
派遣社員を活用すれば、即戦力を確保することができます。最適な人材確保のために派遣依頼をスムーズに進める方法と、トラブルを防ぐための注意点について解説します。
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派遣の依頼から業務開始までのフロー
派遣会社に依頼をして、実際に派遣社員が業務を開始するまでの一般的な流れは下記のとおりです。各ステップにおけるポイントについて、詳しく見ていきましょう。
- 1派遣会社を探す
- 2派遣会社に依頼する
- 3派遣契約を締結し、スタッフを決定する
- 4業務を開始する
STEP1:派遣会社を探す
派遣会社ごとに得意とする業種やサービス内容、サポート体制が異なるため、複数社を比較検討することが重要です。公式サイトや口コミ、実績なども参考にしながら、自社が希望する人材像や業務内容にマッチする会社を選びましょう。
問い合わせ時には、活用目的や勤務開始の希望時期などを簡単に伝えておくと、その後のやりとりがスムーズです。
派遣会社を探す際のポイント
- 1派遣会社の取り扱う業種や職種
- 2派遣形態、対応エリア、フォロー体制
- 3営業担当者の印象
- 4派遣会社の規模感
STEP2:派遣会社に依頼する
選定した派遣会社に連絡し、人材の選定を依頼します。担当者によるヒアリングでは、下記のような点について確認していきます。
派遣会社からのヒアリングで確認される項目
- 1業務内容
- 2契約期間
- 3就業条件や待遇
- 4必要な人数
- 5求める人物像
- 6必要なスキルや資格
同業他社の事例や注意点なども、この段階で確認しておくと安心です。なお、募集の背景や今後の雇用方針(直接雇用の可能性の有無など)を詳しく伝えることで、マッチした人材を確保しやすくなります。
さらに、リモートワークの可否や福利厚生、職場の雰囲気なども共有することで、求職者が働くイメージを持ちやすくなります。条件設定の際は、適正な派遣料金や就業内容を明確にし、派遣会社と十分に相談しながら進めることが大切といえるでしょう。
求める派遣社員を獲得するために明確にしておくとよい項目
- 1満期後の条件(直接雇用の有無)
- 2ジョブディスクリプション
- 3募集業務の訴求ポイント
- 4一緒に働く人など環境面の魅力
Adeccoでは、「ターゲット派遣人財を獲得する募集要件 29のチェックリスト」をご用意しています。勤務条件や待遇、募集ポジションの業務内容や人物要件、自社や就業部署の情報など、ミスマッチを防ぐため29の項目を整理できるようになっています。ぜひご活用ください。
STEP3:派遣契約を締結し、スタッフを決定する
派遣会社がマッチングした候補者の中からスタッフを決定したら、派遣契約を締結しましょう。契約内容や条件は自社の法務部門と連携して、しっかり確認しておきます。
なお、企業が初めて派遣スタッフを受け入れる際には、主に「基本契約」と「個別契約」の2種類の派遣契約を締結します。
派遣契約について詳しくは下記のページでも解説しています。より詳細を知りたい方はこちらも合わせてご確認ください。
派遣契約について詳しくはこちら初めての派遣依頼時に必要な派遣契約
・基本契約
派遣の基本契約とは派遣元(派遣会社)と派遣先(受け入れる企業)とのあいだで、派遣取引全体に共通するルールや条件を定める契約です。契約の目的をはじめ、派遣料金、損害賠償、契約解除の方法、派遣元・派遣先責任者の定義、安全衛生、個人情報保護、苦情対応など、トラブル防止や適正な取引のための包括的な内容が盛り込まれています。基本契約は一度締結すれば、派遣スタッフが入れ替わっても継続して適用されます。
・個別契約
派遣の個別契約とは、実際に派遣スタッフを受け入れるたびに締結する契約です。派遣するスタッフの業務内容や就業場所、勤務時間、派遣期間、指揮命令者、安全衛生、苦情対応、雇用安定措置など、具体的な就業条件を詳細に定めます。個別契約は、労働者派遣法により法定記載事項が細かく定められており、派遣スタッフごと、および案件ごとに作成する必要があります。
STEP4:業務を開始する
派遣スタッフ決定後、受け入れる企業は円滑な業務開始に向けた準備が必要です。スムーズな受け入れのために対応すべきポイントには、下記のようなものがあります。
派遣を受け入れるための事前準備のポイント
- 1受け入れ体制の整備
- 2業務内容・環境の準備
