事務職は人気が高いお仕事であるため、未経験から目指すのであれば「資格を取得する」「未経験可の求人に応募する」などの対策が必要です。また、PCスキルやコミュニケーション能力などを身に付けて、企業に魅力をアピールできるようにしましょう。このページでは、未経験から事務を目指す際のポイントについて解説します。
未経験から事務職を目指すのが難しいと言われる理由
「未経験から事務職を目指すのは難しい」と言われる理由として、大きく以下の2つが挙げられます。
- 人気職種のため倍率が高い
- 職種によっては専門知識が必要とされる
人気職種のため倍率が高い
事務職は人気職種のため、採用されるハードルが高いです。
事務職は定型業務が多く、一般的には、会社の売上に直結対するようなノルマが設定されるお仕事ではありません。お仕事に慣れて早く完了できるようになれば定時帰宅もしやすく、「ワークライフバランスを大切にしたい」という人に人気です。
実際の有効求人倍率を見ても、2022年4月時点で「0.49倍 」となっています。有効求人倍率が1未満というのは「求職者数に対して求人数が少ない状態」であるため、未経験者が挑戦するハードルは高いということがわかるでしょう。
参考:厚生労働省「参考統計表1 p.7」職種によっては専門知識が必要とされる
事務職の種類によっては、専門知識や実務経験を求められるケースがあります。
事務職といってもその業務内容はさまざまです。職種によっても変わり、企業によっても異なります。そのため中には相応の専門知識を求められることもあります。
例えば以下のような事務職は、資格や専門知識、実務経験を求められる傾向にあります。
高い専門性が求められる事務職 |
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経理・会計・財務事務 | ・日商簿記検定・FP技能検定 | 求人一覧へ |
法律特許事務 | パラリーガル認定資格法律事務職員能力認定試験 | 求人一覧へ |
貿易事務 | 貿易実務検定TOEIC | 求人一覧へ |
医療事務 | ・診療報酬請求事務能力認定試験・医療事務技能審査試験(メディカルクラーク) | 求人一覧へ |
介護事務 | ・介護報酬請求事務技能検定試験・ケアクラーク技能認定試験 | 求人一覧へ |
人事・労務事務 | ・社会保険労務士・衛生管理者 | 求人一覧へ |
もし未経験から挑戦するのであれば、上記で挙げたような資格取得も検討してみましょう。必要な知識を持っている証明になり、そのうえ業務に対して意欲的であるとアピールできます。
事務職に応募する際は「未経験から挑戦しやすい種類」を選ぶことが大切
上記のように、事務職の種類によっては専門性を求められるケースがあります。資格を取得することで就業できる可能性は上がりますが、やはり実務経験者と比べると採用の優先度は下がってしまうでしょう。
未経験から事務に挑戦する場合は、なるべく未経験でも応募しやすい種類を選ぶことが大切です。未経験から挑戦しやすい事務職としては、以下が挙げられます。
一般事務・OA事務
一般事務(OA事務)は、幅広い事務職の中で最もオーソドックスな種類のお仕事です。業務内容は以下のように多岐にわたりますが、お仕事によっては特別な専門スキルが必須ではなく、未経験でも挑戦できる求人も多い傾向にあります。
一般事務・OA事務の具体的なお仕事内容などについては、以下の記事を参考にしてください。
一般事務について詳しくはこちら OA事務について詳しくはこちら総務事務
総務事務は、部署の垣根を超えて企業全体の事務処理を担当します。具体的な業務内容としては以下が挙げられます。
- 社内設備の管理
- 社内イベントの企画や準備、当日の進行
- 社員総会の実施
- 必要に応じた福利厚生の申請手続き
- 社内の冠婚葬祭手続き
総務事務では幅広い業務を担当するため、場合によっては人事や経理など、未経験からの挑戦が難しい事務作業のサポートを行うこともあります。もし総務事務のお仕事を通じて、人事や経理などの経験を積めれば、自身の心強いアピールポイントとなるでしょう。
総務事務について詳しくはこちら営業事務
