ネパールは、多民族国家で、国民の多くがヒンドゥー教徒という背景を持つ国です。
ネパール人は、控えめで礼儀正しく、家族を大切にする価値観に根ざしていて、日本人の職場文化とも親和性が高いと言われています。英語教育が盛んで語学力に優れている点や、若い労働力が豊富であることも、雇用する際の大きな魅力です。
本記事では、ネパール人の国民性や文化の特徴、雇用するメリットや注意点を解説します。
項目 | 内容 |
---|---|
面積 | 14.7万平方キロメートル(北海道の約1.8倍) |
人口 | 3,054万7,580人(2022年 世銀) |
首都 | カトマンズ |
民族 | パルバテ・ヒンドゥー、マガル、タルー、タマン、ネワール等 |
言語 | ネパール語 |
宗教 | ヒンドゥー教徒(81.3%)、仏教徒(9.0%)、イスラム教徒(4.4%)ほか |
ネパールは、インドと中国のチベット自治区に接する南アジアの内陸国で、首都はカトマンズです。
1769年シャハ王朝によって統一後、約240年間王政が続いていましたが、2008年に王制を廃止して共和制となり、2020年には「ネパール連邦民主共和国」から「ネパール」へ国名が変更されました。
ネパールの人口は約3,000万人で、北海道の約1.8倍の面積にあたる国土に、日本の約4分の1の人口の人々が暮らしています※1。
在ネパール日本国大使館の「図説 ネパール経済2024」によると、ネパールの海外への出稼ぎは累計で600万人を超えています。
マレーシア、カタール、サウジアラビアなどが主な出稼ぎ先であり、インドについては公的な統計はないものの、インド・ネパール間の国境は通行自由なため、最大の出稼ぎ先であると推察されています。
また、厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)によると、日本で働くネパール人労働者は約14万人以上いて、対前年で23.2%増加しています※2。また、ネパールは日本での外国人労働者が4番目に多い国でもあります。
※1 出典:在ネパール日本国大使館「図説 ネパール経済2024」
※2 出典:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」
ネパール人の8割以上がヒンドゥーを信仰しています。ネパール人のうち、ヒンドゥー教徒が81.3%、仏教徒が9.0%、イスラム教徒が4.4%です。
ヒンドゥー教では、牛を食べることは禁忌とされ、豚は不浄な動物とされるため基本食べないなど食事の制限やタブーがあり、職場に受け入れる際には理解が必要です。
また、ネパールは多民族国家であり、パルバテ・ヒンドゥー、マガル、タルー、タマン、ネワールなどが居住しています。公用語はネパール語で、各民族の言語も存在します。
ネパール人が日本で働きたい理由はさまざまですが、主に以下のような要因が挙げられます。
ネパールの平均月収は約4.8万円で、日本の平均年収が約460万円(月収に直すと約38万円)と比べると1/8程度となります。
ネパール国内では安定した職が少なく、日本のように労働力不足の国では比較的安定して働ける可能性が高く、より高い収入を得られることにより、家族に仕送りし、生活水準を向上させたいという目的を持つ人が多いです。
また、ネパール人は韓国や中東でも働くことが多いですが、日本は労働環境や待遇面で魅力的と考えられています。
ネパールと比べると日本は治安や衛生環境が良く、安心して生活できます。また、公共交通機関、医療、教育などの制度、充実した社会インフラが整っており、快適な生活ができることも魅力に感じています。
日本の高度な技術や専門的な知識を学び、自国に戻った後のキャリアアップにつなげたいと考える人も多いです。
技能実習生として来日し、農業、建設業、製造業、介護などの分野で働きながら実務経験を積む人が増えています。さらに、特定技能制度を利用することで、日本の職場環境でスキルを磨き、特定技能2号の取得により、長期的なキャリア形成や家族帯同も可能になりつつあり、さらに関心が高まっています。
ネパール人の国民性・性格の特徴には、以下の点が挙げられます。
ネパール人は、自己主張が控えめであると言われています。食事などの誘いを一度は断ったり、質問を遠慮してしまったりするケースがあるなど、遠慮しやすい傾向があり、このあたりは日本人とも共通する部分です。