- 3社内通知と受け入れ準備
- 4勤怠管理、台帳の作成
受け入れ体制の整備
派遣先責任者・指揮命令者などの担当者を選任しましょう。指揮命令者は、業務指示や勤怠管理を担います。派遣先責任者は、就業環境の整備や契約内容の遵守など、全体管理を行います。
業務内容・環境の準備
任せる業務の棚卸やマニュアルの用意、必要な機器・備品(PC、IDカードなど)の準備をします。職場環境を整え、派遣スタッフが働きやすい状況を整えることが重要です。
社内周知と受け入れ準備
派遣スタッフの受け入れを社内に周知し、関係部署や社員にも情報を共有します。派遣スタッフが利用できる設備(休憩室、ロッカーなど)も確認しておきましょう。
勤怠管理、台帳の作成
派遣スタッフの勤怠管理を行い、派遣先管理台帳を作成・保管します。なお、派遣先管理台帳は、契約満了日から3年間の保存義務があります。
派遣依頼をする際に注意すべきこと
派遣社員を受け入れる企業は、直接雇用とは異なる対応が必要な場合もあります。派遣を依頼する際の注意点について知っておきましょう。
派遣依頼時の注意点
- 1業務に関する指示は、受け入れる企業が行う
- 2派遣スタッフが対応できない業務がある
- 3契約外の業務は依頼できない
- 4派遣には3年ルールがある
- 5派遣料金の仕組みを知っておく
業務に関する指示は、受け入れる企業が行う
派遣スタッフが実際に業務を行う際の指示や日々の勤怠管理は、受け入れる企業(派遣先)が担当します。
労働者派遣法によって、業務指示や就業管理は派遣先が責任を持つことが定められています。現場での業務遂行がスムーズに進むよう、事前に指揮命令者を明確にすることが重要です。
詳しくは下記ページでも解説しています。興味のある方は合わせてこちらもご確認ください。
派遣先企業は派遣社員に直接指示が可能?指揮命令者と派遣先責任者の役割の違いについて派遣スタッフが対応できない業務がある
派遣スタッフには、労働者派遣法で定められた業務範囲の制限があります。
例えば、港湾運送業務や建設業務、警備業務、医療行為など、法律で派遣が禁止されている業務には従事できません。また、危険・有害な作業なども、原則禁止されています。
詳しくは下記ページでも解説しています。興味のある方は合わせてこちらもご確認ください。
派遣禁止業務について詳しくはこちら契約外の業務は依頼できない
派遣スタッフには、派遣契約で合意した業務内容以外の仕事を依頼できません。契約外の業務や残業、部署異動、転勤などは、原則として禁止されています。
業務内容や就業場所、勤務時間などを変更したい場合は、必ず派遣会社と協議し、契約内容の見直しや再締結が必要です。契約外の依頼はトラブルや法令違反につながるため、十分に注意しましょう。
派遣には3年ルールがある
派遣の3年ルールとは、同じ派遣スタッフを同一の事業所・同一部署で、3年を超えて継続して受け入れることができないという労働者派遣法の規定です。このルールには「事業所単位」と「個人単位」の2種類があり、いずれも3年を超える場合は労働組合への意見聴取などの手続きが必要です。
3年を超えて同じスタッフを同じ部署で受け入れる場合は、直接雇用の申入れや配置転換など、適切な対応が求められます。
詳しくは下記ページでも解説しています。興味のある方は合わせてこちらもご確認ください。
派遣法3年ルールについて派遣料金の仕組みを知っておく
派遣料金は、派遣先企業が派遣会社に支払う総額で、派遣スタッフの給与・社会保険料・福利厚生費のほか、派遣会社の管理費やマージン(利益)などが含まれています。
派遣料金のうち、派遣会社のマージンは約20~30%、派遣スタッフに支払われる給与は約70~80%となるのが一般的です。
詳しくは下記ページでも解説しています。興味のある方は合わせてこちらもご確認ください。
派遣会社のマージン率について派遣依頼をスムーズに進めて、最適な人材の確保を
派遣依頼をスムーズに進めるためには、業務内容や求める人材像を明確にし、派遣会社としっかり情報共有することが重要です。また、契約内容や法令を遵守し、派遣スタッフが安心して働ける受け入れ体制を整えることも欠かせません。適切な準備と派遣会社、派遣スタッフとのコミュニケーションを心掛けることで、満足度の高い派遣活用が実現できます。
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