派遣社員を受け入れる際、事前に職場見学を行うことが通例となっています。必須ではありませんが、事前に互いの理解を深める機会であり、派遣社員と派遣先企業、双方にとってとてもメリットが大きいものです。一方、職場見学は面接と異なり、注意すべき点があります。今回は職場見学の概要、基本的な流れを解説します。
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そもそも、職場見学とは?
職場見学とは、派遣社員が就業を検討している派遣先企業に訪問し、業務内容や職場の雰囲気などを事前に確認することです。業務内容や職場環境について認識の違いを防ぐことが主な狙いとなります。派遣先企業にとっても、就業する可能性のある方と直接話ができる貴重な機会となり、双方にメリットのある行為といえるでしょう。
職場見学と面接の違い
労働者派遣法では、派遣先企業が派遣社員を選別することを禁じています。誰を派遣するかを決めるのは、派遣元企業です。そのため、事前の面接は禁止行為に当たるため、注意が必要です。職場見学は面接とは異なり、職場見学の実施は派遣社員の希望によるもので、任意であり強制ではありません。
職場見学を行うメリット
職場見学は、派遣元企業の担当者、派遣社員、派遣先企業の担当者の三者で進められ、所要時間は15~30分程度。短い時間ではあるものの、派遣社員にとって、担当する業務内容の理解を深めると共に、職場の雰囲気、さらには通勤経路などを確認するよい機会となります。派遣先企業にとっても、派遣社員とコミュニケーションを取りながら、人柄や希望などを知ることができます。結果として、ミスマッチを未然に防ぐことにつながります。
職場見学の基本的な流れ
続いて、職場見学の実際の流れを紹介します。派遣社員にとっては初めての訪問で、少なからず緊張しています。お互いにとって有意義な時間とするためにも、事前に流れを派遣元企業の担当者と確認し、スムーズに進められるようにしましょう。職場見学は概ね以下の6つのSTEPを踏みます。
ステップ 1派遣先企業と派遣元企業の担当者による事前打ち合わせ
職場見学は、原則として派遣社員の希望によって行われます。派遣社員が職場見学を希望したら、まずは派遣元企業と派遣先企業の担当者同士で、職場見学の事前打ち合わせを行います。
打ち合わせでは、待ち合わせ時間と場所、連絡先の共有・確認といった基本的な部分や想定している見学時間、職場見学に同席するメンバー、当日の流れ、注意事項など職場見学を円滑に進めるうえで重要なポイントを確認します。
ステップ 2派遣先企業からの業務内容の説明
求人案内などで、ある程度の内容は提示されていることがほとんどですが、改めて詳細を伝えます。この時、1日の流れや残業の有無をはじめ、配属先の男女比、年齢層、雰囲気などを具体的に紹介し、働くイメージを持ってもらうようにしましょう。不定休など独自の制度や慣習があれば、伝えるとよいでしょう。
【業務内容の説明に関するまとめ】
- 勤務1日の流れ
- 残業の有無
- 配属先について(男女比・年齢層・雰囲気など)
- その他特記事項(自社独自の慣習や制度など)
ステップ 3派遣社員の自己紹介
今までの職歴や派遣歴などを紹介してもらいます。あらかじめスキルシートなどを用意してもらっているケースが多いと思いますが、詳しく聞いて、業務にきちんと対応してもらえるか、確認するのが有効です。ただし、担当業務以外のことやプライベートに関する質問はNGです。注意しましょう(NG行為は後述します)。
ステップ 4職場見学
実際に働く場所となる配属部署を訪問します。既に働いている派遣社員がいたら、実際の職務中の様子を見てもらうとよいかもしれません。タイミングが合い、その方とコミュニケーションを取ってもらえれば、より「リアルな情報」の提供もできます。
ステップ 5質疑応答
