DX化とは?
IT化との違いや注目の背景、メリット、課題を解説

国内全体でDX化を推進する流れがあり、早急な対応が求められています。日本では、DX化が進まないと最大年間12兆円の損失になる試算もあり、国全体で対策を促している状況です。

しかし、DX化の具体的な意味がわからず、何からはじめて良いかわからない方もいるでしょう。

本記事では、DX化の定義を解説したうえで、現在注目されている背景や推進のメリット、課題を詳しく解説します。さらに、DX化を推進するためのステップも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

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DX化とは

DXは、スウェーデンのエリック・ストルターマン教授が呼びはじめたとされている、デジタル化により社会や生活の形やスタイルをあらゆる面で良い方向に変化させることを示す言葉です。

そしてDX化とは、経済産業省「デジタルガバナンス・コード実践の手引き」によると「デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って顧客目線で新たな価値を創出していくこと」と記されています。

つまり、デジタル技術を導入するだけではDX化とは言えません。顧客に選ばれる商品、サービスや企業になるための手段として技術を導入してはじめて、DX化を進められます。

参考・出典:経済産業省「デジタルガバナンス・コード実践の手引き(要約版)」

DX化とIT化、デジタル化の違い

DX化とIT化、デジタル化の言葉に明確な線引きはありません。

ただし、IT化、デジタル化は、業務の効率化を目的としています。

一方、DX化は変革が目的で、効率化以外にもビジネスモデルや業務プロセスの変革も広く含まれます。IT化はプロセスを変えずに効率化や生産性向上を図るため、DX化より意味が限定される点が違いです。

したがって、DX化の手段のひとつがIT化とも言えます。

DX化が注目されている背景

DX化が注目されている背景は、以下です。

  • 2025年の崖の課題
  • 国による積極的な支援

DX化は一企業だけでなく、日本全体の課題として認識され、対策が取られています。

2025年の崖の課題

経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」では、2025年以降DX化が実現できないと、最大年間12兆円の損失になると述べています。理由は以下です。

  • ビジネスモデルを柔軟かつ迅速に変更できずデジタル競争の敗者になるから
  • システム維持管理費用が高額化するから
  • 保守運用の担い手不足でトラブルやデータ損失のリスクが高まるから

既存システムの問題を解決しなければ、これらの問題は解決できません。経済産業省はこの問題を「2025年の崖」と呼び、2025年までにシステムを集中的に刷新するよう警告しています。

参考・出典:経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」

国による積極的な支援

2025年の崖対策として、現在国による積極的な支援が行われています。代表的な支援策は以下です。

  • DX認定制度
  • IT導入補助金

DX認定制度では、認定審査に合格した企業に対し、ロゴマークの使用を許可しています。また、設備投資にかかる費用の融資(金利の優遇や保証枠の拡大)、助成金の支給などを行っています。

さらに、DX化に向けたITツールの導入を支援する制度がIT導入補助金です。以下のツールを導入する費用の一部を補助してもらえます。

  • 自社の課題に合ったITツール
  • インボイス制度に対応した会計ソフト、決済ソフト、PC、ハードウェアなど
  • インボイス制度に対応した受発注システム
  • サイバーインシデントに対するリスク低減策
  • 複数社が連携するためのITツール

