景を知ることで、その方の思いや覚悟が明確になり、相手の気持ちに寄り添うことで、クロージング(転職オファーの受諾、ドナー提供の決断)に向けて、スムーズな流れになることが多いです。
相手の気持ちに寄り添い、気持ちに沿った方向へ向かっていくことが重要。そういった意味で2つの仕事はとてもよく似ていると感じています。ドナーコーディネーターの仕事を引き受けたことで、結果として、相互の仕事に相乗効果が出ているように感じています。
ドナーコーディネーターは人の命をつなぐ大切な仕事、転職支援は人の職業人生をつなぐ、どちらも大切な仕事です。
Q. パラレルワークをやっていて、困っていることはありますか?
ありません。2つの仕事をやっていることで、良い意味で片方の仕事が逃げ場にもなり、追い詰められずに済んでいる部分もあると思います。自分にできることは一つだけでない、いくつもやれることがあるというのは自信につながります。人生100年時代、「やれることをどんどん増やしましょう」という時代になってきていると思います。そういった意味で、自分のスキルが横断的に生かされるアデコのパラレルキャリアの制度はとてもありがたいと感じています。
アデコ社内の業務:バックオフィス業務
パラレルキャリア:講師(スポーツを通したキャリア教育など)
Q. なぜ、パラレルワークを利用しようと思ったのですか?
アデコに入る前から行っていました。主に自治体などから依頼が入ります。復興支援の一環として、被災地の子供たちや地域の方々と運動会を開催したり、学生を対象に自分が経験してきたスポーツを基盤に「夢を現実に変えるには」「スポーツとは」といったテーマで講師の依頼などを受けております。
Q. 働く時間帯や曜日は決まっていますか?
自分自身で調整し、土日祝日を中心に行っています。ただし、学校関係の仕事の場合は、平日が中心となるため、有給休暇を取得するなどして対応をしています。
Q. パラレルワークをやってよかったこと、本業に生かせている点はありますか?
自分の経験を話すことにより、自分自身の棚卸が出来、見つめなおすことが出来ます。話の中から、何らかのヒントを得た方の目がキラキラしているのを見たとき、私の心も潤います。人に話すことにより、自分から与えるだけではなく、聞いている人からもエネルギーを貰えると感じています。
参加された方々がこの先、大きな壁にぶつかったとき、私の話したことが「ほんの少しでも何かの役に立てばいい!」と思っており、そのために全力で向き合っています。また、たくさんの人と関わりを持つことで、いろんな角度からモノを見て、考える「心」が養われるため、自分を成長させることができているのだと思います。
そしてこの成長は、もちろんアデコの仕事にも生きていると感じます。
Q. パラレルワークをやっていて、困っていることはありますか?
家族との時間が削られる点があげられます。しかし、イベントなどの依頼の場合は、場所が遠ければ家族を一緒に連れて行っていいかを確認し、旅行がてら同じ時間を過ごしたり、自分が働いている姿を見てもらったりと、デメリットをメリットに変える工夫をしています。
まとめ
全4回にわたって展開して来ました、兼業・副業に関するコラムはいかがだったでしょうか?厚生労働省により副業・兼業の促進のガイドラインが策定され、具体的な管理方法についても徐々に事例が出そろいつつあります。本コラムが、導入に向けて社内で検討する際の一助になれれば幸いです。
第1回:副業・兼業の基礎知識
Topics
「副業と兼業の違い」「海外と日本の比較」「企業側へのメリット・デメリット」「労働者側へのメリット・デメリット」
第2回:労働時間の通算方法
Topics
「労働者(雇用型)と個人事業主(業務委託型)の違い」
「労働時間が通算される場合とされない場合」「労働時間の通算方法」「管理モデル」
第3回:保険関係と機密保持・競業避止等
Topics
「各保険毎の加入のパターン」「労災保険」「雇用保険」「厚生年金保険・雇用保険」
「秘密保持義務、競業避止義務など」「制限が出来る場合の規程例」「導入フローの例」