営業事務は、事務作業の中でも「営業に関する処理」に特化したお仕事です。営業担当者が顧客との商談や折衝をスムーズに行うためのサポートを行います。
主な業務内容は以下の通りです。
- プライベートを充実させられる
- 深夜手当が支給される
- 残業が少ない
- 通勤ラッシュを避けられる
- 平日や昼間の時間を自由に使える
営業事務では、社内だけでなく顧客とコミュニケーションを取るケースもあります。場合によっては営業担当者に代わって、簡単な商品説明を求められることもあるでしょう。そのような状況に対応できるよう、事務処理能力はもちろん自社商品の知識やヒアリング能力なども持っておくことが理想です。
営業事務について詳しくはこちら未経験から事務を目指すには?成功させるポイント
実際に未経験から事務を目指す際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 資格を取得しておく
- 「未経験歓迎」を掲げる業界の事務職に応募する
- 事務で最低限必要なスキルを身に付けておく
- 志望動機や自己PRを練り上げる
資格を取得しておく
採用の可能性を上げるために、資格を取得しておきましょう。資格の取得を通じて関連知識を勉強できるうえ、企業に対してお仕事に対するモチベーションの高さをアピールできます。
事務職全般で有効な資格 としては以下が挙げられます。
- MOS
- 秘書検定
- 日商PC検定
- TOEIC
- 簿記
また、希望する事務の種類に合わせた資格を取得することもおすすめです。例えば「貿易事務なら通関士」「医療事務なら診療報酬請求事務能力認定試験」などが挙げられます。ただし、 求人によっては資格より実務経験を求められるケースもあるため要注意です。
「未経験歓迎」を掲げる業界の事務職に応募する
未経験歓迎を掲げる業界の事務職に応募することも重要です。
業界によっては、求人で「未経験歓迎」を掲げているケースもあります。未経験歓迎の企業であれば、研修や教育制度が整っている可能性が高いため、安心して就業できるでしょう。
未経験歓迎を掲げている主な業界としては、以下が挙げられます。
- IT・Web・通信業界
- 保険・金融業界
- 広告などのマスコミ業界
事務で最低限必要なスキルを身に付けておく
以下のような、事務として最低限必要になるスキルを身に付けておきましょう。
- PCスキル
- 職場内でのコミュニケーション能力
- 細かい部分に気付ける能力
- 基本的なビジネスマナー
PCスキルは事務職に必須のスキルです。データ入力や資料作成、メール対応など、ほとんどの業務をPCで行います。また、資料や文書を作成したり関数による計算を行ったりすることもあるため、Microsoft Office系ツールを扱えるとよいでしょう。
職場内でのコミュニケーション能力に関しては、基本的な部分ができれば問題ありません。きちんと挨拶をしたり、お仕事を手伝ってもらったらお礼を言ったりするなど、日常的なコミュニケーションはていねいに行いましょう。
また、事務作業では細かい部分に気付ける能力も求められます。書類の記載ミスやデータの入力漏れなどがないよう、細かい部分に注意を払えるのが望ましいです。
社外の人物とやり取りすることもあるため、基本的なビジネスマナーも必要になります。ビジネスパーソンとしてふさわしい身だしなみを整える、正しい敬語を使うなど、最低限のポイントは押さえておきましょう。
志望動機や自己PRを練り上げる
未経験から事務に挑戦する場合は、志望動機や自己PRを練り上げましょう。
経験職種、希望職種、強み・弱みなどの自己PRの内容を参考にして、就業先と相性がよさそうかを判断されます。派遣会社側としても、就業先とのミスマッチを減らして長く働いてほしいと考えるため、「これまでの業務における事務作業的な業務(たとえば接客・販売業務におけるPCを利用した在庫管理など)」や「なぜ未経験から事務を目指すのか?」という志望動機や明確に説明できるようにしましょう。
志望動機や自己PRを練る際は、以下の ポイントを押さえることが大切です。
- Microsoft Office系ツールを中心とした基礎的なPCスキルをアピールする
- 事務関連の資格を取得している、あるいは勉強中であることを伝える
- 残業が少ない