参考・出典:経済産業省「DX認定制度(情報処理の促進に関する法律第三十一条に基づく認定制度)」
参考・出典:IT導入補助金2024「IT導入補助金」

DX化のメリット

DX化には以下のメリットがあります。

  • 生産性が向上する
  • 競争力が向上する
  • 働き方改革に役立つ

生産性が向上する

DX化によりITツールを導入すると業務が効率化され、生産性の向上につながります。

DX化の恩恵を受けるのはITツールを導入した業務にとどまりません。浮いた人員を別の業務に再配置すると、ほかのプロジェクトの生産性の向上にも寄与します。

競争力が向上する

DX化を進めると、さまざまなデータが容易に取得できます。

こうした結果、顧客のニーズを拾い上げやすくなり、新たなサービスや製品を開発する機会につながるでしょう。

また、社内業務でDX化を進めると、個別最適化された人材育成や、適性に合わせた配置も検討できます。さらに、新たなビジネスモデルの開発にもつながります。

働き方改革に役立つ

生産年齢人口は2050年には2021年と比較して29.2%減少すると予測されており、労働力を活用するために多様な働き方を選択できる環境作りが急務です。

DX化は、働き方改革の手段となり、リモートワークの推進や、業務時間の削減による残業時間の減少に役立ちます。

また、ITを活用するとヒューマンエラーの防止にもつながり、結果として業務が減らせるでしょう。

参考・出典:総務省「令和4年版 生産年齢人口の減少」

DX化の課題

企業が生き残るためDX化の推進は急務ですが、主に以下の課題が存在します。

  • DX人材が不足している
  • 既存システムを変更できない
  • 資金が不足している

DX人材が不足している

DX化を進めるにあたって、デジタル人材を確保したり、育成したりする環境づくりが求められますが、体制が整っていない場合があります。

経済産業省によると、国内の76%の企業がDX人材不足を感じています。さらに、社内の学び直しを実施している企業はわずか7.9%しかありません。

人材を確保できても、DX人材向けの評価制度が整備できていない点も課題です。

参考・出典:経済産業省「デジタル人材育成プラットフォームの取組状況について」

既存システムを変更できない

日本企業にはレガシーシステムが多く残っており、諸外国に遅れを取っています。老朽化したり複雑化したりしたシステムの問題は以下です。

  • ドキュメントが整備されていないため、全体を把握するのに時間を要する
  • システムの統合やデータ連携が困難である
  • 性能に限界がある
  • システムが肥大化しており、変更の影響が多岐に渡るため試験が難しい

自社システムの中身がブラックボックス化しているうえに、システム全体が複雑化しており、修正が難しい状況に陥っています。改修コストも高額になり、技術者の確保も難しいためプロジェクトが頓挫してしまい、現状ではレガシーシステムから抜け出せていません。

資金が不足している

ハードウェア、ソフトウェアの導入や開発には費用が必要です。潤沢な資金がない企業では、費用を捻出できません。

前述したレガシーシステムを抱えている企業はシステムの維持費用も高額になる傾向があり、新規システムの開発予算を確保できない点も課題です。

DX化が目的になっている

DX化が目的になっており、活用方法を見出せていない企業もあります。

DX化を進めるには、まず社内の課題を明確にしなければなりません。課題が見つからないままITツールの導入だけを進めても何をすべきかわからなくなり、業務の改革には結びつきません。

DXを進める場合には、まず社内の課題を発見し、改善できる体制を取り入れる必要があるでしょう。

DX化の推進方法

DX化を進めるには、正しいステップを踏むことが大切です。急いでシステムを導入しても迷走して、プロジェクトが頓挫するかもしれません。

DX化を推進するためのステップは以下です。

  • 現状の可視化と目標設定
  • 予算と人材の確保
  • 業務改善
  • データ活用の推進

現状の可視化と目標設定

まず自社のビジネスの全体像や現場の状況を可視化しましょう。そのうえで、課題と目標の決定が重要です。

一部分に着目してDX化を進めると、長期的に活用できないものになったり、方向性が途中で変わってしまったりします。デジタル技術を導入した後にどういった価値を提供するのかをあらかじめ明確にしましょう。

予算と人材の確保

DX化を推進する体制を確保するために、予算と人材を確保します。

ビジネススタイル全体を改革する場合、中長期的な計画を立て、予算を組むことが必要です。

DX人材の不足を解消するだけでなく、スキル評価する仕組みや必要な人材の要件を定義していくと、人材確保がスムーズに進むでしょう。もし社内でデジタル人材が賄えなかったり、新規人材の採用が難しかったりする場合は、アウトソーシングも検討しましょう。

数あるアウトソーシングの中でも、アデコBPO・アウトソーシングサービスなら、これまでに累計12,000件以上の業務を受託しており、多くの実績を持ちます。

アウトソーシング・BPO

アデコBPO・アウトソーシングサービスは、25年の歴史の中でさまざまな業種・業界に対応しており、企業の業務効率アップやコストの最適化をサポートしています。アウトソーシングサービスを検討する場合は、ぜひ一度チェックしてみてください。

業務改善

予算と人材を確保できたら、デジタルツールを活用しながら業務効率化を進めます。重要なのは、長期的にプロセスを最適化する姿勢です。

部署ごとの小さな改善ではなく、全社的な最適化を目指していくと良いでしょう。

データ活用の推進

システムの導入が完了したら、データ活用ができているか確認し、データ収集の基盤を構築します。蓄積したリアルのデータをいつでも取り出したり加工できたりするよう整えましょう。

たとえば、売上管理に活用する場合は、全体の売上を見られるだけでは不十分です。顧客の行動パターンや、個別の商品の売上動向などのデータ活用がいつでもできる状態が大切です。

まとめ

DX化とは、データやデジタル技術を使って顧客目線で新たな価値を創出していくことをさします。効率化にとどまらず、変革をもたらして価値創造する仕組みを整える姿勢が大切です。

DX化は国内全体の課題で、早急に進めていく必要があります。DX化にはさまざまなメリットがありますが、課題も多いため、状況をよく理解したうえで適切なステップを踏みましょう。

自社だけでDX化を進められない場合は、デジタルBPOやアウトソーシングを活用するのもおすすめです。たとえば、アデコの「BPO・アウトソーシングサービス」では、業務代行にとどまらず、DX化による課題解決や新しいアプローチまで提案しています。

DX化を進めるにあたり、課題を感じている場合は、ぜひご相談ください。

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