昨今、賃上げや「年収の壁」など、賃金をめぐる論争が繰り広げられています。人手不足が加速するなかで、賃上げや、職種別・地域別の有効求人倍率は過去数年どのように推移しているのでしょうか。
本記事では、最新のデータをもとに、労働市場トレンドを全国・エリア別に解説します。
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労働市場をとりまく変化
賃上げの推進と「壁」の緩和
人手不足が深刻化するなかで、労働者の待遇や働く環境を改善するための様々な施策が展開されています。中でも重要な論点が賃金です。
今年の10月には各都道府県で最低賃金の引上げが実施され、全国平均としては過去最大の+50円の引き上げ額となりました。
参考・出典:厚生労働省「平成14年度から令和6年度までの地域別最低賃金改定状況」
また、直近では国民民主党が、労働者に対する減税策として「103万円の壁」の引き上げを表明しています。
「年収の壁」とは、一定の給与収入を超えたときに税金や社会保険料などが発生する境界線のことです。この「壁」を超えないように労働者が働き控えしてしまったり、キャリアアップを諦めてしまうことが懸念視されるため、昨今大きな話題となっています。
年収が103万円を超えたときに所得税が発生する「103万円の壁」は引き上げが明記されていますが、他にも条件によって社会保険料が発生する「106万円の壁」や「130万円の壁」、さらには高齢者の収入が一定を超えると年金額が減額される「50万円の壁」などもあり、労働者が働き控えすることなく、理想的な働き方を実現するためにはまだ改善の余地があるといえます。
2024年の春闘では、33年ぶりに+5%以上の賃上げが実現しましたが、2025年春闘の闘争方針には、さらに+5%以上の賃上げを要求する旨が明示されています。来年も賃金をめぐる動向が一層注目を集め、社会全体で重要な議論の焦点となることが予想されます。
労働市場概要
有効求人倍率の推移
賃金に関する制度が推し進められるなか、労働市場はどのように推移しているでしょう。
厚生労働省が11月29日に発表した統計によると、2024年10⽉の有効求⼈倍率は1.25倍で、前月比+0.01となりました。2か月連続の前月比増です。有効求⼈数は前⽉⽐+0.2%、有効求職者数は-1%となりました。
先⾏指標である新規求⼈倍率は2.24倍となり、前⽉比微増です。この数値は企業が新たに求人を出している動向を示し、雇用市場が引き続き活発であることを表しています。
物価の高騰や円安の影響もあり、有効求人数は年始と比べると2%以上減少していますが、今後賃上げ施策が加速するにつれて求職市場の循環が促進されると考えられるため、注視が必要です。
【職種別】有効求人倍率の推移
有効求人倍率を職種別に見ると、建築・介護サービスが依然として最も高い数値を示します。対前月比で特に変化が大きかったのは建設の前月比+0.17です。
対前年同月比で見ると、対前年-0.20となった接客・給仕の減少が大きいです。コロナ禍後の大きな回復の後、2023年に入ってからはやや下降しています。
営業や開発技術は、時期によって上下するものの、2022年から緩やかに上昇傾向を続けています。
参考・出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」
【雇用形態別】10月の雇用者数
2024年10⽉の雇⽤者数は5,832万⼈で前年同⽉⽐約80万⼈増加。増加したうちの大半を正社員が占め、続いてアルバイト・派遣社員が対前年同月比合わせて21万人の増加となりました。
【男女別】10月の雇用者数
雇用者数の変動を男女別に見ると、対前年同月比で増加した正社員約80万人の雇用者総数のうち、約8割を女性が占めました。実数はまだ乖離があるものの、正社員数の男女のギャップは狭まってきています。
まとめ
職種別派遣平均時給は、広範なエリアと⼤まかな職種分類に基づく参考値であり、職種⽐較としてご覧ください。実際の⼈材ニーズにはさらに詳細な確認が可能です。特定の要件や地域・業界特有のニーズに合わせて、最適な⼈材をご提案いたします。ご検討中の職種や⼈材に関するご相談は、営業担当またはお問い合わせフォームまでお気軽にお寄せください。
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