また、協調性が高く助け合いの精神があり、礼儀正しいのもネパール人の特徴です。日本人のチームワークを重視する職場にも、上手く適応することが期待できます。
ネパール人は、家族や親戚との関係性が強く、家族同士での支え合いを重視しています。日本で働く目的のひとつが、家族への仕送りである場合が多いです。
また、日本人以上に目上の人を敬う文化が根付いており、両親や上司の意見を尊重する傾向があります。
ネパール人は、日本人とは異なる時間感覚を持っていて、納期や約束した時間に遅れる行為をあまり悪いこととは思っていません。
ネパール人のゆるやかな時間感覚は「ネパリタイム」と呼ばれることもあり、ネパール人自身が自覚して自らネパリタイムという言葉を使う時もあります。
ネパール人を職場に採用する際には、日本では時間や期限を厳守すべきとしっかり伝え、必要に応じて納期の前に確認するなどサポートも行いましょう。
仕事に対して真面目で、勤勉に働く人が多いのもネパール人の特徴です。ネパール国内での厳しい労働環境で働いてきたことが大きな理由のひとつです。また、出稼ぎで働いている場合には、家族への仕送りが仕事に真摯に取り組む理由にもなっています。
ネパール人を雇用するメリットは、以下が挙げられます。
ネパールは多言語が使われる国であり、語学学習への抵抗感が少ないことが特徴です。特に英語については、小学校から英語教育があり、英語を話せるネパール人も多くいます。
また、ネパール語は日本語と文の構造が近い部分があり、日本語を比較的習得しやすい傾向があります。
ネパールは平均年齢が若く、労働市場にも若い人材が豊富です。現場で働く若い外国人材を求める企業にとって、ネパール人は有力な候補になります。若いネパール人を職場に迎え入れれば、職場に新たな活力をもたらしてくれるでしょう。
ネパール人は温厚で勤勉な性格の人が多く、日本人が多い職場にも馴染みやすい傾向があります。家族に仕送りするネパール人も多く、家族のために真摯に仕事に取り組む姿勢を持っています。
また、日本での労働収入の高さを理由に働くネパール人も多く、こうした人材は仕事への高いモチベーションが期待できます。
前述のとおり、多くのネパール人が日本で働いています。ネパール人を特定技能として受け入れる場合の雇用の流れを、以下の2つの場合について詳しく紹介します。
ネパールから新たに特定技能でネパール人を受け入れる際の流れは、以下のとおりです。
求人は、受入機関が直接採用活動を行う方法のほか、駐日ネパール大使館に求人申込を提出することも可能です。提出した求人情報は、同大使館からネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局 日本担当部門に送られ、同部門から求職者に開示されます。
その後、ネパール人との雇用契約を締結し、受入機関が出入国在留管理庁に対して在留資格認定証明書の交付申請を行います。交付された在留資格認定証明書はネパール人本人に送付し、ネパール人本人が在ネパール日本国大使館に対して査証発給申請を行います。
その後、ネパール国内で、ネパール人本人が以下の手続きを行い、日本へ入国する流れになります。
日本に在留するネパール人を受け入れる際の流れは、以下のとおりです。
求人などで採用するネパール人が決定した際には、まず雇用契約を締結します。
その後、ネパール人本人が出入国在留管理庁に対して在留資格変更許可申請を行います。変更が許可されれば手続きは完了となり、受け入れが可能になります。
ネパール人は、控えめで礼儀正しく、家族を大切にする、真面目で勤勉などの国民性があります。人材としての魅力は語学力の高さ、勤勉さ、若い人材の豊富さなどです。
日本で働くネパール人は近年増加していて、ネパール人の採用を視野に入れると、勤勉で若い人材の確保をできる可能性が高まります。
以下の記事で外国人を雇用する際に、確認すべき点などを紹介しているので、あわせてご確認ください。
関連記事:外国人雇用の注意点やメリット・デメリット、手順についてわかりやすく解説
インドネシア人の性格や仕事への考え方は?雇用の際の注意点や採用するメリットも紹介
ミャンマー人にはどんな文化がある?性格の特徴や一緒に働くための注意点を解説
Adeccoでは、特定技能の在留資格を持つ外国人材の紹介サービスを展開しており、厳格な基準をクリアした、定着率が高く意欲的な外国人をご紹介しています。外国人材の活用を検討している企業担当者の方は、ぜひAdeccoの特定技能外国人材紹介にご相談ください。