Q29 安全委員会と衛生委員会

現在、衛生委員会は設置していますが、これとは別に安全委員会を設置しなければならないのでしょうか。

衛生委員会は、業種にかかわらず常時使用する労働者数50人以上のすべての事業場に設置義務がありますが、安全委員会は表1に該当する場合だけ設置義務が生じます。例えば、不動産業、常時使用する労働者数50名以上であれば、衛生委員会だけ設置すればよいことになります。

「安全衛生」で一括りにしてしまいがちですが、安全委員会と衛生委員会は求められる役割が、表2のように異なります。役割は異なりますが、長時間労働対策やメンタルヘルス対策は労働安全に関連することもあり、別々に運営することが不合理な場合もあるともいわれます。また、安全委員会、衛生委員会どちらも毎月1回以上開催し、その議事録は3年間保存すること等運営面での類似性があります。そのため、安全員会と衛生委員会の両方を設置しなければならない場合、安全衛生委員会を設置することもできます。

表1 安全員会設置

規模 対象業種
50人以上 林業、鉱業、建設業、製造業の一部の業種(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部の業種(道路貨物運送業、港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業
100人以上 製造業のうち上記以外の業種、運送業のうち上記以外の業種、
電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業・小売業、家具・建具・じゅう器等卸売業・小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業

表2 主な調査審議事項

安全委員会 衛生委員会
  1. 1.安全に関する規程の作成に関すること。
  2. 2.危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、安全に係るものに関すること。
  3. 3.安全に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。
  4. 4.安全教育の実施計画の作成に関すること。
  1. 1.衛生に関する規程の作成に関すること。
  2. 2.衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。
  3. 3.衛生教育の実施計画の作成に関すること。
  4. 4.定期健康診断等の結果に対する対策の樹立に関すること。
  5. 5.長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
  6. 6.労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。

POINT事業場ごとに設置しましょう

安全委員会、衛生委員会は事業場ごとに設置する義務があるため、東京本社と埼玉工場が存在する法人の場合、それぞれ設置する必要があります。本社に管理部門しかない(製造業に該当しない)のであれば、本社は衛生委員会の設置だけが義務付けられ、埼玉工場は衛生委員会と安全委員会両方の設置が義務となります。

Profile

答える人
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。

関連記事

お役立ち情報 に戻る

人材に関するお悩みがございましたらお気軽にご連絡ください