長年、勤務してくれている派遣社員は、企業にとって重要な戦力です。しかし、労働者派遣法の改正によって、同じ職場で3年を超える更新は原則不可に。企業も派遣社員も、ともに継続就業を希望している場合、「派遣先での直接雇用」もしくは「派遣会社での無期雇用」が必要となります。アデコでは派遣社員が契約期間を気にせずに働ける「無期雇用派遣」の制度を早期から整備してきました。なかでも、2018年6月に新設した無期雇用化へのアデコ独自の新基準「ハケン2.5」は、派遣社員に安定した労働環境の提供を可能にする制度です。
アデコでは「キャリア開発があたりまえの世の中をつくる」をビジョンとしており、期間制限に影響されることなく働くことができる無期雇用派遣を積極的に推進しています。
新たな派遣活用の一手となりうる、アデコの「ハケン2.5」を企業様にご提案しているキーアカウント事業本部の髙田 綾が紹介します。
労働者派遣法改正によって生じる企業の悩みとは?
2015年9月30日に改正された「労働者派遣法」では、派遣社員の雇用安定化を目的に、有期派遣期間の見直しが行われました。3年以上同じ職場で働くためには、「派遣先での直接雇用」か「派遣会社での無期雇用」に転換することが必要になり、2018年9月30日を境に同一職場での勤務が3年を超える派遣社員は、契約期間を更新することができなくなりました。
派遣先の企業によっては、「長く働いてもらいたいが人員計画の兼ね合いで直接雇用はできない」「契約中の派遣会社が無期化に積極的ではないため入れ替えとなってしまう」など、期間制限によって起こる課題も考えられます。
もちろん更新をせずに、新たに有期派遣社員を受け入れることも方法のひとつですが、「業務の引き継ぎの労力」「継続活用だからこそ叶えられていた円滑なコミュニケーション」など、入れ替えに際しては少なからず手間やコストが発生するのが実情です。
新基準「ハケン2.5」が生み出した選択肢とは
有期派遣社員の雇用安定化をはかるための労働者派遣法改正ですが、2018年10月以降、就業3年目を迎える有期派遣社員の契約の見直しは順次発生し、有期派遣社員を抱える企業は、その都度、対応を迫られることになります。
アデコでは、法改正にともなう雇用形態や契約期間に関する問題を解決する一手として、無期雇用化の新基準「ハケン2.5」を新設。
企業や派遣社員が希望しているのに継続就業が難しいといった、「継続して働きたくても働けない“悩み”」を解消する選択肢を生み出しました。
「ハケン2.5」は、アデコのみならず、どの派遣会社で就業されている方であっても現在の職場で2.5年以上継続して、派遣就業されている方をアデコの無期雇用派遣社員として採用する新基準です。
派遣社員ご本人から応募いただき、簡単な選考を経てアデコの無期雇用派遣社員となります。
アデコが2.5年を条件にしている理由としては、「派遣社員のスキルやノウハウの蓄積が見込める年月が2.5年」と考えているからです。また、2.5年は労働者派遣法が定める3年目の抵触日から逆算すると、派遣社員が不安を抱えはじめる時期。派遣先企業と直接雇用の交渉をするのか、はたして無期雇用に転換しても同じ職場で就労できるのか、悩んでしまったときに「ハケン2.5」で選択肢を増やすことができます。「ハケン2.5」のような基準は、派遣業界初の試みでもあることから、企業からは高い関心をいただいています。
アデコは全体観を把握し、人材派遣サービスをコンサルティング
2018年10月から労働者派遣法の抵触日を迎える派遣社員が増えていくため、就業3年目を迎える派遣社員の対応のご相談だけでなく、派遣社員の総合的な人事計画についてもお話しする機会が増えてきました。
アデコでは、全体的な業務や人材要件を整理したうえで、「有期/無期雇用人材」を使い分けるベストプランを提案します。
例えば、習熟度を必要としない単純作業やルーティンワークは、有期派遣社員を3年ごとに入れ替えるのも、組織運営の戦略として有効ですし、無期雇用派遣よりも、有期雇用派遣の方がコストも抑えられます。ただし、仕事を教える労力など間接的なコストの必要性も考慮しなければなりません。
かたや会社の規則や作法、業務内容などによって、戦力化に半年以上かかるようなポジションなどは、無期雇用派遣が適しています。
戦力になっている派遣社員が契約期間の問題により、職場を離れることは企業にとっても損失です。それを避けるためにも、新基準「ハケン2.5」で無期雇用派遣のサービスを充実させ、新たな派遣労働市場の創造にもつなげたいと考えています。