- 自分のスキルや経験をどのように事務職で生かせるかまとめる
もしも「こういった準備が難しい・・・」と感じたらアデコにご相談ください。派遣で就業する場合に志望動機は必要なく、アピールポイントも担当者がじっくりとヒアリングいたいたします。
アデコの派遣が選ばれる理由について詳しくはこちらまたアデコでは転職支援サービスもございます。転職をするにあたって、不安な点などがある方はこちらのサービスもぜひご検討ください。
アデコの転職支援について詳しくはこちら事務の種類によっては未経験からの挑戦が難しい場合もある
未経験から事務に挑戦する場合は、上記で解説したように「資格を取得する」「未経験歓迎の業界に応募する」などが有効です。
ただし事務の種類によっては、資格だけでなく実務経験が求められることがあります。実務経験を求められる事務職は、未経験からの挑戦が難しいかもしれないため注意しましょう。
実務経験を求められる傾向にある事務職としては以下が挙げられます。
- 医療事務
- 経理事務
- 貿易事務
- 法律・特許事務
医療事務
医療事務とは、病院やクリニックなどの医療施設で働く事務職のことです。主に以下のような業務を行います。
- 患者の受付対応
- カルテの管理
- 患者情報の入力
- レセプト業務
患者の受付対応やカルテの作成・管理などは、未経験でも行えます。しかし、医療事務特有の業務である「レセプト業務」において、実務経験を求められることが多いです。
レセプト業務とは、市町村や健康保険組合などに対し、医療施設から診療報酬を請求する業務のことです。医療施設が患者から受け取る報酬は原則3割であるため、残りの7割を支払ってもらう必要があります。
診療報酬計算では、患者の診察情報や制度をもとに正確な数値を算出する必要があるため、未経験から挑戦するハードルは高いといえるでしょう。
経理事務
経理事務とは、企業の大切なお金周りを扱う事務職のことです。主に以下のようなお仕事を行います。
こ のように、お金に関する重要な作業を担当するため、就業の際は実務経験を求められるケースが多いです。
経理事務の具体的なお仕事内容や必要なスキルなどについては、以下のページを参考にしてください。
経理事務について詳しくはこちら貿易事務
貿易事務とは、企業の輸出入に関して以下のような業務を行う事務職です。
- 必要書類の作成
- 売掛金の回収や買掛金の支払い
- 通関手続き(輸出入の許可を得るための法的手続き)
- 倉庫手配
- 関税や消費税の納付
貿易事務では海外のクライアントとコミュニケーションを取る機会が多いです。また、英語の契約書類を読み解くことになるため、他の事務職より求められるスキルは高いでしょう。
貿易事務の具体的なお仕事内容や必要なスキルなどについては、以下の記事を参考にしてください。
法律・特許事務
法律・特許事務とは、企業のコンプライアンスに関わる処理を行う事務職のことです。主に以下のような業務を行います。
- 社内からの法律に関する問い合わせ対応
- 契約書の締結サポート
- 知的財産契約やライセンス契約などの締結補助
- 特許申請書類の作成
法律・特許事務では、企業が意図せず法律違反を起こさないよう、契約書やコンプライアンスのチェックを行います。企業を守る盾として幅広い法律の知識が求められるため、未経験からの就業はハードルが高いでしょう。
法律・特許事務の具体的なお仕事内容については、下記のページも参考にしてください。
法律・特許事務について詳しくはこちら未経験から事務に挑戦するなら派遣制度の活用も検討しよう
事務職は人気が高いため、未経験から挑戦する場合は「資格を取得する」「未経験歓迎の業界を選ぶ」などのポイントを押さえることが大切です。また、一般事務や総務事務など、未経験から挑戦しやすい種類の事務職を選ぶのもよいでしょう。
少しでも未経験から採用される可能性を高めるためには、正社員だけでなく、派遣社員や契約社員制度を活用することもおすすめです。派遣社員であれば、派遣会社のキャリアコーチのサポートを受けながら求人を探せるため、自力で未経験から挑戦するよりも安心できます。
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