改正派遣法の受け入れ期間制限(抵触日)は、「事業所単位」と「個人単位」の2種類ということでしたが、「組織単位」の抵触日という第3の抵触日もあるのでしょうか。
抵触日は、「事業所単位」と「個人単位」の2種類のみです。「組織単位」の抵触日とは「個人単位」の抵触日の別の呼び名です。「個人単位」の抵触日の正式な表記は次のようにとても長いため、「個人単位」、「組織単位」の2種類の“あだ名”が付けられています。
「当該派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所その他派遣就業の場所における組織単位の業務について派遣元事業主が期間制限に抵触することとなる最初の日」
なぜ2つの“あだ名”が生まれてしまったのか理由はわかりませんが、どちらが正解というものでもなく、どちらも使われています。「組織単位」と「個人単位」は同じものと認識してください。ただし、厚生労働省の労働者派遣事業業務取扱要領では、「個人単位の期間制限」という表記が27カ所に対して、「組織単位の期間制限」は1つとなっています。
POINT個人単位の抵触日における注意点
事業所単位の抵触日は派遣契約締結の際に派遣先から派遣元に通知しますが、個人単位の抵触日は派遣元から派遣先に通知する機会がありません。仮に、派遣先が個人単位3年を超えて同一人物を受け入れた場合、派遣先にはみなし雇用制度が適用されてしまいます。そのため、必要に応じて派遣元に個人単位の抵触日について確認することや、派遣先にて受入れ期間の管理をすることをおすすめします。
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社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)
立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。