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令和5年入管法改正の内容は?新たに成立した「育成就労制度」も解説

入管法は、外国人本人だけでなく、外国人労働者を雇用する事業者にとっても常に最新情報を把握しておきたい法律です。

令和5年には大きな改正があり、一部はすでに施行されています。また、令和6年6月14日新たな在留資格の創設を中心とする法律が成立しました。

本記事では入管法の改正に関する情報を解説します。

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目次
入管法(出入国管理及び難民認定法)とは 近年の入管法改正 令和5年入管法改正の内容 送還忌避問題の解決 収容を巡る諸問題の解決 保護すべき者を確実に保護 入管法・技能実習法の新たな改正案の柱「育成就労制度」とは 現行制度の「技能実習」 入管法・技能実習法の改正の背景にある技能実習生問題 育成就労制度の概要 移行先の在留資格「特定技能」とは まとめ

入管法(出入国管理及び難民認定法)とは

入管法は正式名称を「出入国管理及び難民認定法」といいます。日本に入国する人・日本から出国する人全ての出入国の管理および難民の認定手続きに関する法律です。

入管法に定められている主な内容は以下のとおりです。

  • 在留資格の変更
  • 在留期間の更新手続き
  • 在留カードの交付手続き(在留審査手続き)
  • 法務大臣に対する住居地や氏名などの変更の届出
  • 在留資格の取消しの手続き
  • 不法残留等の外国人に対する手続き(退去強制手続き)
  • 不法残留等の外国人に関する通報

近年の入管法改正

令和5年に「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律」が成立しました。

施行日は内容により異なります。一部は令和5年12月1日、残りが令和6年6月10日からの施行です。令和5年の改正内容は次項で詳しく解説します。

入管法は、時代の変化とともに過去にも改正を重ねています。平成20年代以降に行われた改正は以下の内容です。

  • 平成21年改正
    在留カード・特別永住者証明書の交付など新たな在留管理制度の導入、外国人登録制度の廃止、在留資格「技能実習」の創設、在留資格「留学」と「就学」の統合、入国収容所等視察委員会の設置 など
  • 平成26年改正
    在留資格「高度専門職」の創設、船舶観光上陸許可の制度の創設、自動化ゲート利用対象者の拡大、在留資格「技術」と「人文知識・国際業務」の統合、在留資格「投資・経営」から「経営・管理」への変更、PNRに係る規定の整備 など
  • 平成28年改正
    在留資格「介護」の創設、偽装滞在者対策の強化のための罰則・在留資格取消事由の整備 など
  • 平成30年改正
    在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設 など
    出典:出入国在留管理庁「最近の入管法改正」

令和5年入管法改正の内容

令和5年の入管法改正の基本となる考え方は以下の3点です。

  • 送還忌避問題の解決
  • 収容を巡る諸問題の解決
  • 保護すべき者を確実に保護

各ポイントを解説します。

送還忌避問題の解決

入管法上の強制退去事由に該当すると日本から退去させられますが、退去を拒否する外国人(送還忌避者)も存在します。

難民認定手続き中は送還が一律で停止されるため、申請を繰り返し、退去を回避する方法が問題視されていました。

改正により、3回目以降の申請は例外として停止措置がとられないよう変更されました。ただし、「難民等と認定すべき相当の理由がある資料」を提出すれば、3回目以降でも送還は停止されます。

また、退去を拒む・送還妨害行為におよぶなど送還が特に困難な外国人に対する罰則付きの退去等命令制度が創設されました。

このほか、不法滞在を摘発された外国人が自発的に帰国した場合の上陸拒否期間が5年から1年に短縮されました。

収容を巡る諸問題の解決

退去すべき外国人は逃亡防止のため収容施設に入る決まりでしたが、施設内での問題が生じるケースもありました。健康上の問題・拒食・治療拒否などです。

改正により、監理人の管理の下で退去強制手続きを進めるための措置が創設されました。また、外国人の健康に配慮すべきとする内容が明記されたほか、以下の適切な処遇の実施も定められました。

