約9割の企業が賃金引上げを実施!
社員のモチベーション管理のポイントとは?

人材確保のひとつの手段である給料・初任給の引き上げ。2023年(令和5年度)は実に約9割の企業が賃金引上げを実施していたことが厚生労働省の調査結果から明らかになりました。

人材確保は人事担当の至上命題です。特に昨今では優秀な人材を採用できず、打開策を模索している担当者も多いのではないでしょうか。

そんな中、各企業が賃上げを実施していますが、社員のモチベーションの変化や管理方法について把握できている担当者は実は多くありません。そこで本記事では、賃金引上げの現状と社員のモチベーション管理のポイントを紹介します。

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賃金引上げ実施企業は約9割

厚生労働省によると令和5年中に1人平均賃金を引き上げた、または引き上げると回答した企業は89.1%にも及んでおり、前年の85.7%を大きく上回っています。

産業別にみると、建設業の99.7%、続いて製造業の97.4%、さらに電気・ガス・水道業の92.9%が賃金引上げを実施した、または実施すると回答しています。
その他の業種については以下の通りです。

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出典:賃金引上げ等の実態に関する調査│厚生労働省

初任給引き上げは25年ぶりの6割越え

参労総合研究所(https://www.e-sanro.net/)によって1961(昭和36)年から毎年実施されている初任給調査によると、2023年に初任給を引き上げた企業は68.1%であり、1998年度以降で最高、25年ぶりの6割超えとなりました。

また、1993年度以来30年ぶりに、全学歴で前年度から2%超の増額となっているのも2023年初任給の特徴です。

学歴ごとの初任給額は以下の通りです。

  • 大学院卒:246,052円(前年増加率3.71%)
  • 大学卒:218,324円(前年増加率2.84%)
  • 高等学校卒:179,680円(前年増加率2.8%)

つい先日も、第一生命HDが初任給を32万円に引上げたことが話題となっており、今後も初任給の引上げは注目されていきそうです。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6488641

賃金・初任給の引上げ理由

2023年は賃金・初任給の引き上げ実施企業が多い年でした。その理由は物価の上昇など様々ありますが、引き上げ理由の大きな要因として「人手不足の解消」「優秀な若手人材の確保」が挙げられます。

特に人手不足が叫ばれている建設業や情報通信・情報サービス業、運輸業においては、賃金・初任給の引き上げが人材確保の打開策となるかもしれないと期待されています。

また、昨今では、若手社員のキャリア志向にも変化があり、初めから賃金が高くキャリアアップしやすい企業を選ぶ傾向があります。

これまでは、新卒は低い賃金水準で入社し、勤続年数が増えるにしたがって昇給していくという考え方がメインでした。しかし、優秀でキャリアアップを望む若手社員ほど、いわゆる年功序列の企業を敬遠し、その結果収入の高い外資系に人材が流れはじめています。

上記より、賃金・初任給の引き上げは、優秀な若手社員の確保にポジティブな効果があると考える企業が増えています。

賃金引上げをモチベーション向上に繋げるポイント

賃金引上げは社員のモチベーション向上に貢献します。しかし重要なのはモチベーションを保ち続け、社員の優秀な人材の流出を防ぐことです。

では、賃金を引上げ社員のモチベーションを高く保ち続けるにはどうすればよいのでしょうか。

ポイントは、

1.賃金に慣れや不満を持たせない
2.賃金以外のモチベーションも付与する

この2点です。以下、詳しく解説します。

Point 1賃金に慣れや不満を持たせない

一般的に人は、賃金が上がったときに喜び「頑張ろう!」とモチベーションも向上します。しかし、長い期間賃金が変わらないとその待遇に対して慣れたり、不満を持ち始めたりします。

さらに、少しでも自分の期待に対してネガティブに裏切られる、つまり昇給で思ったよりも賃金が上がらない場合や、他の社員の賃金が自分の想定よりも引き上げられた場合には、不安や不満を抱くようになります。
その結果、集中力、記憶力、行動力がマイナスとなる可能性が高く、パフォーマンスが低下していくと考えられます。

そのため賃金引上げを実施する際は、社員に対して賃金に対する慣れや不満を抱かせないような配慮が必要です。

具体的には

  • 定期的な昇給
  • 明確な評価制度

これらを確立することで、賃金引上げによるモチベーション維持がしやすくなります。

Point 2賃金以外のモチベーションも付与する

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社員のモチベーションを高く保ち続けるには、報酬以外のモチベーション付与も必要です。

例えば、あるプロジェクトに以下の2名がいる場合、貢献意欲や成長意欲が保たれ続けるのは、どちらでしょうか。
Aさん:報酬のみがモチベーション
Bさん:報酬+業務過程のコミュニケーションや自身の成長もモチベーション

Bさんには結果だけでなくプロセスにおけるモチベーションも付与されています。Aさんよりも会社に対する貢献度や成長意欲が高くなることは想像に容易いでしょう。

Bさんのように報酬の他に貢献意欲、向上心、快感情など、結果だけでなくプロセスにもモチベーションを付与するには、以下のポイントが重要です。

  • 柔軟な働き方を提供する
  • コミュニケーションが取りやすい環境を構築する
  • 期待や役割を明確にしつつ社員にある程度の裁量を与える
  • キャリアパスを明確にする
  • MVPや社長賞などの非金銭的な報酬を用意する
  • 「社内起業」などの挑戦を後押しする制度を設ける

など、上記を実現できれば賃金以外に社員が「成長したい」「会社に認められたい」といったモチベーションを得やすくなるでしょう。賃金引上げの効果と相まって優秀な人材の離職を防げるはずです。

なお、入社年数によって社員の価値観やキャリアは異なります。社員一人ひとりに応じた 対応を心がけつつ、有効な対策を講じることも押さえておきましょう。

賃金引上げ+複数のモチベーション付与が人材流出阻止のカギ

リモートワークが当たり前になった昨今では、社員の帰属意識が薄れやすくなっています。また、仕事を「家族や友人関係・趣味など、私生活を充実させる一つの要素として捉える」ワークインライフの考え方が広まったことで「働く=人生の充実や満足感を得るための手段」という価値観も生まれつつあります。

そんな中、優秀な人材を確保し成長し続ける企業となるためには、賃金引上げが有効な手段となり得ます。
同時に「昇給、評価制度の確立」や「賃金以外のモチベーション付与」を実施できれば、社員のモチベーションが高く維持され、人材流出を防げるうえに企業の競争力も向上するでしょう。

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