特定技能2号とは? 概要と今後の展望を解説

2023年6月に介護以外の11分野について2号を認めるという閣議決定がなされました。

従来は建設業と造船舶用工業の2分野のみだったところを大幅に拡大した内容となります。では、特定技能2号とはどういった資格・内容なのでしょうか?

本記事では特定技能2号の概要をはじめ、取得要件と今後の展望について解説します。

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特定技能2号とは

特定技能2号の概要

特定技能2号とは、「熟練した技能を有する業務」に従事する在留資格となります。特定技能1号の「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務」という表現とは異なった定義となっています。砕いた言い方をしますと、1号は3~5年現場の経験がある方で、2号はリーダーや職長クラスを担当できるレベルの方と想定されています。

また、2号は長期就業が可能となる在留資格で、更新を続けることで実質的に在留期限のない長期就業が可能となる設計になっています。2号に上がれると家族を呼べるようになるので、特定技能外国人にとってこれは非常に大きなメリットです。受入れ企業にとっては1号で必須だった義務的支援がなくなりますので、管理費等のコストが掛からない点も大きな魅力となります。

就労が認められる在留資格の技能水準

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特定技能と他の在留資格との比較

特定技能と他の在留資格との比較

技能実習制度の制度改定について

技能実習制度の問題点と今後の展望

特定技能2号の解禁と併せて大きな話題となっているのが技能実習制度廃止のニュースです。技能実習制度はその大本が1993年という、実に30年以上前に作られた制度になります。

制度の建前としては、「研修」として日本で技術習得をし、それぞれの国で伝播させることで日本が世界に貢献するというものでした。しかし、実質的にはいち労働力として活用している企業が多く、制度の建前とかけ離れた実態がありました。

また、残業代の不払いや三畳一間で10名が寝泊まりするなどの不当な扱い、暴力やいじめなども多く報告されており人権が軽視されているのではないかという懸念が常に取りざたされていました。

近年では特に欧米諸国から、転職が認められていない点が強制労働ではないかという指摘を受け(2021年、2022年 米国務省発行の「人身取引報告書」において技能実習が強制労働にあたると指摘を受けている)、2022年9月には日本・米国・EUの貿易及び労働大臣による三者共同声明で「強制労働を根絶するための取り組み強化」を表明しています。

こうした世界の流れを受けて、日本でも技能実習制度の存否に関して政府有識者会議で議論がされておりましたが、ついに技能実習制度を廃止し、人材の確保・育成を目的とする新たな制度を創設する方向で議論が進んでいます。新たな制度では転職を一定の条件のもと認める方向で検討されており、従来の技能実習制度とは大きく内容が変更される見込みです。

技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(R5.5.11)

検討の基本的な考え

特定技能2号の取得要件

特定技能2号に移行するためには?

では特定技能2号を取得するにはどうしたらいいのでしょうか? ただ5年間が経過すれば自動的に全員が取得できるものなのでしょうか?

残念ながら答えはNoです。
実際、建設業で特定技能2号に移行している方が全国で10名いますが、この方々の事例を見ると二つの要件が求められていることが分かります。

特定技能2号(技能水準) 「建設分野特定技能2号評価試験」(新設、2022年後めど実施)、「技能検定1級」
※試験合格に加えて、班長としての実務経験を1~3年以上有することを要件とする

事実、国交省が出している「建設分野における外国人材の受入れ」資料によると、2号取得のためには「建設分野特定技能2号評価試験」または「技能検定1級」の試験に合格していることに加え、班長として1~3年の実務経験が要件とされております。

したがって、1号で在籍している5年間の間に、いかにこの試験と実務経験の要件を満たせるように教育・育成していけるかが非常に大切なポイントとなってきます。

実際に1号でいる全員が2号に移行できるわけではないと思いますので、計画的な人材育成を策定し、優秀な人材を少しでも多く残せるような対策が必要となります。

今後の課題・展望

受け入れ企業にとって今後の課題と展望はどういったところにあるか

前述のとおり、2号に移行するための要件は大きく「試験合格」と「実務経験」です。

まずはペーパーテストである評価試験に合格しないことには実務経験があってもはじまりませんので、この評価試験に合格できるかがファーストステップとなります。

これには当然、日本語の読解や漢字の読み書きが必要になります。

ただ漫然と1号の5年間を過ごしてしまうと、いざ2号に移行しようと思っても試験というハードルを超えられない可能性が往々にしてあります。そのため、「5年の間にいかにして日本語のレベルを底上げできるか」が受け入れ企業にとっては最大の課題となります。

また、試験に合格できても実務経験がゼロだと、これもまた2号に移行できません。実務経験として求められているのは班長として2~3年(分野による)の経験です。

結局は日本語でしっかりと他者に教育ができるレベルなのかが問われている要件ですので、ペーパーテストの日本語レベルを問う試験とは別に、コミュニケーションレベルについてもビジネスレベルでの能力を問われることになります。

したがって、2号に移行するには、ペーパーテストの読み書きができる日本語のレベルアップと、班長として活躍できるビジネスレベルでの会話力をいかに5年間の間に養成するかが重要なポイントとなります。

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