Q21 労働者の相談窓口の種類

2017年1月から法改正によりハラスメントの相談窓口が二つ増えることになりますが、会社は社員のための相談窓口を何種類設けなければならないのでしょうか。

労働関係の法令で定める常設の相談対応の仕組みは、以下の6種類です。

  1. セクシュアルハラスメントに対応する窓口
  2. マタニティハラスメントに対応する窓口
  3. 育児・介護に関するハラスメントに対応する窓口
  4. パートタイマーからの相談に対応する窓口
  5. 障害者の合理的配慮に関する相談に対応する窓口
  6. 派遣労働者からの相談に対応する窓口

ハラスメントに関する相談窓口(①~③)のうち2017年1月から新設しなければならないのは、男女雇用機会均等法の改正によるマタニティハラスメントと、育児介護休業法改正による育児・介護に関するハラスメントに関する相談窓口です。

近年パワーハラスメントが問題視され、対応窓口を定めている企業も多いと思いますが、現時点で対応を義務付ける法令はありません。しかし、ハラスメントに関する苦情は、それをセクシュアル、マタニティ、パワーなどに分類することに意味はなく、職務上の必要を超える言動によって職場環境が害されることを解決することが目的のため、ハラスメント全般を扱う総合相談窓口があればよいと考えられます。男女雇用機会均等法の指針(平成28年厚労省告示312号)においてもマタニティハラスメント相談窓口について「その他のハラスメントと複合的に生じることも想定されることから、例えば、セクシュアルハラスメント等の相談窓口と一体的に、職場における妊娠、出産等に関するハラスメントの相談窓口を設置し、一元的に相談に応じることのできる体制を整備することが望ましいこと」として、ハラスメントの相談を一元的に受け付けることを推奨しています。

また、パートタイマーと派遣労働者の相談は、雇用区分によって設けるもので相談内容の限定はありません。これらもハラスメントと一元的に受け付ける体制を構築することも差し支えありませんし、複合的なトラブルについては連携して解決に当たる必要があると思います。

POINT相談窓口の周知

相談窓口を設置したらその存在を周知させることは当然ですが、④パートタイマーと⑥派遣労働者の相談窓口は、個別に文書の交付等により明示することが義務付けられています。パートタイマーは、雇い入れ時の労働条件等の明示の際に相談窓口を記載しなければなりません。派遣労働者の相談窓口は、派遣先・派遣元双方に設置され、両方の窓口を派遣元が派遣就業開始時に就業条件明示書により明示します。

Profile

答える人
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。

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