派遣社員からの質問を受け付けます。答えられる範囲で、丁寧に答えましょう。派遣社員は緊張していて、これといった質問が出てこないことも考えられます。その時は、緊張をほぐす意味でも、NG行為に注意しながら、見学後の感想を聞くなどします。
【派遣社員に対して避けるべき質問例まとめ】
- 住まいの場所に関すること
- 結婚の有無やご家族などプライベートに関すること
- 学歴や健康状態、長所と短所やスキルの確認など面接と受け取られる内容
ステップ 6職場見学終了
今回の派遣のマッチングが適切だったか、派遣社員からヒアリングするなどして、派遣元企業が最終的に判断します。スキル不足、職場環境とのミスマッチ、派遣社員が勤務を希望しない場合などは、派遣就業に至らないこともあります。
派遣社員の面接は禁止 ―押さえておきたい労働者派遣法に基づくNG行為
既にお伝えしたように、派遣先企業が派遣社員を選別すること(特定行為)は、派遣労働法で禁止されています。ここでは、特定行為など労働者派遣法のポイントを紹介します。
- 1.派遣社員の面接が法律で禁止されている理由
派遣先企業と派遣元企業が結ぶ派遣契約は「労務の提供を目的とする契約」です。「特定の労働者を派遣する契約」ではないことが大きなポイントです。派遣社員と雇用関係のあるのは派遣元企業のため、派遣元企業が能力を評価して、誰を派遣するかを決定します。ただし、紹介予定派遣の場合は、直接雇用が前提のため面接が可能です。
- 2.特定行為とみなされる行動例
次に挙げる行為は基本的にNGとなります。「労働者派遣に先立っての面接」「履歴書の提出」「派遣する労働者を若年者に限定」「派遣する労働者の性別を限定」「職場見学の際に、(担当する業務を委託している場合)委託元担当者の同席」など。 - 3.特定行為とみなされる質問
職場見学などで、「個人情報に関すること」や「職務遂行能力に関係のないこと」を質問するのは避けましょう。氏名、住所、家族構成、未婚・既婚の別、学歴をはじめ、将来の転職希望、以前の勤務先の名称、退職理由などを聞くこともNGです。また、「あなたに決めました」など派遣社員を特定する発言も禁止されています。 - 4.特定行為は行政指導の対象
派遣労働者を特定する行為をした場合には、派遣法違反として派遣先企業が行政指導の対象になるケースがあります。派遣社員との雇用関係が曖昧になると、派遣先企業と派遣社員との間で労働問題が生じる可能性があるためです。また、職業安定法で禁止されている労働者供給事業に抵触する恐れもあります。
職場見学の「あるある」なお悩み
1. 現場担当者まで職場見学のルールが浸透されず、NG質問をしてしまうケースが散見される
【よくある悩み】
特定行為と見なされる質問の禁止など、実際に派遣社員を受け入れる部門の現場担当者まで職場見学のルールが浸透しておらず、ヒアリング時に注意をお願いしていてもNGとなる質問をしてしまう場合がある。
【解決策】
職場見学の実施が確定した時点で、誰が担当者として出席するのかを確認しておきましょう。多くの人材派遣会社では職場見学時の注意事項に関する資料を用意していますので、そちらを手配してもらうよう依頼をしてみてください。また、全ての出席者に資料を配布し、事前に目を通してもらい、ヒアリング時の質問に注意してもらうようにしましょう。当日の進行を派遣元企業の担当者に依頼をし、職場見学のルールに沿って進めてもらうとより安心できます。
2. 派遣社員の受け入れに想定以上の時間がかかってしまう。
【よくある悩み】
職場見学後のスキルなどに関するミスマッチや派遣社員からのお断りなどで、派遣社員の受け入れまでに時間が掛かってしまう。
【解決策】
派遣元企業の担当者と再度要件の見直しを行いましょう。派遣元からの市況感も参考に、必要なスキルなどの修正をしてみるとよいかもしれません。受け入れ部門の担当者にもヒアリングを行い、派遣元や人事、受け入れ部門で目線を合わせられるようになると、派遣元の選考の精度向上が期待できます。
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