シニア人材の活用メリットと注意点を紹介【企業向け】

少子高齢化や人手不足が問題になる昨今、企業におけるシニア人材の活用が注目を集めています。シニア層は長年の経験や専門知識を持ち、即戦力としてだけでなく、若手社員の育成や組織の安定にも大きく貢献できる存在です。また働く意欲のあるシニア層が多いことも活用の後押しになっているといえるでしょう。一方でシニア人材の活用にあたっては、注意点も多く存在します。このページでは、企業がシニア人材を活用するメリットと注意点について解説します。

人事に関するお役立ち情報をお送りいたします。
メールマガジン登録

シニア人材とは?

シニア人材とは一般的に定年に近い年齢、もしくは定年を迎えた後も働く意欲や能力を持つ高年齢者のことを指します。年齢に関して明確な基準はなく、55歳以上を指す場合や、60歳以上を対象とする場合もあります。

シニア人材の活用が注目されている背景

シニア人材の活用が注目を集める背景には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、その背景について詳しく見ていきます。

  • 1
    「65歳以上」の労働力人口比率の高まり
  • 2
    豊富な経験や知識の活用と若手育成への貢献
  • 3
    就業意欲の高さ

「65歳以上」の労働力人口比率の高まり

令和6年の労働力人口は、6,957万人であった。労働力人口のうち65〜69歳の者は400万人、70歳以上の者は546万人であり、労働力人口総数に占める65歳以上の者の割合は13.6%と長期的には上昇傾向にある

上記のように内閣府「令和7年版 高齢社会白書」によると、65歳以上の労働力人口は上昇傾向にあると指摘されています。

今後も高齢化が進む中で、65歳以上の労働力人口の存在感は増していくでしょう。結果としてシニア人材活用の重要性も増していくことが予想されます。

豊富な経験や知識の活用と若手育成への貢献

シニア人材は、長年の業務経験や専門的な知識、人脈を持っていることが多く、これらは若手社員にはない貴重な資産です。組織内において、シニア人材が相談役や指導役となることで、知識や技能の継承が進み、若手の成長や組織全体の競争力向上につながると考えられます。

また、落ち着いた雰囲気が安心感をもたらし、若手が安心して働ける環境づくりにつながっているケースも少なくありません。

就業意欲の高さ

何歳ころまで収入を伴う仕事をしたいかをみると、全体で「65歳くらいまで」(23.7%)が最も高い。「働けるうちはいつまでも」は22.4%、「仕事をしたいとは思わない」は 11.3%となっている。

60 歳以上(令和6年 10 月1日現在)の男女を対象にした内閣府「令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)の結果」によると、「何歳ころまで収入を伴う仕事をしたいか」という質問に対して、「仕事をしたいとは思わない」と回答した方は11.3%にとどまっています。このことから年齢を重ねたとしても多くの方には就業意欲があることが伺えます。

このように、年齢を重ねても多くの方が就業意欲を持っているということは、シニア人材の活用が進む理由でもあるでしょう。

企業がシニア人材を活用するメリット

企業がシニア人材を活用することで、どのようなメリットを享受できるのでしょうか。考えられる活用メリットには、下記のようなものが挙げられます。

  • 1
    組織の多様性と競争力のアップ
  • 2
    若手社員の育成と知識継承
  • 3
    企業イメージの向上

組織の多様性と競争力のアップ

シニア人材の活用は、職場における世代間の多様性を高め、異なる年代の従業員が協働することで多角的な視点や考え方が生まれやすくなります。組織全体の創造性や柔軟性が向上し、イノベーションや質の高い問題解決が可能になるでしょう。

高い就労意欲と安定した職務姿勢を持つシニア人材は、組織の生産性維持・向上に貢献することが期待できます。

若手社員の育成と知識継承

シニア人材は、長年培ってきた実務経験や専門的なスキル、業界の知見を持っています。彼らが若手社員のメンターとなることで、技術やノウハウの伝承がスムーズに進み、組織全体のスキル・知識の底上げが実現しやすくなります。

