Q6 派遣先における個人単位の期間制限の通算

有期雇用の派遣社員は、同一の組織単位での受け入れが3年に制限されていますが、途中で担当業務が変更したり、派遣元が変更になったりした場合でも受け入れ期間は通算されるのでしょうか。

有期雇用の派遣社員が派遣先の同一の組織単位で就業しているのであれば通算されます。

同一の組織単位は、課、グループ等の業務としての類似性や関連性がある組織とされています。派遣先の人事課で採用業務に従事していた派遣社員が同一組織単位である人事課の福利厚生業務を担当することになっても受け入れ期間は通算します。

また、派遣元が途中で変わった場合でも通算します。例えば派遣社員Aさんが派遣元X社から派遣先Y社総務課に派遣されていたところ、Aさんが派遣元Z社に移籍して、間を空けずに派遣先Y社総務課に派遣される場合も同一の組織単位で派遣就業をしているので受け入期間は通算されます。

受け入れ期間を通算しない場合は、異なる組織単位で派遣を受け入れる場合と3カ月を超える期間、同一組織単位で受け入れなかった場合です。例えば経理課で受け入れていた派遣社員Bさんを異なる組織単位である総務課で受け入れることになった場合、受け入れ期間は通算しません。また、経理課での派遣契約が終了したCさんが、4カ月後に再び経理課に派遣されてきた場合も受け入れ期間は通算しません。

厚生労働省が公表している「改正労働者派遣法に関するQ&A第2集」では、通算されない例として次のようなケースも紹介されています。

  • Q13期間制限のない産休代替等の業務について、有期雇用の派遣労働者を3年間派遣し、当該派遣終了後、当該業務を行った同一の組織単位の他の業務へ有期雇用の派遣労働者として再度派遣することは可能か。
  • A13事業所単位及び個人単位の期間制限の対象外である労働者派遣の終了後、引き続き同一の派遣労働者を同一の組織単位の期間制限を受ける他の業務へ派遣することは可能であるが、特定目的行為とならないよう留意すること。

期間制限がある派遣と期間制限のない派遣は、同一組織単位で同じ派遣社員が勤務していても通算しません。

POINT派遣社員の受け入れ期間をやりくりするための異動は禁止

派遣先が受け入れ期間制限をやりくりするために派遣社員の「異動」を実施することは、派遣社員の特定目的行為に該当し、禁止されています。今回ご紹介した通算しない例は、派遣元の判断で派遣社員を選定することを前提にしています。

Profile

答える人
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。

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