当社でもプレミアムフライデーの導入を検討しているのですが、労働時間が短縮した分の給与はどのように取り扱うべきでしょうか。
プレミアムフライデーの時短にともなう給与の取り扱いは、労使間で話し合って決めるべきことなので、会社が一方的に給与を減額することはできません。法令でプレミアムフライデーに関する特別な取り扱いを定めていないので、労使の協議により時短による賃金減額が合意されたのであれば減額することも不可能ではありませんが、実務では時短の分を減額せずに支払ったり、有給休暇を使用したりする取り扱いが多いと思われます。
プレミアムフライデーは会社都合の休業にすぎないので、休業手当を支払うということも考えられます。ただし、労基法第26条の休業手当をそのまま適用すると納得のいかないことになります。1日の一部を休業する場合、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の6割相当額以上であれば、労基法上の休業手当の支払義務はありません。所定労働時間7時間の企業で5時間勤務した後、3時から2時間休業した場合すでに6割以上賃金が支払われているかもしれません。その場合、支払い義務は生じないので給与額は早退控除した場合と同じになってしまいます。制度の趣旨に沿って自社の対応を検討してください。
POINT派遣料金との関係
プレミアムフライデーを導入する場合、派遣社員の取り扱いも検討してください。短縮時間に対する派遣料金(給与)を支払うのであれば派遣契約を変更する必要はありませんが、支払わないのであれば、派遣契約締結時に就業日、就業時間からプレミアムフライデーを除外してください。あらかじめ決めずに急に最終金曜日にプレミアムフライデーと言われても派遣社員は困ってしまいます。
Profile
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)
立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。