特に、人間関係の構築や業界特有のノウハウなど、マニュアル化が難しい知識の継承は大きなメリットです。

企業イメージの向上

企業がシニア層を積極的に採用・活用することは、CSR(企業の社会的責任)を意識した取り組みのひとつといえるでしょう。就業機会を提供することで地域社会への貢献が評価され、消費者からの信頼獲得やイメージアップが期待できます。

また、シニア層が活躍する企業は、現役世代や求職者にとっても「将来的に安心して働ける企業」という未来を描くことができ、従業員のエンゲージメントやモチベーションの向上にもつながると考えられます。

企業がシニア人材を活用する際の注意点

企業がシニア人材を活用する際には、多くのメリットがある一方で、注意点もあります。具体的にどのような注意点があるのか、見ていきましょう。

  • 1
    社内制度の整備と調整
  • 2
    コミュニケーションの齟齬や人間関係のギャップ
  • 3
    デジタルツールやITリテラシーに対するサポート
  • 4
    キャリアの自律を促す意識付け
  • 5
    体力・健康面でのリスクへの配慮

社内制度の整備と調整

シニア人材の活用には、年齢や役割に応じた賃金体系や評価制度の見直しが必要になる場合もあります。定年後の再雇用者にも役職就任を可能とする等級体系の導入や、現役世代と同等の役割を担う場合に賃金水準を維持するなど、公平性と納得感のある制度設計が求められます。

また、若手社員との給与バランスや、就業規則の改定にも配慮が必要です。

コミュニケーションの齟齬や人間関係のギャップ

世代間で価値観や働き方に対する意識が異なるため、コミュニケーションの齟齬や人間関係の摩擦が生じやすい点には注意が必要です。

シニア人材と若手社員が協働しやすい環境づくりや、相互理解を促進する仕組みづくりが重要でしょう。

デジタルツールやITリテラシーに対するサポート

中にはデジタルツールの活用に苦手意識を持つ方もいるでしょう。業務に必要な新しいスキルを身に付けられる研修やサポート体制の整備も欠かせません。

新しいシステムやツールの導入時には、丁寧な説明やフォローアップを行うことで、業務効率の低下やストレスを防ぐことができます。

キャリアの自律を促す意識付け

シニア人材がみずからの強みや経験を生かして主体的にキャリアを築けるよう、キャリアパスの設計や自己啓発の機会提供が求められます。

役割や責任の明確化と、成果に応じた評価制度の導入などを通じて、長期的なモチベーション維持を支援することが重要です。

体力・健康面でのリスクへの配慮

人は年齢を重ねることで、体力や健康状態に個人差が生じやすくなります。シニア人材には、定期的な健康診断のほかに、短時間勤務・在宅勤務など柔軟な働き方を導入し、無理のない業務配分を心掛けることがリスク軽減につながります。

シニア人材の活用をお考えの企業は、Adeccoにお任せください

人手不足といった課題に対し、シニア人材の豊かな経験や専門性を最大限に生かすことで、企業の生産性向上と持続的な成長の実現が期待できます。

しかし企業がシニア人材を受け入れる際には、賃金制度や業務内容の見直しのほか、働き方や職場環境の整備といった、さまざまな調整が必要となる点は理解しておくことが大切です。

Adeccoはシニア人材の活用を通じて貴社の発展を力強くサポートいたします。シニア人材の活用でお困りの際はお気軽にご相談ください。

Adeccoでは、人事関連のお役立ち情報を定期的に更新しております。
メールマガジンにご登録いただくと、労働法制や人事トレンドなどの最新お役立ち情報をチェックいただけます。
最新の人事お役立ち情報を受け取る(無料)

最新のセミナー情報、コラムなどを受け取りたい方は、下記からメールマガジンを登録してください。

ご案内

無料セミナーのご案内
アデコの人材サービスラインナップ
お役立ち情報 に戻る

人材に関するお悩みがございましたらお気軽にご連絡ください

メルマガ登録

選りすぐりの人事・労務トレンドや開催予定のセミナー情報をいち早くお届け!

  • 同業他社の方・フリーメール・キャリアメールでのメールマガジン登録は受け付けておりません。予めご了承くださいますようお願いいたします。

人材に関するお悩みがございましたらお気軽にご連絡ください