育児休業中の職員の代替要員として派遣社員を受け入れているのですが、予定より早く育児休業を繰り上げて職場復帰することになりました。職場復帰にあわせて派遣の受入れを終了してもよいでしょうか。
育児休業代替要員派遣は終了しますが、派遣契約期間内の就業の確保にご協力ください。派遣先従業員が産前産後休業、育児休業を取得中にその代替要員として派遣を受け入れる場合、事業所単位・個人単位どちらの期間制限も適用されませんが、その期間は産前産後休業、育児休業期間に限定されます。
代替要員派遣で派遣契約を締結する際には、休業開始日と休業終了予定日、休業に入る派遣先従業員氏名を契約書面に記載する必要があり、終了予定日を超えて契約を結ぶことはできません。2017年12月20日が育児休業終了予定日であれば、最長でもその日までの契約となります。12月20日まで代替要員派遣の契約により派遣を受け入れている途中で育児休業取得者が、育児休業を繰り上げて終了し12月1日から職場復帰する場合、11月30日に代替要員派遣を終了しなければなりません。ただし、育児休業の繰り上げ終了は育児介護休業法で義務付けられていませんので、育児休業取得者が繰り上げ終了を希望しても会社に応じる義務はなく、これを認めるのであれば、派遣先の判断で派遣契約を終了する中途解約に該当します。派遣先都合で中途解約をする場合には、派遣労働者の雇用安定のための措置として、次の就業先の確保が求められ、次の就業先の確保が困難な場合は派遣元から損害賠償請求をされることもあります。次の就業先の確保は、同じ職場で代替要員ではない通常の派遣契約で受け入れることも含まれます。先の例では12月1日から20日まで代替要員以外の派遣契約(就業条件が派遣労働者にとって合理的内容)で受け入れることができれば中途解約の問題は生じないのでご協力ください。
POINT延長は可能
代替要員派遣は、育児休業終了日が繰り下げられた場合や、1歳以降の育児休業制度により休業することになった場合は延長することが可能です。延長の際は、再度休業終了予定日を明らかにした上で派遣契約を締結してください。
Profile
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)
立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。