  • 常勤医師の兼業禁止を緩和
  • 強制治療に関する規定(拒食対策)
  • 制止要件の明記
  • 3ヶ月ごとの健康診断
  • 職員への人権研修の実施 など

国内外で人権尊重の意識は高まっています。入管法でも、外国人の人権を今まで以上に尊重する改正がなされました。
出典:法務省「入管法等改正法の概要等」

保護すべき者を確実に保護

難民条約では、以下のいずれかに該当して迫害を受けるおそれがなければ難民とは認められません。

  • 人種
  • 宗教
  • 国籍
  • 特定の社会的集団の構成員である
  • 政治的意見

特に現在では、ロシアとの紛争が続くウクライナからの避難民を受け入れていますが、紛争避難民は難民条約上の条件に必ずしもあてはまるわけではありません。

改正により、紛争避難民をより確実に保護するための制度として「補完的保護対象者」認定制度が設けられました。申請手続きの創設や難民認定制度の運用の見直しが行われ、難民に対する適切な配慮がなされるようになりました。

入管法・技能実習法の新たな改正案の柱「育成就労制度」とは

令和6年6月、入管法や技能実習法の改正法が成立しました。主な内容は以下のとおりです。

  • 新たな在留資格創設
  • 特定技能の適正化
  • 不法就労助長罪の厳罰化
  • 永住許可制度の適正化

「新たな在留資格創設」では、外国人が知識・技能を習得するために日本で就労する「技能実習制度」を廃止し、新たに「育成就労制度」を新設する内容が盛り込まれています。

移行の背景のひとつに、技能実習生問題が挙げられます。本項では、技能実習制度の現状、育成就労制度を解説します。
出典:法務省「改正法の概要(育成就労制度の創設等)」

現行制度の「技能実習」

技能実習制度は、1960年代後半から行われてきた海外での研修制度を原型として、1993年に創設されました。発展途上地域に対して技術移転を図る国際貢献が目的の制度です。

技能実習制度を利用して日本で就労する外国人を、技能実習生といいます。技能実習生は、日本で働きながら専門的な知識や技能を習得し、自分の国に持ち帰って活用します。

在留資格の技能実習1号が1年目、2号は2~3年目、3号は4~5年目に該当します。技能実習は帰国が前提の制度ですが、2号を良好に修了し諸条件を満たせば、在留資格「特定技能1号」へ移行して日本で働き続ける選択も可能です。

日本に在留する外国人のうち、技能実習生は永住者に次いで二番目に多い在留資格です。

出入国在留管理庁のデータによると、令和5年12月末時点で技能実習生は404,556人です。多くの外国人が自国の発展のために日本で就労している実態がわかります。

入管法・技能実習法の改正の背景にある技能実習生問題

本来、技能実習は日本での就労を通じて外国人が知識や技能を得るための制度です。技能実習生を受け入れる事業所は、外国人を実習のための就労に従事させなければなりません。

しかし、技能実習生を単なる人手不足解消のための人材とみなし、必要な実習を行わない、目的外の制度利用が問題視されています。

また、人権侵害の例も存在します。差別や偏見・ハラスメント、劣悪な労働環境、不当に低い賃金・賃金不払いなどの例です。

悪質な仲介業者の存在も是正すべき問題のひとつです。不当な手数料を徴収されるため、外国人が多額の借金を背負って来日するケースが確認されています。

現行の技能実習制度では、本人希望の転職は原則として規制されています。転職制限は外国人の立場が弱くなりやすく、技能実習生問題を深刻化させている要因として考えられます。

技能実習生の失踪は多く、社会問題になっているため、根本的な問題を解消する目的で育成就労制度の新設が発表されました。

育成就労制度の概要

育成就労は技能実習に代わる制度として創設が発表されました。

円安が進み日本で働くメリットが小さくなりつつあるなか、我が国は今後も外国人労働者にとって魅力のある就労先としてあり続けなければなりません。

育成就労制度では「外国人の人権保護」「外国人のキャリアアップ」「安全安心・共生社会」の3つのビジョンを重視し、技能実習制度での問題を是正するための改正がなされました。改正法は、2027年までに施行されます。

