フィードバックとは?
ビジネスでの意味や効果、具体的な手法を解説

ビジネスシーンで実施されるフィードバックとは、仕事に対する評価や指摘、改善点を伝えることです。

適切な方法で実施すると、評価に対する納得感の向上や従業員の成長、モチベーションアップなど、さまざまな効果が期待できます。

本記事では、フィードバックの定義や効果、効果的な実施のポイントを解説します。ぜひ参考にしてください。

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フィードバックとは?

フィードバックとは、特定の相手の行動に対して、評価したり指摘したりする行いです。

フィードバックはシステム工学の分野で使用されていた言葉で「出力目標の数値」と「出力結果の数値」を照らし合わせ、両者が一致するよう差を埋める取り組みをいいます。

具体的には、エアコンで室温を調節する場合、エアコンが検知している実際の室温と、目標の設定温度との差が大きい場合はコンプレッサーを急速に稼働させ、差が小さくなれば動きを緩めます。

こうした一連の動作を「フィードバック制御」と表現します。

ビジネスシーンでのフィードバックの意味

ビジネスの場で「フィードバック」の言葉が用いられる場合、実行された仕事に対する評価や指摘、改善点を伝える行為を意味します。

一般的に、人事評価の面談や人材育成、プロジェクトの振り返りの際などに上司から部下に対して行われます。

上司が部下の働きぶりに対して良い点を褒めたり、方向性が間違っている際は改善を指示したりして、より良い方向へ導くことが目的です。適切に実施されれば、部下の成長を促進させられる可能性があります。

人事評価でのフィードバックの効果

人事評価のフィードバックとは、上司が部下に対して評価の結果を伝え、今後のさらなる成長に向けて話し合う面談をいいます。

人事評価のフィードバックの目的は、評価の納得感を向上させ、部下の成長につなげることです。また、部下が抱える問題点や課題を明確にし、解決方法を一緒に考えるための大切な機会でもあります。

フィードバックと混同されやすい言葉の意味

フィードバックには、いくつか似た言葉が存在します。いずれも人材育成の場面で使用される場合が多い言葉ですが、それぞれ意味に違いがあります。

  • フィードフォワード
  • レビュー
  • チェックバック
  • コーチング

それぞれの言葉の意味とフィードバックとの違いを解説します。

フィードバックとフィードフォワードの違い

フィードバックは過去のできごとや行動に焦点をあて、良かった点や不足している点を振り返ります。

対してフィードフォワードは、将来や目標など、未来にフォーカスして「今後どう行動すべきか」「何ができるか」を対話します。

それぞれに適した場面や狙いがあるため、どちらが良いと比較できるものではありません。

フィードバックとレビューの違い

フィードバックは、過去の行動に対して評価や意見を伝えるとともに改善すべき点も伝え、行動の改善や相手の成長を促すために実施されます。

一方のレビューは「批評」や「評論」の意味があり、単に感想や意見を伝えるだけの行為をさします。つまり、フィードバックは「助言」の度合いが強く、レビューには助言の意味合いは含まれません。

フィードバックとチェックバックの違い

チェックバックは「振り返ってチェックする」意味合いで、クリエイターの制作物に対してディレクターなどが修正の指示を出す際に使用します。

フィードバックと意味は似ていますが、チェックバックは映像作品を製作するにあたって使用される言葉です。

フィードバックとコーチングの違い

フィードバックは、第三者的な視点から相手に対して意見や評価を述べ、改善点をアドバイスします。

一方のコーチングは、相手に対して何かを教えたりアドバイスしたりはせず、相手との対話を通して、相手の内面からさまざまな考え方や行動の選択肢を引き出します。

相手のなかにすでに存在する答えを見つけるサポートをし、自発的な行動を促す目的で実施されます。

フィードバックの2つの方向性

フィードバックには、以下の2つの方向性が存在します。

  • ポジティブフィードバック
  • ネガティブフィードバック

それぞれの詳細を解説します。

ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックとは、仕事中の言動などから相手の良い点をピックアップし、前向きな言葉で評価を伝えることです。

