社会保険の適用拡大に伴って、健康保険の被扶養者になる条件である年収130万円未満も106万円未満に変更されるのでしょうか。
130万円に変更はありません。社会保険の適用条件と被扶養者の年収条件は別制度であり、社会保険が適用される方であれば、年収にかかわらず被扶養者になることはできません。パートタイマーへの適用拡大により、同じ収入でも社会保険を適用する場合と被扶養者になる場合があります。フルタイム社員の所定労働時間が週40時間の会社に勤務する二人のパートタイマーの例でみてみましょう。
週所定労働時間 | 月所定労働日数 | 時給 | 月の給与 | |
---|---|---|---|---|
Aさん | 16時間 | 8日 | 1,500円 | 96,000円(年収1,152,000円) |
Bさん | 24時間 | 12日 | 1,000円 | 96,000円 |
Aさんは、所定労働時間が週20時間未満なので社会保険の適用が受けられず、年収130万円未満なので健康保険の被扶養者になることができます。一方、Bさんは週の所定労働時間が20時間以上かつ月額8.8万円以上なので、他の3つの要件を満たしていれば社会保険の適用を受けることになります。
- ※適用条件はQ4を参照してください。
POINT年収106万円はあくまでも社会保険適用の目安
今回の社会保険適用拡大に関して「年収106万円の壁」と言われることがありますが、適用するか否かの判断は月額8.8万円で行います。年収106万円は制度をわかりやすく説明するための目安に過ぎません。また、8.8万円にはボーナスや皆勤手当、通勤手当等算入しないものもあるので、年収が106万円を超えていても社会保険が適用されないこともあります。
Profile
答える人
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)
立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。