予定されている主な改正内容は以下のとおりです。

  • 人材確保と人材育成を目的とする
  • 外国人の知識・技能を段階的に向上させ、特定技能への円滑な移行を図る
  • 外国人の人権を保護するための仕組みづくり

詳しく見ていきましょう。

技能実習と育成就労の違い1・受け入れ分野

技能実習生の受け入れが可能な分野は以下のとおりです。

  • 農業関係(2職種6作業)
  • 漁業関係(2職種10作業)
  • 建設関係(22職種33作業)
  • 食品製造関係(11職種18作業)
  • 繊維・衣服関係(13職種22作業)
  • 機械・金属関係(17職種34作業)
  • その他(21職種38作業)
  • 主務大臣が告示で定める職種及び作業(2職種4作業)

育成就労制度では、後述する在留資格「特定技能」の対象である以下の16分野のうち、国内における就労を通じた人材育成になじまない分野を除いた分野が対象となる予定です。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業(工業製品製造業分野に名称変更予定)
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 自動車運送
  • 鉄道
  • 林業
  • 木材産業

従事できる業務の範囲も特定技能と同一になる見込みです。

技能実習と育成就労の違い2・転職の条件

育成就労制度では、以下の条件を満たす場合に、本人の意向による転職が認められるようになります。

  • 同一の機関において就労した期間が一定の期間を超えている(分野ごとに1年~2年で設定される予定)
  • 技能検定試験基礎級等・一定水準以上の日本語能力に係る試験に合格
  • 転籍先が、適切であると認められる一定の要件を満たす

なお、3年間一つの受入れ機関での就労が効果的であり望ましいとする方針は継続されます。
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度及び育成就労制度について」

技能実習と育成就労の違い3・技能の水準

技能実習は、外国人が知識や技術を国に持ち帰って活用する、帰国が前提の制度です。

育成就労では、制度全体の目的として人材確保の観点が追加されるため、就労を通じて、後述の在留資格「特定技能1号」水準の技能を習得させる育成が必要になります。背景にあるのは、特定技能に移行して長く日本で就労してもらう、人材定着の狙いです。

また、技能実習制度では介護職種を除き技能実習生になるための能力に関する基準はありませんが、育成就労制度では、開始前の要件に日本語能力の基準が新たに設定されます。日本語能力の検定で一定水準以上の成績を証明するか、所定の日本語講習の受講が必要です。

なお、事業所が日本語教育に積極的に取り組むための、インセンティブが設けられる予定です。

移行先の在留資格「特定技能」とは

特定技能は在留資格の一種で、人手不足が特に深刻化している特定産業分野での人材確保を国が支援する目的で創設された制度です。

受け入れができるのは16分野で、うち4分野は令和6年3月に追加が発表されました。受け入れ人数の拡大も発表されており、今後も特定技能外国人は増加する見込みです。

特定技能は1号と2号の分類があり、在留期間や技能の水準などが異なります。2号は1号より高い技能や実務経験がなければ取得できないため、1号と比較し全体的に在留条件の優遇措置が講じられています。

該当する技能実習制度がある分野では、技能実習2号を良好に修了して諸条件を満たせば技能・日本語能力に関する特定技能1号の在留資格の申請要件を満たすことができます。また、所定の検定に合格する方法でも可能です。

育成就労制度では、修了時の目安として「特定技能1号を取得できる程度」の技能水準が求められます。

まとめ

入管法は出入国管理及び難民認定法の略称です。

令和5年には「送還忌避問題の解決」「収容を巡る諸問題の解決」「保護すべき者を確実に保護」の3点を軸にした改正が決まりました。

令和6年6月には新たな在留資格「育成就労」を柱とした改正法が成立しました。育成就労では、現行の技能実習制度で確認されている諸問題の是正が目指されています。

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