具体的には、感謝やねぎらいの言葉を伝えたり、工夫が見られた点や成長した点を具体的に褒めたりします。

相手のモチベーションを高めたい時や、仕事に対する自信を持ってもらいたい時に有効な方法です。

ネガティブフィードバック

ネガティブフィードバックとは、相手の問題点を強調して指摘し、改善に結びつける方法です。問題点を明確に伝えるため、改善がはかりやすい点がメリットです。

一方で、厳しい指摘になる場合が多いため、伝え方には工夫が必要です。厳しい指摘によって相手の意欲を奪うのではなく「自分を思って指摘してくれている」と感じてもらえるよう、日々の信頼関係の構築が求められます。

フィードバックの具体的な効果

フィードバックの実施には、さまざまな良い効果があります。具体的には、以下の4つです。

  • 目標達成しやすくなる
  • 信頼関係の構築
  • モチベーションの向上
  • 組織の活性化

それぞれの詳細を解説します。

目標達成しやすくなる

定期的なフィードバックにより、部下のパフォーマンス向上や目標達成が期待できます。

部下のなかには、自分では努力しているつもりでも、なかなか成果が出ない人がいるでしょう。そうした場合、目標達成に向けた行動量は十分でも、方向性が間違っているケースが多いです。

フィードバックを通じて行動を振り返ると部下に気づきを与えられ、早めに軌道修正できます。実施しない場合と比較すると、効率的に目標達成できるでしょう。

信頼関係の構築

質の高いフィードバックを継続的に実施できれば、上司と部下の間でコミュニケーションが活性化し、信頼関係の構築につながります。お互いに対する理解を深めると組織力が向上し、より目標達成しやすい組織が形成されるでしょう。

モチベーションの向上

フィードバックには、仕事に対する意欲を高める効果もあります。部下の目標や課題に対して適時適切なフィードバックを与えれば、部下は業績がアップし成功体験を積めるため、仕事への自信につながるでしょう。

また、きちんと時間を設けて感謝やねぎらいの気持ちを伝えたり、仕事に対する評価を伝えたりすると、部下は「上司は自分をちゃんと見てくれている」「大切にしてくれている」と感じ、モチベーションアップにつながります。

組織の活性化

フィードバックは、組織の活性化にも寄与します。

適切なフィードバックが行われている組織では、従業員が自らの役割を正確に認識し、目標に向かって主体的に行動できます。

上司が部下一人ひとりに対して適切なフィードバックを実施すると、組織全体の活性化が期待できるでしょう。

フィードバックの3つの手法

フィードバックの手法には、3つの型が存在します。それぞれ特徴が異なるため、目的に合った手法を選択する必要があります。

  • サンドイッチ型
  • SBI型
  • ペンドルトン型

それぞれの詳細を解説します。

サンドイッチ型

サンドイッチ型とは、まず部下を褒めることからスタートし、次に改善すべき点を指摘し、最後に再度、褒める順番でフィードバックする方法です。

ネガティブなフィードバックの前後にポジティブなフィードバックを行うと、部下の意欲低下を最小限に抑えられる点がメリットです。シンプルな構造のため、誰でも取り入れやすい手法でしょう。

SBI型

SBIとは「Situation(状況)」「Behavior(行動)」「Impact(影響)」の頭文字を取った言葉です。

状況を明確に把握し、観察された特定の言動を説明して、結果どういった影響を与えたのかを順番に説明する方法です。

SBI型のフィードバックにより、相手が内容を理解しやすくなるため、内省を促進させる効果があります。ポジティブフィードバック、ネガティブフィードバックいずれの場合も活用できる方法です。

ペンドルトン型

ペンドルトン型は、心理学者のペンドルトン氏によって開発された手法で、上司が部下に対して一方的に評価結果を伝えるのではなく、対話を重ねながら部下自身が改善点を考えるフィードバックの手法です。

