2016年10月1日からパートタイマーにも社会保険を適用すると同時に従来の適用基準も一部変更になるようですが、具体的になにが変更になるのでしょうか。
「4分の3基準」は、これまで通常の労働者の所定労働時間、日数に対して「おおむね」4分の3以上としてきた適用基準を明確に4分の3以上と規定します。また、1日又は1週の所定労働時間及び1カ月の所定労働日数で判断してきましたが、1週の所定労働時間及び1カ月の所定労働日数に変更され、1日の所定労働時間は判断基準から除かれます。「おおむね」がなくなることにより、これまで就労形態を総合的に勘案して適用の可否を判断してきましたが、今後は就業規則、個別の雇用契約で定められた所定労働時間、所定労働日数で判断することになります。1日の所定労働時間が判断基準からなくなることにより、これまで適用の可否に悩んできた以下の勤務形態は、4分の3未満と判断されます。
1日の所定労働時間 | 7時間/通常の労働者8時間・・・・3/4以上 |
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1週の所定労働時間 | 28時間/通常の労働者40時間・・・3/4未満 |
1月の所定労働日数 | 16日/通常の労働者20日・・・・・3/4以上 |
ただし、このような労働時間で10月1日以前に被保険者になっている場合、新基準を理由に資格喪失させるのではなく、そのまま保険に加入し続けることになります。
また、「4分の3基準」で被保険者にならない場合は、「パートタイマーの5要件」で適用の可否を判断します。
- ①週所定労働時間20時間以上
- ②雇用継続の見込1年以上
- ③月額賃金8.8万円以上
- ④学生ではないこと
- ⑤被保険者数501人以上の企業であること
5要件はすべてを満たした場合に限り社会保険を適用することになります。
POINT週20時間以上を判断する際の注意点
週20時間以上の判断は、就業規則、雇用契約書等で行うことを原則としていますが、実際の労働時間で判断することもあります。通達(H28年保保発0513第2号)で次のように定められています。「事業主等に対する事情の聴取やタイムカード等の書類の確認を行った結果、残業等を除いた基本となる実際の労働時間が直近2月において週20時間以上である場合で、今後も同様の状態が続くことが見込まれるときは、当該所定労働時間は週20時間以上であることとして取り扱うこととする。」
Profile
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)
立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。