Q58 派遣社員の配置の変更

現在、経理課で派遣を受け入れています。人事課で要員不足が生じたため派遣社員の配置を変更したいのですが、どのような手続きが必要でしょうか。

派遣会社にご相談の上、派遣個別契約を結び直してください。派遣契約締結の際に定めなければならない事項には、従事する業務の内容、具体的な派遣就業の場所及び組織単位、指揮命令者が含まれています。派遣先が無断で派遣社員の配置を変更してしまうと契約通りに就業していないことになります。派遣法第39条で派遣契約に反することのないよう適切な措置を講じなければならないと規定し、派遣先指針では、具体的に措置として以下のことを求めています。

就業条件の周知徹底
労働者派遣契約で定められた就業条件について、当該派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者その他の関係者に当該就業条件を記載した書面を交付、又は就業場所に掲示する等により、周知の徹底を図ること。
就業場所の巡回
定期的に派遣労働者の就業場所を巡回し、当該派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認すること。

派遣先は派遣契約により派遣社員に対する指揮命令権を持つにすぎないので、派遣社員の配置を決める権限までは持っていません。派遣元に無断で配置を変更することはできず、派遣法第39条に違反してしまいます。派遣先が派遣契約に違反する事実を知った場合は、早急に是正することが求められています。
派遣元としても無断で配置を変更されることは、派遣契約を適切に締結していないこととなり行政の指導の対象となる他、ご質問のように経理課から人事課という異なる組織単位に知らないうちに異動していると、個人単位の抵触日を適切に管理できなくなるという重大な支障が生じます。派遣契約に記載した事項が変更される場合、必ず派遣元に連絡し派遣契約の変更または再締結の手続きを取ってください。

POINT派遣社員を特定して異動させることはできません

派遣就業場所を変更した場合、必ずしもこれまで受け入れていた派遣社員が継続して派遣されるとは限りません。誰を派遣するかは派遣元が決定することであり、派遣元は業務内容に対して適切な人材を派遣するため、異動先の業務が現在の派遣社員の希望に合わない場合は、別の派遣社員を派遣することもあります。

Profile

答える人
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。

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