「テーマの確認」「良かった点」「改善すべき点」「今後の行動計画」、「まとめ」の5つのステップで進行します。部下の主体性を引き出せる点が特徴です。

フィードバックを効果的に実施するためのポイント

フィードバックを効果的に実施するポイントは、以下の5つです。

  • 具体的にフィードバックする
  • 行動に対する評価を伝える
  • モチベーションを損なわないよう配慮する
  • 定期的に実施する
  • フィードバック実施者に対する研修を行う

それぞれの詳細を解説します。

具体的にフィードバックする

フィードバックの際、抽象的な内容で会話すると、部下は納得感を得られません。

「よく頑張った」などと抽象的に褒めるのではなく「顧客への提案資料の質が高まった結果、多くの成約につながった点が良かった」など、どういった行動が良かったのか、具体的且つ、事実に基づいて説明する必要があります。悪かった点を伝える際も、根拠を明確に伝えましょう。

さらに、今後の課題に対するアドバイスも具体的に伝えると、部下にとってフィードバックがより効果的になるでしょう。

行動に対する評価を伝える

フィードバックが失敗に終わるケースとして多いのは、部下の人格や性格に対して指摘してしまうことです。

たとえば「慎重な性格は営業に向かないから改善したほうがいい」と伝えると、部下は自分の生き方や人格を否定されたと感じてしまいます。
曖昧な意見や感情に基づくものは避け、客観的な情報に基づいて行いましょう。

フィードバックはあくまで部下の行動に対して行うものです。行動であれば意識して変えられるため、部下も前向きに取り組めるでしょう。

モチベーションを損なわないよう配慮する

部下に対して指摘する際は、部下のモチベーションを損なわないよう注意する必要があります。悪い点を一方的に伝えて意欲を低下させてしまう事態は避けなければなりません。

たとえば、ネガティブなフィードバックの際は静かな場所を用意し、1対1で落ち着いて話すなどの配慮が必要でしょう。部下が何か意見を述べる際は遮らず、受け止める姿勢も大切です。

改善点を指摘するだけでなく、相手の強みも認め、改善のための具体的なアドバイスを提供するようにしましょう。

定期的に実施する

フィードバックは一度実施したら終わりではなく、繰り返しにより効果があらわれます。

部下の仕事が問題なく進行していると思っていても、話してみると問題を抱えていたり、大きなビジネスチャンスが隠れていたりする場合があります。間隔を空け過ぎずに定期的に実施する姿勢が大切です。

また、時間が経ってからフィードバックすると「なぜその時に言ってくれなかったのだろう」「いまさら言われても困る」などとネガティブな感情を抱きやすくなるため、注意が必要です。

行動や成果から時間が経ちすぎると、フィードバックの効果が薄れるため、部下から仕事の報告を受けた時や、仕事中に気がついたタイミングでこまめに行いましょう。

フィードバック実施者に対する研修を行う

フィードバックの実施によりさまざまな効果が期待できますが、実施方法によっては部下のモチベーションを下げてしまったり、組織の生産性が低下してしまったりする恐れがあります。

フィードバックを定着させ、効果を最大化するには、フィードバック実施者に対する研修の実施が有効です。

Adeccoの「研修・キャリア支援」サービスを利用すれば、組織の現状や課題に合わせた効果的な研修を実施できます。

Adecco Academy

Adecco Academyでは、VUCAと呼ばれる現代に必要なスキルとして「内発的動機」「課題解決力2.0」「Digitalリテラシー」の3つのスキルを定義し、リスキリングを促進する教育プログラムを用意しています。

まとめ

効果的にフィードバックを実施すると、職場のコミュニケーションが活性化し、従業員のエンゲージメントが向上するなど、さまざまな効果があります。フィードバックによって組織全体が活性化すれば、より高い目標にチャレンジできるでしょう。

組織の活性化には、働きやすい組織文化が欠かせませんが、既存の文化を変えるためには多大な労力を要します。組織文化を改善し、生産性向上を実現するには、外部セミナーやサービスの活用がおすすめです。

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