派遣法3年ルールとは?
正しい理解と運用方法、例外を徹底解説

派遣法3年ルールとは?正しい理解と運用方法、例外を徹底解説

「派遣社員」の活用を検討している企業担当者にとって、派遣法の「3年ルール」は分かりづらい点のひとつかもしれません。仮に優秀な派遣社員を迎え入れたとしても、派遣元との契約が有期雇用の場合、上限の派遣期間が3年であることは、短すぎると感じる方も多いのではないでしょうか?

今回は、派遣法3年ルールの具体的な内容と、法に準拠した活用方法、例外の有無などについて、詳しく解説します。

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派遣の「3年ルール」とは

派遣の「3年ルール」とは「有期雇用契約の同じ派遣労働者を3年を超えて同じ事業者に派遣することが不可」(労働者派遣法第40条の2第1項及び第2項)という規定です。これは2015年に改正された労働者派遣法に基づくもので、2018年から本格的に施行されました。
法改正の背景には、派遣社員の雇用安定とキャリア発展の促進があり、企業側の適切な対応が求められます。
このルールには、「事業所単位」と「個人単位」の2種類の期間制限があります。

事業所単位の制限

「事業所単位」の制限では、同一事業所で3年を超えて派遣社員を受け入れることができません。ただし、過半数労働組合などの意見聴取を行うことで、延長が可能となります。
なお「事業所」の定義は、雇用保険の適用事業所に関する考え方と基本的に同じです。

  • 工場、事務所、店舗など場所的に独立していること
  • 経営単位として人事・経理・指導監督・働き方などがある程度独立していること
  • 施設として一定期間継続するものであること

事業所がこれらの基準に該当するかどうかは、事業実態に基づき個別に判断されるため、不明点があれば最寄りの労働局に問い合わせることをおすすめします。

個人単位の制限

「個人単位」の制限では、同一の派遣社員を同じ事業所の同じ組織単位で3年を超えて受け入れることができません。

※「課」を組織単位とする場合

これは、派遣社員のキャリア形成を促進し、雇用の安定を図るための規定です。具体的には、同じ派遣労働者を3年以上同じ組織単位に派遣することができませんが、別の派遣労働者を同じ組織単位に派遣することは可能です。また、同じ派遣労働者を異なる組織単位に派遣することは可能です。
このため、派遣社員を活用する際には3年ルールを考慮することが必要です。なお、3年ルールに違反した場合、労働契約申し込みみなし制度の適用となる可能性があります。

派遣3年ルールの適用外となるケース

派遣法の3年ルールには「適用されないケース」もあります。これらのケースも理解することで、企業は柔軟な人材活用が可能となります。

派遣元企業での無期雇用

派遣元企業と無期雇用契約を結んでいる派遣社員の場合は、3年ルールの適用外です。
この場合、派遣社員は3年を超えて同じ企業で就業を継続することが可能です。無期雇用に切り替えることで、派遣社員のキャリア形成と雇用の安定をサポートでき、企業側も長期的な人材活用を行うことができます。

派遣社員の年齢が60歳以上

派遣社員の年齢が60歳以上の場合も、3年ルールの適用外となります。
シニア層の経験とスキルを活かして、長期にわたって活躍してもらいたい場合、この年齢基準を考慮すると良いでしょう。
アデコでは、60歳を超えたシニア層の方々も多く派遣しています。経験豊富な即戦力人材の活用を検討されている方は、ぜひお問い合わせください。

その他の例外

このほかにも以下のような条件に該当する業務であれば、派遣の3年ルールの適用外となります。

  • 有期プロジェクト業務
  • 日数が限定されている業務
  • 産前産後、育児休業・介護休業の代替業務

派遣社員の活用を検討しているものの、依頼したい業務が「派遣の3年ルール」に該当するものか否か判断できない場合も、アデコにお気軽にご相談ください。

3年を超えて就業が継続するケース

3年を超えて就業が継続するのはどのようなケースがあるか、注意点も含めてご紹介します。

事業所単位の期間制限延長手続き

事業所単位の派遣期間制限に関しては、適切な手続きを行うことで延長が可能です。具体的には、派遣先事業所に労働者の過半数を組織する労働組合が存在する場合、その労働組合から意見を聴取することが求められます。過半数労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者から意見を聴取する手続きが必要です。

あわせて読みたい
事業所単位の抵触日の延長手続き

事業所単位の受け入れ期間を延長する際の、意見聴取の流れや具体的な注意点について詳しく解説しています。

直接雇用への切り替え

派遣社員をパート、アルバイト、または正社員に切り替えることで、派遣契約ではなく、直接雇用契約として継続することができます。
この際、雇用安定措置の一環として派遣元企業と十分に連携を取り、適切な対応をすることが重要です。

また、雇用形態が大きく変わるため、派遣社員本人に対しては労働条件の変更や給与体系について丁寧に説明し、十分な理解を得ることが必要です。

部署異動

先にも述べた通り、同じ派遣社員が「3年を超えて同じ組織単位 での派遣を継続する」ことは不可です。しかし異なる組織単位であれば、同一の派遣社員の就業継続が可能 になります。
例えば、組織単位を「課」とみなし、人事課で3年間派遣社員を受け入れていた場合、その方は同じ会社の総務課など他の部署であれば、継続して派遣就業することが可能です。
ただし、派遣先企業が派遣社員を選ぶ「特定行為」は禁止されています。この点には注意が必要です。

派遣元での無期雇用派遣への切り替え

派遣の3年ルールには「派遣元で無期雇用の対象であれば、3年ルールの対象外になる」という要件があります。派遣元企業で無期雇用の対象となっている派遣社員であれば、その後派遣先企業に派遣されても3年を超えて就業を継続することが可能です。

派遣社員のキャリアと希望を尊重した対応をお考えならアデコにご相談ください

派遣法の「3年ルール」により、同じ職場で3年以上働くことは原則として難しい状況です。しかし、長期的に働きたいと希望する派遣社員の方がいる場合、企業は法令を遵守しつつ、適切な対応策を検討することが重要です。

例えば、本記事でご紹介したとおり、長期的な就業を希望する派遣社員の方に対しては、派遣元企業との連携を図りながら、無期雇用派遣への転換を検討することができます。アデコの「ハケン2.5」は、派遣社員本人の希望に基づいた無期雇用への転換プログラムで、アデコ以外の職場で2.5年以上就業している派遣社員の方も対象です。このプログラムは、派遣社員のキャリアを大切にし、雇用の安定を支援します。

もし、3年に近い期間ご就業中の派遣社員がいる場合、期間制限に注意し、今後の対応策を早めに検討することをお勧めします。アデコでは、派遣社員の希望を尊重し、適切なキャリア支援を行いながら、企業の人材戦略をサポートします。詳しくは、アデコの「ハケン2.5」についてお問い合わせください。

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