当社を退職して1年を経過しない者を派遣社員として受け入れることはできないと聞いておりますが、当社でアルバイトをしていた場合も受け入れ禁止の対象となるのでしょうか。
1年以内に離職した者は、離職後1年間派遣社員として受け入れることができないという制度は、派遣先で直接雇用されていたすべての労働者が対象となります。そのためアルバイト勤務であったとしても派遣社員として受け入れることはできません。また、1年以内離職者の受け入れ制限は派遣先事業者単位(法人単位)のため、派遣先A東京本社を退職後、1年以内にAの大阪支店で派遣社員として勤務することはできません。事業者単位のため派遣先Aの子会社、関連会社は受け入れ制限の対象外となっています。
60歳以上定年退職者は禁止対象から除外されているため、親会社を定年退職して子会社の派遣会社が再雇用し、親会社に派遣することは問題ありません。労働者派遣法は、日雇派遣禁止と受け入れ期間制限の例外として、60歳以上の労働者を定めています。これら2つの場合は単に年齢が60歳以上であればよいのですが、1年以内離職者の例外は定年退職したことがある者に限られます。
POINT派遣先が直接雇用していない場合は適用外
1年以内離職者の受け入れ制限は派遣先が直接雇用している場合に生じる問題のため、以下のような直接雇用していない場合は問題となりません。
- 受け入れていた派遣社員が退職し、1年以内に再び派遣されてきた場合
- 派遣社員を雇用する派遣元を変更して同じ派遣先で継続して就業する場合
- 構内請負で勤務していた者が派遣社員として就業する場合
Profile
答える人
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)
立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。